宮永愛子作品集 空中空(なかそら)

著者 :
  • 青幻舎
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本棚登録 : 27
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861523687

作品紹介・あらすじ

宮永愛子は靴や時計、バッグという日用品をナフタリンでかたどったオブジェ、
塩を使ったインスタレーションなど、時間を視覚化する作品を生み出してきました。
時とともにうつろう作品は、一見はかなく、繊細でありつつも同時にかたちあるものは
変わりゆくという永遠性のイメージを宿します。
本書には、代表作や最新作を中心に収録。
類型的な思考とは無縁の世界観や無限のひろがりをもつ宮永愛子の作品、
思考の足跡を紹介します。初の作品集。

国立国際美術館「宮永愛子 なかそら—空中空」展公式カタログ

寄稿:福岡伸一 
アートディレクション:豊永政司

感想・レビュー・書評

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  • 色と音を内に秘めたナフタリンの白。
    不在と存在、瞬間と永遠は抱き合いながら来るべき日まで透明樹脂の中で微睡むだろう。
    記憶を渡り飛ぶ蝶は、花びらが風に舞い上がるように羽ばたいて、精彩の鱗粉を撒き散らす。翅を刷毛にして色を塗っているのかもしれない。
    淡い雪みたいな沈黙の空白は月光を跳ね返し、世界を清めるほど眩しいので、目を閉じても見ることができる。
    明滅する六花の結晶が浮かび上がる情景を空中に静止させては放してゆく。
    その甘やかな後ろ姿の行方を見届けようとする時、いくつもの息づかいと足音が生まれ、胸がしめつけられる。

    〈不在は ときをまとった 存在になる。〉

  • 荷札のつけられた白いトランクが無造作に置かれている。
    このトランク、透明感があり、光が通って行く。

    その隣には、透明なトランクが2つ、
    中に鍵が入っている。

    そして奥のアクリルの壁で囲われたスペースにもトランクが。
    しかし、このトランクは一部が崩壊している。

    これらのトランクはナフタリンでできていて、
    少しずつ昇華していく。

    昨年の日産アートアワードグランプリを受賞した
    宮永愛子さんの作品です。

    崩壊したトランク、
    どんなに長い旅をしてきたのだろうか、
    観る者がそれぞれに物語を創ることができるアート。


    その宮永さんの初の作品集が『空中空』、2012年の出版で、
    国立国際美術館で開催された同名の展覧会のカタログでもあります。

    この作品集でも主役はナフタリン、
    ここでは、傘だったり歯ブラシだったりノートだったりと
    日常のモノ達がナフタリンで創られていて
    一瞬の姿が切り取られている。

    そしてこのモノ達をいくつものジグソーバズルのピースが繋いでいる。
    ピース一つ一つに、持ち主の物語が刻まれているよう。

    撮影された時と同じ姿でいられるのはほんの僅かな時間、
    一瞬という時間が貴重であり愛おしいものであることを気づかせてくれる作品集。
    それだけに、何度も何度も見返したくなるのです。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784861523687

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著者プロフィール

(1974−)
京都市生まれ。京都造形芸術大学美術学部彫刻コース卒業後、東京藝術大学美術学部修士課程修了。
2006年にACCの助成で渡米し、07年には文化庁新進芸術家海外留学制度により渡英する。
2011年「第22回五島記念文化賞 美術新人賞」を受賞。

「2012年 『宮永愛子作品集 空中空(なかそら)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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