- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861765797
作品紹介・あらすじ
音楽一家に生まれた僕・津島サトルは、チェロを学び芸高を受験したものの、あえなく失敗。不本意ながらも新生学園大学附属高校音楽科に進むが、そこで、フルート専攻の伊藤慧と友情を育み、ヴァイオリン専攻の南枝里子に恋をする。夏休みのオーケストラ合宿、市民オケのエキストラとしての初舞台、南とピアノの北島先生とのトリオ結成、文化祭、オーケストラ発表会と、一年は慌しく過ぎていく。書き下ろし、純度100パーセント超の青春2音楽小説。
感想・レビュー・書評
-
洗足学園音楽大学付属高校が舞台。
曲はメンデルスゾーンのピアノトリオ。
純粋な青春小説なので内容的な深みは少ないですが
「若いっていいな~」って昔を懐かしく思います。
三部作なのであと二冊読もうという気になりました。
最後のバッハの曲の選び方が秀逸。
本屋大賞7位なのか、、、知らんかった。
メンデルスゾーンのピアノトリオも学生の時に
レッスンしてもらったのでとても懐かしい。
この曲、結構ピアノが難しいんよね~。
曲の造詣が深いな、、と思っていたら
作者はチェロを弾くらしい。納得。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読み手を試すかのような、苦い苦い独白と
今の自分の年齢で、音楽と哲学を真に理解しているのは
「高貴な人間」である自分くらいだ、と信じて疑わない主人公サトルの自意識過剰ぶりに
音大受験の頃の自分や友人が重なったり重ならなかったりして
アナフィラキシーショックを起こしそうだったプロローグと第一章。
珍しく読むのを中断して、いったん本を寝かしておこうかなと思ったけれど
親戚のほとんどが芸大卒という音楽一家に育ったサトルが
当然受かるとタカをくくっていたチェロでの芸高受験に失敗し、
祖父が創設した私立音楽高校を受験する第二章から、俄然面白くなってきて。。。
好きになった子とお近づきになるために、意を決して室内楽のトリオに誘ったり
どうがんばってもメンバーの足りない学内オケのために
専攻楽器とは別にやったこともない楽器を副科で選ばされて泣く子が出たり、と
あまりにも懐かしい音高の風景がリアルに描かれています。
完全なソリストタイプで鼻持ちならなかったサトルが、
メンバーの腕を信頼した上で、お互いに火花を散らすように音で競り合う「協奏」にも
全員が一滴の水となって美しい湖を構成するかのように
抑制しつつ大きなハーモニーを作り上げる「合奏」にも
震えるような感動を抱けるようになっていく様子に、ほっと胸を撫で下ろしたりして。
ホーム・コンサートでそんなサトルの成長を目の当たりにしながら
賞賛の言葉を一切かけなかった祖父が
その時アドリブで弾いてくれたバッハのコラール605と615のタイトルが
「かくも喜びあふれる日」、「汝のうちに喜びあり」 であったことを
20年ちかく経ってからサトルが知るシーンに涙して
「あらゆるものが音楽だ」と高揚するサトルが、やっとかわいらしく見えてくる第1巻。 -
追記:
かなり鬱陶しいなと思っていた、凝りすぎな表現多用の本作も、主人公が高校に入ってからの話に面白さが感じられるようになった。
耳慣れない哲学や音楽の難しげな言葉に惑わされてしまいそうになるけれど、この作品は誰もが経験する青春ストーリー。
その中に自分を投影できるので懐かしさも感じられる。
ただ全体にライトノベルのような軽快さがあるのは、描かれている悩みや困難が青春を走り抜ける時のものであって、人生を送るための重さをまだ伴っていないからだろうか
(ここからは最初に書いた感想です。)
読み始めてまだ数十ページであるけれど、こういう回りくどい(適切な表現ではないかも)というか理屈っぽい文章は高校生くらいまでは好きだったなあ。真似たりもした。
今は読むのが辛い。
途中放棄するかもしれない。 -
あぁこんな気持ちあったなぁって甘酸っぱい気持ちになる青春小説。
自分では恥ずかしくて逃げだしたくなることばかり覚えてるけど,読んでいくうちにそんな気持ちも得難いものだったと思えます。
チェロのことはよくわからないけど,関係なく楽しめます。
個人的には倫社の金窪先生が好き。
ずっと読みたかったんだけど,やっと手にとりました。
続きが楽しみです。 -
どうしよう、面白い!!!
