牛頭天王と蘇民将来伝説――消された異神たち

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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861821448

作品紹介・あらすじ

各地に残る「蘇民将来子孫」の伝説。「備後風土記」にも描かれ、千数百年にわたって民衆に支持されてきたこの神々とはいったいどういう神か。土着的でありながら記紀神話とは異質の蕃神性を伴う神格の由来を辿り、日本人の魂の源泉を探る渾身の書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 幅広い民間信仰を得た異形の神といえば、牛頭天王は最右翼でしょう。その逸話に登場する蘇民将来も語感からして異国的です。この起源を知りたくて手に取りました。結果、思いの外深いところまで知ることができました。それにしても、廃仏棄釈の罪は深いですね。牛頭天王を祀る天王社は⇒八坂神社・津島神社と名を変え、世を偲んでいます。また、仏教美術で破壊されたり、海外に二束三文で流失したものは厖大です。タリバンの石窟破壊を批判できません。改めて、廃仏棄釈については、研究をタブー視せず、深めて欲しいと思いました。

  • 図書館で借りた。

  • 祇園祭で有名な京都の八坂神社の祭神は、スサノオノミコトというのが表向きだが、牛頭天王という聞きなれない名前の神様が、本来の祭神である。
    難波八坂神社で結婚式を挙げた私にとって、八坂=祇園社=牛頭天王は因縁浅からぬものがあって、以前より気にかかっていた。にもかかわらず、牛頭天王に関する資料は、インターネットで調べてもほとんど何も分からない。
    そんな、喉元に引っかかった小骨のようななぞを、本書は解き明かしてくれる。
    明治政府の廃仏毀釈によって徹底的に排除された神々が、しかし今も日本人の心の奥底に棲みついていることを改めて思い知らされ、感慨深い。
    フィールドワークによる検証は紀行文のようでもあるし、文献資料も豊富。
    2007年読売文学賞受賞。

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著者プロフィール

1951年2月、網走市に生まれる。文芸評論家。1981年「異様なるものをめぐって──徒然草論」で群像新人文学賞(評論部門)優秀作受賞。1993年から2009年まで、17年間にわたり毎日新聞で文芸時評を担当。木山捷平文学賞はじめ多くの文学賞の選考委員を務める。2017年から法政大学名誉教授。
『川村湊自撰集』全五巻(作品社、2015‒16年。第1巻 古典・近世文学編、第2巻 近代文学編、第3巻 現代文学編、第4巻 アジア・植民地文学編、第5巻 民俗・信仰・紀行編)。

「2022年 『架橋としての文学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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