船に乗れ!〈1〉合奏と協奏

著者 :
  • ジャイブ
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レビュー : 227
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861765797

作品紹介・あらすじ

音楽一家に生まれた僕・津島サトルは、チェロを学び芸高を受験したものの、あえなく失敗。不本意ながらも新生学園大学附属高校音楽科に進むが、そこで、フルート専攻の伊藤慧と友情を育み、ヴァイオリン専攻の南枝里子に恋をする。夏休みのオーケストラ合宿、市民オケのエキストラとしての初舞台、南とピアノの北島先生とのトリオ結成、文化祭、オーケストラ発表会と、一年は慌しく過ぎていく。書き下ろし、純度100パーセント超の青春2音楽小説。

感想・レビュー・書評

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  • 読み手を試すかのような、苦い苦い独白と
    今の自分の年齢で、音楽と哲学を真に理解しているのは
    「高貴な人間」である自分くらいだ、と信じて疑わない主人公サトルの自意識過剰ぶりに
    音大受験の頃の自分や友人が重なったり重ならなかったりして
    アナフィラキシーショックを起こしそうだったプロローグと第一章。

    珍しく読むのを中断して、いったん本を寝かしておこうかなと思ったけれど
    親戚のほとんどが芸大卒という音楽一家に育ったサトルが
    当然受かるとタカをくくっていたチェロでの芸高受験に失敗し、
    祖父が創設した私立音楽高校を受験する第二章から、俄然面白くなってきて。。。

    好きになった子とお近づきになるために、意を決して室内楽のトリオに誘ったり
    どうがんばってもメンバーの足りない学内オケのために
    専攻楽器とは別にやったこともない楽器を副科で選ばされて泣く子が出たり、と
    あまりにも懐かしい音高の風景がリアルに描かれています。

    完全なソリストタイプで鼻持ちならなかったサトルが、
    メンバーの腕を信頼した上で、お互いに火花を散らすように音で競り合う「協奏」にも
    全員が一滴の水となって美しい湖を構成するかのように
    抑制しつつ大きなハーモニーを作り上げる「合奏」にも
    震えるような感動を抱けるようになっていく様子に、ほっと胸を撫で下ろしたりして。

    ホーム・コンサートでそんなサトルの成長を目の当たりにしながら
    賞賛の言葉を一切かけなかった祖父が
    その時アドリブで弾いてくれたバッハのコラール605と615のタイトルが
    「かくも喜びあふれる日」、「汝のうちに喜びあり」 であったことを
    20年ちかく経ってからサトルが知るシーンに涙して

    「あらゆるものが音楽だ」と高揚するサトルが、やっとかわいらしく見えてくる第1巻。

  • (2012/11/14再読)
    私が人生で後悔していることがあるとすれば、それは「楽器が弾けない」ということです。
    何か1つでも、楽器を弾くことが出来れば、人生がもっともっと潤っていたんじゃないかなぁと思うんです。
    かろうじて、ピアノだけは本当に少々弾けるので、大人になってから自分で電子ピアノを買い、独学で練習していたこともありました。
    ただ、誰に聴かせるわけでもなく、目標のない練習というのは、あまり張り合いがないもので……。

    だから、この本の登場人物たちが、うらやましくてなりませんでした(主人公はちょこっと嫌な奴だけど)。
    オーケストラなんて、やってみたかった!
    もう一度人生やり直せたら、私は絶対吹奏楽部に入りたい。

    小学5年生のとき、有志だけの参加で、「6年生をおくる会」でスターウォーズのテーマを合奏したことがありました。
    私は鉄琴でした。
    みんなで放課後練習したり、本番さながらの練習のため、音楽室から体育館に楽器を運んだり。
    あの経験がとっても楽しかったことを、この本を読んで思い出しました。

    今、娘2人がピアノを習っています。
    長く続けて、楽器を弾けるということがどれだけ「得」していることなのかということを知ってほしいな。

    しかし、この本読むの2回目なのに、この巻はともかく、この後どうなるのかが全く思い出せない…。
    最後まで読んだっけ?

    全然感想になってなくてすみません。

  • 追記:
    かなり鬱陶しいなと思っていた、凝りすぎな表現多用の本作も、主人公が高校に入ってからの話に面白さが感じられるようになった。
    耳慣れない哲学や音楽の難しげな言葉に惑わされてしまいそうになるけれど、この作品は誰もが経験する青春ストーリー。
    その中に自分を投影できるので懐かしさも感じられる。

    ただ全体にライトノベルのような軽快さがあるのは、描かれている悩みや困難が青春を走り抜ける時のものであって、人生を送るための重さをまだ伴っていないからだろうか

    (ここからは最初に書いた感想です。)
    読み始めてまだ数十ページであるけれど、こういう回りくどい(適切な表現ではないかも)というか理屈っぽい文章は高校生くらいまでは好きだったなあ。真似たりもした。
    今は読むのが辛い。
    途中放棄するかもしれない。

