- Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861820144
作品紹介・あらすじ
"男らしさ"の近現代史。騎士道、ヴィンケルマンによるギリシア礼讃から近代体操の発明、そしてナチスによるユダヤ人・同性愛者迫害を経て、第二次大戦後の大衆文化へ。近代社会の成立から20世紀末までを射程に、ナショナリズムの主要素としての"男らしさ"のイデオロギーを解明した、歴史家モッセの晩年の傑作。
感想・レビュー・書評
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(後で書きます)
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私たちが「男の標準」「男らしい」と(自明に)思っているイメージとは何か、を歴史的に積み重ねていった本。manが、maleでもhumanでもある、と解釈された近代市民社会に、それ以降の差別や偏見の根源があると主張する。
しかし、全体的に記述が茫洋としている印象が否めない。ひとつには、その「男らしさ」の起源や形成が解き明かされていないからだろう。それは「近代史」という区分の限界かもしれない。また、「男らしさ」が他項との対比でしか語られないあいまいなものであるからだろう。
それでもモッセのこの作業は、男のジェンダーを含んだ性の歴史を記述していく上で、とても大事な一石となるだろう。 -
W大学修士課程ジェンダー関係論ゼミのテキストだった。セジウィック『男同士の絆』http://booklog.jp/users/utsu/archives/4815804001より読みやすい、と言われて期待して読み、なるほどと思ったのは、セジウィックよりは予備知識が少なくてよいことだった。ただ、セジウィックが文学批評であるように、モッセは歴史書なのね。そのあたりが、慣れてないとちょっと手間取る。感覚的にはスコットhttp://booklog.jp/users/utsu/archives/4582765165を読んでいるときのような気分。で、言っているメッセージはわかりやすい。いろいろ変化はあったものの、ヨーロッパの男性性(とくにヴィジュアルにわかるような)は近代の産物であって、根幹は変わっていない。女性やセクマイのことを考えるときも、この男性性を無視はできない、ということ。実際そうだと思うよ。