北斎漫画 〈全三巻〉 第三巻「奇想天外」 (青幻舎ビジュアル文庫シリーズ)

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  • 青幻舎
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861522888

作品紹介・あらすじ

「北斎漫画」ついに完結!

第三巻の「奇想天外」では、和漢の故事や伝説、
芝居の名場面や宗教的画題、幽霊、妖怪といった幻想的な世界を中心に収録。
「狂態百出」「故事拾遺」「百鬼図会」「神仏風姿」の4つのカテゴリーで構成。
逸話や御伽噺、故事古典の画題からはじまり、神仏や聖人、僧侶、
そして天狗や河童まで。
故事古典に関する博識博学ばかりか、北斎の人智を超えた造形力、描写力、そしておどろくべき想像の世界が繰り広げられる。
全三巻を締めくくるものとして、図版の総索引や、
定本に掲載されていた柳亭種彦、式亭三馬による序文もあわせて収録。

北斎は90歳で死の床に就いたとき、神様に
「あと10年ください」と命乞いをしたんです。しかも、
「もし10年が無理なら、せめて5年でもいいから」と、
値切って神様と交渉するんですよね、必死に。(中略)
画家は、ただただ描きたい、それがあるだけなんです。
(横尾忠則氏 インタビューより抜粋)

解説:『北斎漫画』革新の巻 永田生慈
インタビュー:未完の傑作、未完の生涯 横尾忠則
インタビュー:旅する北斎漫画 浦上満

アートディレクション:祖父江慎

感想・レビュー・書評

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  •  とにかくすごい!
     このシリーズ3巻を眺めてきたが、これほど多様な絵(画)を遺す葛飾北斎のバイタリティには敬服するばかりだ。
     恥ずかしながら、一つ一つの画を楽しむにもこちらの知識が追いつかない。実物大の作品を見たい!
     「富嶽三十六景」しか知らなかった、「北斎漫画」から北斎の奥深さを肌で感じることができた気がする。まだまだ北斎翁を勉強したい。

  • 残念なことに、私の知識が少ないため、ほとんどの人物についてどのような人だったのか、何を意味しているのかが理解できなかった。
    昔の人たちが、子供に、「これは○○という人でね、こんなことをしたんだよ」と、北斎漫画を指さしながら話してる姿が目に浮かぶ思いがした。

    北斎の博学ぶりが伝わってくる。
    そして、純粋に面白い絵だ、と思って楽しく眺めた。

  •  第1章「狂態百出」を見了える。
     「狂態百出」は、81ページに渉る。招福、奇譚、逸話、お伽話を画題とする。
     読み取れた画題では、「笑門に福来る」(正字、変体仮名を用いるので、読み取りにくい題がある)の福神、浦島太郎、祝言の能「翁」に現れる三玉の亀と翁・媼(見開き2ページ)などから始まる。
     龍、鳳凰の想像の図、僧・道鏡に逆らった和気清麻呂の図(知らない事は、ネットでググると、たいてい判る)、力持ちたちの図、義経・弁慶・富樫の勧進帳の図、樊噲などの古代中国の人物、戯れる僧たち、金太郎、桃太郎、源頼朝・頼家に仕えた仁田四郎の猪に跨った逸話、達磨・寒山拾得・鍾馗の図、孟宗たち古代中国の人物24図(1ページ6人)などが描かれる。芦屋道満・安倍晴明の「易術を競ふ」は、迫力がある。
     孫悟空、千人切り、怪力の女性2図、柿本貴僧正(ググると、弘法大師の10大弟子の1人らしい)2図、神農、清玄法師堕落、等が読み取れる。
     92ページに、「豊年」と題して、傘と蓑をまとった女性に小判が乱れ降る図で、めでたく仕舞っている。