…なんだよ「どうしよう」って(^_^;)いや、正直ここまで自分がのめりこむと思わなかったのだ。私にとっての藤谷さんは、「下北沢」な「フィクショネス」の店長さんで、真正面から「青春!」なんて言わなそうな人だった。だから、この本がどんなにいい作品でも、バカ売れしてスポットライト浴びるなってちょっとイヤだなと思っていたのだ(身勝手)。だが、読み始めて即夢中になった。
頭でっかちだった主人公が、名門の学校を落ちてしぶしぶ祖父の高校の音楽科に入学してから、そこからのめざましい成長っぷりったら!恋と友情なんて手垢のつきまくったテーマかもしれないが、実に瑞々しく、新鮮に描かれている。「のだめ」プラス「一瞬の風になれ」とはいいたとえ。スピード感があり、演奏シーンも臨場感があり、すごく読み応えあり。音楽を知らない人でも楽しく読めるのは勿論だし、知ってる人なら更に楽しめる。藤谷氏は本当に深く深く音楽を愛している人だと、行間から滲みまくりだから。
一行しか書いてないけど、フォーレの「レクイエム」、クリュイタンス指揮なんて私も大好きな演奏だし、後半に出てくるメンデルスゾーンの解釈も素晴らしい。私の大好きな作曲家なので、そのようにメンデルスゾーンを表現してくれたことがすごく嬉しかった。そこかしこにクラシックの小ネタがちりばめられているので、読んでいて楽しい。
私自身、オケではないけどブラバンを6年経験しているので、どうしても当時の思い出と重ねてしまい、泣くシーンじゃないのに涙がぶわっとあふれたり。いやいやいや、激ホメしていた豊崎社長の仰るように、10万部いってほしいかも。スポットライト浴びるのやだやだなんて言いません、むしろ浴びてほしい!!続きが激しく気になります!!さりげなく伏線張ってる、あれとかそれは今後どうなるのか〜〜。
そしてやっぱり、音楽ものはよいです。彼らの青春に乾杯!! -
最近ミステリ仕立ての音楽小説を数冊読みましたが、こちらはミステリ色のない青春もの。後半に行くにつれてどんどんアレグロに!自分は他の人達とは違うんだと、斜に構えていた少年。不本意な学校に進学したことが彼の運命を大きく変える。仲間や先生、でも何といっても彼を大きく変えたのは恋!音楽と恋の合奏がとてもテンポよく、ぐいぐい観客を引き込んでいく感じでした。彼の母親がまた素敵。ただ気分良くなるために鳴らしたものは全て音楽なんですね。今後の展開には暗雲も立ち込めてきそうで先が気になります。
-
(2012/11/14再読)
私が人生で後悔していることがあるとすれば、それは「楽器が弾けない」ということです。
何か1つでも、楽器を弾くことが出来れば、人生がもっともっと潤っていたんじゃないかなぁと思うんです。
かろうじて、ピアノだけは本当に少々弾けるので、大人になってから自分で電子ピアノを買い、独学で練習していたこともありました。
ただ、誰に聴かせるわけでもなく、目標のない練習というのは、あまり張り合いがないもので……。
だから、この本の登場人物たちが、うらやましくてなりませんでした(主人公はちょこっと嫌な奴だけど)。
オーケストラなんて、やってみたかった!
もう一度人生やり直せたら、私は絶対吹奏楽部に入りたい。
小学5年生のとき、有志だけの参加で、「6年生をおくる会」でスターウォーズのテーマを合奏したことがありました。
私は鉄琴でした。
みんなで放課後練習したり、本番さながらの練習のため、音楽室から体育館に楽器を運んだり。
あの経験がとっても楽しかったことを、この本を読んで思い出しました。
今、娘2人がピアノを習っています。
長く続けて、楽器を弾けるということがどれだけ「得」していることなのかということを知ってほしいな。
しかし、この本読むの2回目なのに、この巻はともかく、この後どうなるのかが全く思い出せない…。
最後まで読んだっけ?
全然感想になってなくてすみません。 -
最初の方は主人公の性格がなんか嫌で、正直面白くないと思ってしまったのだけど、主人公が音楽を通じて人と関わり成長していくにつれ面白くなってきた!おじいちゃんの曲選びがじーんときた。続きものだし、まだまだ序奏なんだろうな。続きも借りてこなくては。そして作者さん、音楽高校卒業なのか。2012/112
-
とにかく続きが読みたくなる。ⅡとⅢも出ているのだから早く読みたいのだが。
話は、チェロをやっている津島サトルの高校生活。音楽に明け暮れる生活。バイオリン専攻の南枝里子への恋心。倫理社会の金窪先生との哲学的な話。挫折や自尊心と言うものが静かだが熱く語られて行く。
音楽がわかる人はもっと興奮して読めるのかも。音楽に全く縁の無い私でもとっても面白かった。 -
音楽少年が人とのふれあいを語っていく・・・。
みたいなかんじ、なんだけど主人公の一人称で進んでいくのがいや。
読みにくい・・・。
著者プロフィール
藤谷治の作品






この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。





