アメリカは歌う。――歌に秘められた、アメリカの謎

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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861822759

作品紹介・あらすじ

「九」という数字は、なぜ悲しみと不吉さをまとっているのか?アメリカ人は、なぜかくも多くの殺人をテーマとする歌を生み出したのか?黒人霊歌には、なぜ同じような歌詞が繰り返されているのか?ヒラリー・クリントンは、なぜ「私たタミー・ウィネットの歌に出てくるような女ではない」と言ったのか?歌詞に秘められた謎を読み解き、知られざるアメリカをあぶり出す。目からウロコのアメリカ史。

感想・レビュー・書評

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  • 若干、感傷的だったり、こじつけのような、ふくらませ過ぎのような気がする箇所もある。唄の解釈で、まじめにとらえ過ぎなのではないか、と思われるものもある。たとえば、「9」という数字に深い意味が込められている、という説とか、クレメンタインの唄は「悲劇的である」等々。
    しかし、こうした違和感のある箇所を差し引いても、膨大な資料にあたって集めたであろうデータや、それについての考察、歌詞の引用など、参考になる点の多い本だった。
    ジョンヘンリーのこと、アパラチアのマーダーバラッドのこと、奴隷解放運動のこと。そして最後は、女性の生き様の変化について、各時代の歌詞と絡めて考察している。足を運んで調べた情報はやはり臨場感があって面白い。中でも、歌詞の変遷や類似品に関する記述は特に興味深かった。

  • <閲覧スタッフより>
    歌には何かしらの特別な意味が込められているのではないか…著者の人生にかかせなかったアメリカの歌の背景に迫ります。昔は”ケンタッキーの我が家”の歌詞に”奴隷”という言葉が入っていましたが、現在では変更されているとあります。このようにそれぞれの歌の背景には当時のアメリカ文化を強く表しており、現代へと引き継がれて歌われていると思うと考えさせられるものがあります。
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    所在番号:762.53||ヒカ
    資料番号:20097560
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  • どちらが姉か妹か分からないが、『アメリカは食べる。』の姉妹編。博覧強記の著者と一緒にアメリカ各地を巡り、いろいろ話し、あれこれ考えたような気持ちになれる。
    興味深いトピックはたくさんあるが、個人的には第四章「ドアマットからの脱出」が白眉。カントリーミュージックの中で歌われる女性像とそれを聴く女性たち、さらにはその女性たちが暮らす社会の変化を、旅人ならではの視点で語っている。

  • 音楽好きには、とても興味深い内容。色々何となく不思議に感じていたことの答えが出た。また、今後アメリカの音楽や小説、映画、その他アートをより深く楽しみ理解する助けになっていきそうに思った。
    ちなみに、ブルースやカントリー、ジャズに興味がなくても、ロックが好きなら楽しめると思います。該当曲を聴きながら読むのがお勧め。
    少しこじつけ?と思うところもあるけれど、それを差し引いてもアメリカ文化を何らかの形で楽しんでいる人は読んでみたら良いと思います。

  • 本の雑誌で青山南氏が言及していた本。カントリーの世界にはマーダー・バラッドという実際の殺人事件を扱ったものが数多く存在するというのだ。それは本書の第二章にあたり、背景に貧しく独特なアパラチア地方の文化と歴史があることを解き明かす。全四章からなる本書のテーマは貧しい肉体労働者・奴隷制下の黒人・抑圧された女性、どれもがアメリカの影の部分に追いやられていた人々だ。そうした人たちの声なき声が歌にのせられていく、というのが本書のテーマである。黒人奴隷たちが作り歌ったニグロ・スピリチュアルの歌詞に込められた裏の意味を書いた第三章がスリリングだが、どれもアメリカ文化・カントリーに造詣の深い著者ならではと思わせる面白さだ。楽しみながら読むうちにアメリカの入植の歴史についての知識もつくというお得本でもある。

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