     第2章「故事拾遺」を見了える。
     太公望より始まる。古代中国の人物、伯楽、顔子、曽子、子思、周公、朱子などは目にした事もあるようだが、張子、程子、周子、などになると判らない。当時の庶民には、知られていたのだろう。
     韓退之は詩人の韓愈(かんゆ)である。東方朔は、前漢の政治家である。孔明、関羽などの略図もある。僕のイメージと違う図も多い。
     116ページより日本編に入り、宮廷人(公家、女房?)、平正門(将門)、仏御前、阿倍仲麻呂、俊寛僧都、小野道風、楠(木)正成、小野小町、其角、西行法師、山部赤人など、時代を構わずに並べる。文屋康秀、藤原忠文など、調べると面白いだろう人物もいる。
     最終164ページは、天下泰平と題され、正装の公家が海に祈る姿である。何か謂われがあるかも知れない。

     第3章「百鬼図会」を見了える。
     冒頭は、題字がはっきりしないが、播州皿屋敷で知られるお菊さんの幽霊を、三ヶ月上人が鎮めている場面らしい。
     ろくろ首、三ツ目が見開き2ページに載る。
     公時遊貞は、ググってもはっきりしないが、坂田金時(幼名・金太郎)らしい。
     役の小角(えんのおづぬ)は、634年~701年(伝承)の呪術者である。伝承通り、前鬼・後鬼を侍らせる。
     地獄の図は、地獄図絵巻の方が怖い(本を観た事がある)。
     大江山の酒吞童子、源頼光に斬られる鬼童丸は、共に見開き2ページである。
     鐘馗、鬼遣らいの豆撒き、の図が続く。
     しまいの船鬼と題する図は、津波らしい。

     第4章「神仏風姿」を見了え、全3巻を了える。
     「神仏風姿」は196ページ~244ページの、49ページに渡る。
     釈迦の小さな図より始まり、空海の図などを交え、~尊者と称される僧の図が10程載る。
     狐に乗るダキニ天、字のごとく稲を担う稲荷大明神、日本神話の猿田彦太神、天臼女命(アメノウズメノミコト)等、ググってみると面白い。大苫辺尊、大戸之道尊も、同様である。ググるとWikipediaに出て来る。手置帆負命、天彦狭知命、共に神話で当時の庶民にも知られていたのだろう。
     三面大黒天、武士に信仰のあった摩利支尊天、刀八毘沙門天、魚濫観世音、正八幡大菩薩、など当時の信仰を集めたのだろう。
     連歌・俳諧の宗鑑、一休禅師の図もある。維摩居士、達磨(?)の面壁の図がある。風神雷神の図は俵屋宗達の風神雷神図に及ばない。和合神を仕舞いの図とする。
     最後に「而尾」の文字が掲げられ、終末、フィナーレの意味らしい。北斎漫画15冊の結着である。

  • <閲覧スタッフより>
    人物・風景・動植物から風俗まであらゆるものを描いた圧巻の絵手本。近代西欧を魅了したジャポニスムの粋、その後に続くマンガやアニメーションへの計り知れない影響、『北斎漫画』はコメニウスの『世界図絵』に次ぐ百科全書と言っても過言ではありません!

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    所在記号:文庫||721.8||カツ
    資料番号:10204724
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  • 時代小説、妖怪・・・このあたりの漫画や小説が好きだと、この本は眺めているだけで楽しいと言う逸物であると思う。実際、僕がそう。

  • 北斎が漫然と画いたから漫画だそうで。
    当時の絵師としてはランクも下の方だとか。
    でもやっぱり眺めてるだけでも凄いなぁと思う。
    写真がなかった時代、瞬間の絵を画いたのがいかに凄かったか。

  • さすがの北斎翁。お金がなくてこれしか買えなかったけど、他もほしい。巻末のほうにある、出版されたときのレビュー?コメント?集が面白い。口語訳がないので解釈が適当ですが…。

  • 誰が何と言おうと北斎。もう一度みたい。

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著者プロフィール

1760?1849年。江戸後期の浮世絵師。代表作に『富嶽三十六景』『北斎漫画』他、多数。世界的に有名な日本を代表する画家で、とくにヨーロッパ印象派の発生にも多大なる影響を与えた。

「2017年 『北斎漫画[肉筆未刊行版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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