- 本 ・本 (172ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861821288
感想・レビュー・書評
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タックスヘイブン、オフショア市場といえば、ケイマン諸島などの南の島の小国や、パナマ・リベリアなどの便宜置籍船国がパッと思いつくわけですが、スイスなど銀行業での秘匿性を強化している国や、ロンドンなど規制の緩い国際金融市場なども含めるのだということを、この本で初めて知りました。
タックスヘイブンの歴史、そこで誰が何を行っているのかについて、客観的かつ網羅的に解説されており、自分のような素人が何となく全体像のイメージを掴むにはいい本です。
といっても概要のみの記述なので、具体的にタックスヘイブンがどんな利用のされ方をしているのかはさわりしか分からない。
特にユーロダラー市場については、どんな仕組みで何が問題なのかなどが理解できずやや消化不良でした。
マネーロンダリングやテロマネーなど犯罪がらみは別として、租税回避のためのタックスヘイブンの活用は、完全にグローバル経済に組み込まれており、もはやそれなしでは世界経済が成り立たないほどになっているようです。
当然その分、各国政府の租税収入は損なわれているわけですが、それを規制すれば国際経済活動全体が収縮してしまうがために、国際的な規制の取り組みもなかなか強化されない。
「必要悪」として確固たる位置づけを占めてしまっているわけですね。
そんな事情もあってか、グローバル経済にこれだけ深く組み込まれているタックスヘイブンですが、体系的に研究された例は極めて少ないそうです。
自分のような一市民にはなんだか雲をつかむような話ですが、こうやって世界中をお金が回っているのだ、こうやって莫大なお金を稼いでいる人たちがいるのだ、というようなことを何となく知っておくのも必要なことのように思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タックスヘイブンの歴史的な成り立ちから仕組みまでを俯瞰することができる。グローバル経済は実は闇のシステムによって動かされている部分が大きい。このシステムの打破は簡単ではないが、このように誰か警鐘を鳴らし続けなければならないのだ。
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【図書館報「みずもと」第27号(2008)による紹介】
しばしばマネーロンダリングの舞台として闇経済のイメージで語られるタックスヘイブン-しかしその実態は人々の欲望の徒花といったものにとどまるものでは到底なく、経済のグローバル化の本質的な部分を成している。その歴史をたどると、規制を試みつつ自らも一種のタックスヘイブンであるオフショア市場を整備してきた先進諸国の矛盾に満ちた姿も見えてくる。「資本が逃げて行くので法人税をもっと安く」という声の先にあるものは果たして…。
亀田正人先生
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言い回しが難解。
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マネーロンダリングの良い点を知るには良著。
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比較的新しい本なので(それでも2年前ですが)おそらくほぼ今と変わらない現状で読めたと思います。
タックスヘイブン=ヘブンは天国と訳されてしまいがちですが、回避出来る所としての意味があります。
ただ、欧米では向こう側の直訳で「パラダイス」となっています。
主要なタックスヘイブンの島や国、ちょっとした歴史、実情、今後どの場所が良くなるか、等中の人の目線で書かれています。
著者はアメリカの経済学者2人。
タックスヘイブンは基本的にマフィアやテロ団体の資金洗浄に使われると言いますが、それ以外にも個人の富裕層や信託、その他資産運用によく活用されています。必要悪なのです。 -
組み込まれてるね。。。