スローモーション (ピュアフル文庫)

著者 :
  • ジャイブ
3.10
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  • (30)
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  • (16)
  • (2)
本棚登録 : 281
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861763021

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤多佳子の黄色い目の魚が本当に大好きで、捻くれた女の子は初期作品でも健在なんですね。
    最初はなんとなく物足りない。
    でも児童文学の語り口で、ザクザク大人の事情に斬り込んでいくストーリーはこの頃から変わらず。
    後半、女子高生の主人公から発せられる「カウントダウンの関係」という早すぎる諦観にドキリとしてしまいました。
    スローモーションというタイトルの由来も、どんどん重みを増して明かされていって。
    劇的な展開に頼らずとも女子高生の等身大の"事件"を濃密に描き、難しい言葉を使わずとも私たちが抱く複雑な(複雑ぶっているだけかもしれない)感情を解きほぐす。
    佐藤多佳子の凄さが、この短い中に詰まった作品だなと思いました。やっぱり好きだなー。

  • 主人公の女子高1年生の柿本千佐の家族は、小学3年生の担任そしている教師でクソ真面目なお父さんとお見合いでクソ真面目なバツイチ教師と結婚した専業主婦のお母さん、クソ真面目なバツイチ教師の前の妻との子供で元不良現無職のニイちゃん。お父さんは千佐には真面目に生活してほしいと願っていて、厳しい門限を設定していますが、クラスの派手なグループの一員として、クラブに行ったり、お酒を飲んで帰ってお父さんにひどく怒られたりします。クラスには同じ水泳部に所属する動作がとてもスローな同級生の及川周子がいて、気になっています。その及川がいじめの対象になりつつありますが、ちょっとしたきっかけで千佐もハズされることになります。
    このお話には、過去にナイフで傷害事件を起こしたり、殺人事件を起こしたり、暴力があったり、学校をサボったり、クラブに行ったり、高校生なのにお酒を飲んだり、いろいろワルいことが書かれてていたりして、悲しくて切ないところもあって、児童文学のような書き出しにもかかわらず、大人のお話に感じました。

  • 厳格な父のもとで育った千佐は、現在はちょっとやんちゃなグループに属している。千佐にはバイク事故に遭って以降ニートで、半分だけ血の繋がった兄がおり、また、なぜか動きがスローな同級生の女子・及川のことが気になっていた。
    及川は複雑な事情を抱えていて、一人暮らしをしている。グループの子とちょっとした仲違いをした千佐は、クラスで浮いている及川と仲良くなり、そんな事情を知る。
    及川は絶望的な人生を送っていた。その果てに辿り着いたのが「すべてに対して腹を立てない」「周りを気にせず、何事もゆっくりこなす」こと。
    ある日、カメラを始めた千佐の兄が及川に目を付ける。厳格な父と決裂した兄は、家を出て及川の部屋に転がり込んでいた。
    及川は千佐の兄を追い出さず、二人の間には千佐に見えない絆ができていった様子。
    しかし及川は段々と学校に来なくなり、それが原因で千佐の兄との二人暮らしがばれてしまった。親戚や教師に追究を受けた三人は、その場から逃げようとする。しかし千佐の兄は足が悪く、走れなかった。千佐と及川も結局捕まってしまう。
    及川は転校していき、千佐は元のグループに戻った。
    兄は家を出て、足のリハビリを始めるという。誰かに追いかけられたら、走れるように。

  • 高校生とその生活に視点を置いた作品が読みたくて、かつ最近忙しいので短めの作品を探していて出会った。
    佐藤さんの本は3冊目かな。ただでさえ独特で瑞々しい作者の表現に多感な女子高生の語り口調が合わさったもんだから、なんだかそれだけで特別なものが出来上がってしまっている気がする。
    忙しない日々に慣れてしまうとなにもかもが白黒早送りになってしまうけど、そんなときにこの本を思い出せれば。モノクロームの毎日にちゃんと色が付いていることを教えてくれるような気がする。

  • なんか似たような印象の本を読んだことがあるなと思ったら、別の出版社で出されたやつを読んでいたみたい。良くも悪くもなかった。佐藤さんにしては物足りないかな。

  • 小学生の頃に読んだと思う。
    お兄ちゃんとスローモーションな友人が印象的。

  • 2013/05/11読了

  • ひねくれたコドモたち。
    おとなもだけど
    いい人的な人間が全然出てこない。。

  • 普通?の女子高生千佐と元やんでバイク事故後はニート生活の兄、動きがスローな同級生及川の物語。

    兄妹の微妙な感情がうまく表現されている。

    及川がスローな理由のエピソードはちょっと無理があると想うけどね。

  • 誤解を恐れずに言い切ってしまうと、
    大きな事件が起きるわけではない。
    登場人物が大きく成長する訳でもない。

    主人公や、その周辺人物が、
    ものすごく魅力的な訳でもない。

    実際にその辺にいそうな女子高生と、
    ちょっと...不思議だけど、
    ま、こういう人もいるかもね、
    という周辺人物たち。

    彼ら・彼女らが、つまらない日常の
    ちょっとした事件で泣き笑いし、
    少しだけ前に足を踏み出す...

    言ってしまえば、そんなお話。

    でも、登場人物たちの感情が、
    とても素直でリアルなせいか、
    知らず知らず引き込まれてしまう。

    噂ばかりが先行していじめられる
    「何もかもスローモーな」女の子。

    いつもつるんでいる仲間たちとの、
    ほんのささいなきっかけで
    「あっち側」と「こっち側」に
    別れてしまう関係のあやうさ。

    「悪そうな」仲間と遊んでいても、
    部活の水泳だけは真面目にやってた
    主人公の熱の失い方と復活。

    そんな、当人以外にはどうでもいいような、
    等身大の悩みと葛藤とあきらめと...
    それでも少しずつは何かが変わっていく。

    「一生続く」登場人物たちの暮らしの、
    ほんの一部分をスポイトで吸い上げて
    プレパラートに載せて観察していた。
    そんな読後感の小説。

    本を閉じた後も、登場人物たちは
    同じペースで生活を続けていくことが
    見えはしないが確信できる、
    そんな不思議な魅力を持った一冊です。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。1989年に「サマータイム」で月刊MOE童話大賞を受賞してデビュー。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で産経児童出版文化賞、日本児童文学者協会賞、路傍の石文学賞を受賞。『一瞬の風になれ』で吉川英治文学新人賞、『聖夜』で小学館児童出版文化賞、『明るい夜に出かけて』で山本周五郎賞を受賞。そのほかの作品に『しゃべれども しゃべれども』『神様のくれた指』『黄色い目の魚』『第二音楽室』などがある。

「2018年 『シロガラス5 青い目のふたご 5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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