  • 最初の方は主人公の性格がなんか嫌で、正直面白くないと思ってしまったのだけど、主人公が音楽を通じて人と関わり成長していくにつれ面白くなってきた!おじいちゃんの曲選びがじーんときた。続きものだし、まだまだ序奏なんだろうな。続きも借りてこなくては。そして作者さん、音楽高校卒業なのか。2012/112

  • とにかく続きが読みたくなる。ⅡとⅢも出ているのだから早く読みたいのだが。
    話は、チェロをやっている津島サトルの高校生活。音楽に明け暮れる生活。バイオリン専攻の南枝里子への恋心。倫理社会の金窪先生との哲学的な話。挫折や自尊心と言うものが静かだが熱く語られて行く。
    音楽がわかる人はもっと興奮して読めるのかも。音楽に全く縁の無い私でもとっても面白かった。

  • 音楽少年が人とのふれあいを語っていく・・・。
    みたいなかんじ、なんだけど主人公の一人称で進んでいくのがいや。
    読みにくい・・・。

  • 高校の音楽科に通う主人公の日常をただ淡々と描いているだけなのに、なぜか惹きこまれて読んでしまう不思議な作品。
    なんか、休日の昼間にちょっとテレビをつけたらやってたドラマの再放送が面白くてついついさいごまで見ちゃったよ。みたいな。

    ハナシは主人公である自尊心高めの少年の一人称で描かれているのですが、主人公のみならず、登場人物ひとりひとりがそれぞれ抱えている若さゆえのイタさに、いちいち、「あー、あるな」とか共感しながら読みました。

    それぞれの人物を繊細に描写し、音楽学校という、我々一般人からみれば特殊な環境の日常を淡々と見せながら、さらに読み手を惹きつける文章力にすっかりハマっちまったカンジです。

    ただ。登場人物のなかにひとり、なにかとお節介な女子がいるのですが、ソイツのキャラだけはなんかまんがチックで違和感を覚えましたが。

    音楽学校が舞台なので、音楽用語やクラシックの曲名などがふんだんに出てきますが、音楽に詳しくないヒトでも面白く読めると思いマス。
    どちらかというと私もクラシックは苦手なほうなのですが、この本に出てくる曲を聴いてみてえな。と思いました。

    この本は3巻あるシリーズの第1巻にあたり、ところどころに出てくる過度ではない控えめな伏線に、続巻でなにが起こるのかと、心地よい期待を抱きました。

    つづきが気になります。


    http://blueskyblog.blog3.fc2.com/blog-entry-1728.html

  • まず読んでしまうつもりで読み始めたが、トリオあたりから、線を引かずにはいられなくなって(小説で線を引くことは稀なのだが)、若干 読むスピードが落ちてしまった。

    BWV605と615のくだりは、やられた。
    CD買っちゃおうかなと思ってしまった。
    とりあえずYouTubeで曲聴いて、IMSLPで楽譜を手に入れた

  • 作者の藤谷さんは洗足音大付属高校でチェロを専攻されていたそうで かつてのご自分がモデルになっているようです。大変な話題作ですが、音高に通う高校生達の話、ということで よくある青春小説(苦手な分野)だろうと勝手に思い込み読まずにいましたが、その思い込みを撤回します! 全3巻という長編ですが、最初から最後まで本当に面白い!その上、勉強にもなります。 第1巻のサブタイトルの「合奏と協奏」ですが、この違いを“演奏家の心理”という視点から描写されていて 目からウロコが落ちました。作中で主人公が観に行くモーツァルトの「魔笛」をものすごくものすごく 観に行きたくなりました。

    • 円軌道の外さん

      はじめまして!
      フォロー感謝感激です(^O^)

      自分もロックバンドですが一応音楽に携わっているし、
      素敵なレビュー読ませても...

      はじめまして!
      フォロー感謝感激です(^O^)

      自分もロックバンドですが一応音楽に携わっているし、
      素敵なレビュー読ませてもらって、
      この本に興味を持ちました。

      また色々と参考にさせてもらうんで
      今後とも宜しくお願いします(^_^)v

      2012/01/08
  • 面白い本です。ありきたりな言葉だけど、青春っていいなーと思える本。
    主人公は、私立高校の音楽科でチェロを専攻している男の子。この子がまたいちいち鼻につく性格をしてる子で、自分をちょっと特別だと思ってたり、哲学書読んでる俺かっこいいと思ってたり、自意識過剰なくせに変なとこで勇気でなかったり、実際に近くにいたら絶対友達になりたくないタイプだなあと思うんだけど、こういう十代の頃の若さ故の勘違いって憎めないから嫌いになれない。
    オーケストラで自分ひとりではない誰かと合わせることの楽しさや難しさを学んだり、初恋を経験したり、王道なんだけどそれが面白い。続きを読むのが楽しみです。

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著者プロフィール

1963年東京都生まれ。日本大学藝術学部映画学科卒業。2003年、『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』でデビュー。08年、『いつか棺桶はやってくる』で三島由紀夫賞候補。10年、『船に乗れ!』三部作で本屋大賞第7位。14年、『世界でいちばん美しい』で第31回織田作之助賞受賞。他の著書に『燃えよ、あんず』『綾峰音楽堂殺人事件』などがある。

「2019年 『花や今宵の』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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