秋色 (ダリア文庫)

著者 :
  • フロンティアワークス
4.16
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本棚登録 : 218
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861346651

感想・レビュー・書評

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  • 再会編。家庭教師先生×生徒5年後
    お互いに自分の無力を思い知って別れてから5年。
    アキの絵画教室の展覧会で再会する二人。
    お互いにずっと好きでも、二度と元に戻ることも前に進むこともできないことを痛感してるのにお互いを求められない辛さに泣き出しそうな話です。
    ただひたすらに相手の幸せを願いながらも、お互いがいない時点で本当の幸せを得られない二人と、周囲も大人になってく話。
    前半コバルトで読んだせいもあるかもしれないけど、なんだかちょっとキャラ違うなーって感じたのは大人になったからなのかどうなのか。
    泣きました…。

  • 「春恋」の続編。前作ではまだ若くて自立できていなかった二人が、5年の歳月を経てそれぞれに成長している様子が描かれています。
    意地を張ったり、強がってみせたりして本音が見えなかった二人がやっと両想いになったかと思ったら、今度は親にバレたことで結局別れることに。
    生活力があれば、もっと大人だったら。
    そんな、「非力さ」というどうにもならない理由が切なかったです。
    解決するのは年月だけ、という状況で、まだ互いを求めて止まない真剣な気持ちがあってもあきらめなくちゃいけなかったのは不本意だな…と胸が痛くなりましたが、アキも美里もそのことを受け入れたんですよね…
    そして、5年後の二人は別々の道を歩んでいるけれど、その人生は確実に相手を愛した記憶が影響していて…

    周囲の人達とのかかわり合い、特にシーナと美里の関係は痛かったです。シーナに依存しているかのような美里、あえて二番目に甘んじているシーナ。どう見ても上手くいきそうにないww当て馬人事が悲惨でした…
    アキも女性と付きあったりしてみても、美里への気持ちは消えることなく深く静かに潜行していたようです。
    彼らのぐるぐるに巻き込まれた人々は傷ついたかもしれないけど、それも恋愛のうちだと思えます。解決するのは年月。
    シーナも救済してあげてほしいです…

    やっと、正々堂々と自信を持って恋人同士として一緒に生きていく道を選べた二人に、心からよかったねと言いたいです。
    ほっとしました、ほんとに。

    寄り添う二人の日々の掌編が、どれも甘くて満足です。
    アキが美里の両親に挨拶に行くシーンはけっこうツボでした。エロシーンじゃないけどツボ。
    お父さんと和解できて、一緒に酒を酌み交わす場面もよかったです。

    ペーパーは同棲9年後!!工藤が二人のイチャイチャにお邪魔虫で楽しかったです!

  • 「春恋」の続編。本としてはこれで完結。でもきっと物語は静かに続くんでしょう。
    とにかく、全編通してアキの愛情の記録と言うか、、
    本当に愛する人を見つけた人ってこんなふうに優しい人になれるんだなぁと。


    BLってボーイズラブの略なんでしょうけど、ボーイズというにはちょっと無理のある年齢になった男の子(それでもまだ男の子。特に美里君はアキの前だとすごく子供っぽい)2人。
    実際、「子供」の恋愛ってその時限りで将来の見えない話が多いのですけど、朝丘さんの作品はどの登場人物もその後の未来がちゃんとあることを想像させてくれます。

    生きている人の生きている様を丁寧に切り取って精錬して私たちに見せてくれる朝丘さんの作品は、特別なドラマチックな出来事がなくても、私たちが毎日いろんなことにつまづいて、悩んで、喜んで、生きていくその日々こそ、愛しい生というドラマなんだと思わせてくれる。
    SFやファンタジーといった日常からかけ離れたフィクションを好む私が朝丘さんに嵌ってしまった理由は、この「切り取り方」の美しさが、いろんな意味で自分を安心させてくれるからなんだと思います。
    ここ数年の朝丘さんの作品は、特にその傾向が強いように感じます。

    秋色はBL特有のハラハラファンタジー設定はありませんし、Hシーンもほとんどありません。
    これだけを読むと、淡々と綴られた日記のように思うかもしれません。
    前編にあたる「春恋」と合わせて読んで、2人の未来にそっと祝福を贈ることで自分も少し幸せになれる。
    そんなふうに読んで欲しいなと思います。

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