森へようこそ (ピュアフル文庫)

著者 :
  • ジャイブ
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本棚登録 : 69
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861763564

感想・レビュー・書評

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  • 物語のリアリティとは何をもって言うことなのだろうか。ここでは植物の声を聞いたり植物と同調するという超常現象じみたことが出てきます。しかしそれをもってリアリティがないというのは違うと思うのです。これはそういうものそういうお話として設定を受け容れたあと、そのことによる登場人物の感情や行動に納得し得るかどうか。そこが物語に於けるリアリティなのではないでしょうか。
    ずっと離ればなれにいた双子の弟に、植物の声が聞こえるという変わった能力があるということ。そのためにクラスの子らと馴染めず不登校となっていること。それに対して美森ははじめ変だと思い、後に瑞穂に共感していく。その感情の移り変わりは実にリアリティがあったのです。だからこそ読者も美森や瑞穂に感情移入していけるのでしょう。
    そして登場する大人がみな子どもに対して正直なのですね。正直過ぎて自分の弱さも自分勝手さも見せてしまうので、子ども側からすれば大変なのですが。その描写もこの物語を支えるものともなるのでしょう。
    弱いものや自分たちと異なるものを排除し攻撃するということ。そのこともさらりと書かれているため、怖さを感じさせます。問題から目を背けた担任の先生はその行ないを悔いますが、実際にいじめていた子らはそれに対して罪悪感は持っていないように見える書かれ方にも怖さが募ります。それでいながらいじめられていた側が自らの強さによって前に進むことで、一旦物語は幕を閉じます。さて、その後クラスはどうなるのだろう、と気になったのですが、この物語の主題は家族の再生。クラスの再生はまた別のお話となるのかも知れません。
    全体の流れからは心温まる物語なのでしょうが、そんな登場人物たちの感情のリアリティに怖さをも感じた作品でした。

  • 主人公の美森は、突然母と離婚していた父親と双子の弟瑞穂と暮らすことになる。瑞穂は植物と会話できるらしい…!そんな美森と瑞穂の物語。植物と会話できるなんて素敵!と思って最初は読んだけれど、改めて再読してみると、結構重いいじめとか、母親との関係とかがちゃんと描かれていて、考えてしまう作品。そしてとてもあたたかいお話。

  • もとは、児童書…なのかな?爽やかな読後感が味わえます。

  • 母親の海外赴任についていくのを拒否した小学生5年生の美森は、物心つく前に離れた父親のもとで暮らすことになる。
    大阪駅からたった電車で30分のそこで待っていたのは、樹木医の父と緑にあふれたボロボロの家。
    そして、「植物の声が聞こえる」という双子の弟・瑞穂だった…。


    気の強い少女と特異な能力をもつ内気な少年、キャリアを追い求める母親、「異物」に対するいじめ…と、YA文学の王道設定でまっすぐなストーリーが展開される。

    ラストは消化不良気味。
    いじめや能力について放置されてしまっているのが気にかかる。
    テーマは「家族の再生」ということだが、学校の関係についてもフォローが欲しかった。
    また、意外と父親の存在感が薄い。

  • 森に関連する物語が読みたくて手にとってみたけど、良くも悪くもYA向けだった。崩壊しかけた家の再生とか、教室という閉鎖的な社会を成り立たせてゆくための犠牲についてとか。でも、悲壮な感じは全くしない。かなり予定調和な部分があるのとファンタジックすぎる部分(例えば主人公の弟の特異体質)があるからだろう。まあ、YA対象ならこのくらいでもいいかなーという感触。植物に触れる内に優しい気持ちを取り戻してゆくっていうのはガーデニングセラピー的な意味なんだろうな。

  • 中国へ転勤になった母と別れ日本で暮らすことにした少女が主人公。離婚した父親と双子の弟の住む通称花屋敷で暮らすことになるが、弟には植物の声を聞くことができた。爽やかな読後感。
    2010/1/4

  • 海外勤務の母と別れて、大阪に行くことになった少女・美森。美森が暮らすことになるのは、大阪郊外の「紅葉谷」と呼ばれる自然豊かな森の洋館だった。そこには両親の離婚後、一度も会っていなかった父親と、二子の弟・瑞穂が待っていた。登校拒否児の瑞穂は、「植物の声が聞こえる」という不思議な少年だった・・・・・・。「ビート・キッズ」の著者が描く、ちょっと不思議で心あたたまる家族再生の物語。(ピュアフル文庫紹介文より)


    なんだかありえない話が多かった。
    木々の声が聞こえる、っていうのは、何となく良いにしても、
    山火事の場合は自分の皮膚が爛れたり、台風の時は皮膚から原因不明の水が大量に出てきたりと、
    摩訶不思議すぎる話が多すぎた。

  • 児童向けなんだけれど、大人になった視点から読むとまた違う感想が持てます。
    先生やお母さんの感情も良く分かるし。

    森や木が語りかけてくるところがとてもリアルでした!
    種明かし(?)がちょっと微妙な気もするけれど、
    心温まるお話でした。

  • 森の香りがします。。

  • 19年7月
    ものすごーくフィクションだけど
    さわやか〜。

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著者プロフィール

著者/風野潮
大阪府生まれ。大学時代は吹奏楽部に所属。第38回講談社児童文学新人賞を受賞した『ビートキッズ』で1998年にデビュー。同作で、第36回野間児童文芸新人賞・第9回椋鳩十児童文学賞受賞。その他の作品に「クリスタル エッジ」シリーズ、「竜巻少女」シリーズ、『レントゲン』(いずれも講談社)などがある

「2018年 『氷の上のプリンセス ジュニア編2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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