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- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861822704
感想・レビュー・書評
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もう3回も読んでしまった。
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「言い残しておくこと」
彼をリスペクトし、鶴見俊輔ファンなら誰しも買わないわけにはいかないだろう。鶴見俊輔はその本人が「自分はいつ死ぬかわからない」と言ったことをいろんなところで口にしているし、彼が元気なうちに、たくさんの言葉を拾って本にしたい、というシンパが出版社の中にたくさんいることも容易に想像ができる。
私はこの本を生協で手にとって、目次を開いて速攻購入をきめ、電車に乗る時間ももどかしく開いて読んだのだ。
そして2回目を昨日読み終わった。
鶴見俊輔の著作の中でも特にエッセイや近年多い対談集などを多く読んでいる人だったら何度も聞いたことのあるエピソードが詰まっている。
私が好きなのは、たとえば「埴谷雄高の見事な所作と丸山眞男の思想史的つぶやき」という章。
彼の周りの人間(彼と同年代の戦後知識人たち)に対する観察眼はとてもおもしろくて、何度読んでも知的好奇心を刺激される。彼の本を通して、戦後思想や社会の流れを私は前よりもっと興味を持って知ろうとするようになった。
そして彼の言うエリートに対する考え方、牢屋に入った人間が偉いと思っていた、とか、一貫して共産党を指示する一方で、人間は人間を肉体的に抹殺しうるだけの正当な思想的根拠を持つことはない、だから死刑には反対だし、マルクス主義とも違う、という点にはいつも感化される。
私の鶴見俊輔熱をさらに高める作品でした。