私は売られてきた (金原瑞人選オールタイム・ベストYA)

制作 : 金原瑞人  金原瑞人  代田亜香子 
  • 作品社
3.91
  • (7)
  • (16)
  • (10)
  • (0)
  • (0)
  • 本棚登録 :86
  • レビュー :17
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861822810

作品紹介・あらすじ

貧困ゆえに、わずかな金で親に売られた13歳の少女。衝撃的な事実を描きながら、深い叙情性をたたえた感動の書。全米図書賞最終候補作、グスタフ・ハイネマン平和賞受賞作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • (2011.01.14読了)(2011.01.06借入)
    2010年11月6日(土)の「週刊ブックレビュー」で紹介された本です。
    番組のホームページでは、本の内容を以下のように紹介しています。
    「ネパールとインドの間で横行する人身売買の、衝撃的な実態を取材した物語です。ヒマラヤ山脈を望む小さな村。13歳の少女・ラクシュミーは、貧しさゆえ、街に働きに出されることになります。女中奉公だとばかり思い込んでいた彼女でしたが、連れて行かれたのは薄汚れた売春宿。故郷から遠く離れた都会の片隅で、想像を絶する地獄の日々が始まります。今この瞬間も続いている悲惨な現実。感受性豊かな少女のまなざしが、読む者の胸をえぐります。」
    これ以上の紹介文は、簡単には書けませんので、借用させてもらいました。

    アメリカのジャーナリストが、関係者に取材して、物語として作り上げた本です。登場する人物は、実在の人物ではありませんが、実際にあった幾つかの人物の話を組み合わせて構成し直した話ですので、訴える力はあります。
    一人の少女、ラクシュミーが綴った形で書かれていますので、読みやすいのですが、内容は悲惨です。
    インドには、カースト制度があって、不可触民が警察に訴えても相手にしてもらえない、という話を読んだことがあります。この本では、アメリカ人が、救済団体として登場します。インドも経済成長により、社会も変化してきているのかもしれません。
    具体的な国の名前や都市の名前が書かれていませんが、主人公がそのような知識をもっていないからなのでしょう。僕も、あとがきを読んで、どこの話なのかを知りました。
    物語の中で、ラクシュミーの同僚が、売春宿での借金をすべて返し終えて、自分の家に帰る話が出てくるのですが、自分の家に帰ったら一家の中に恥ずかしい仕事をしたものが一緒にいるのは、世間に恥ずかしいから帰ってくるなといわれて戻ってきた、ということが書いてありました。家族のためにと自分を犠牲にしたのに、その家族に拒否されてしまうという悲惨、やり切れない思いです。

    ●足し算と引き算(104頁)
    いろいろ計算してみた。毎晩6人の男を部屋に連れてきて、一人30ルピーずつ払っていくとしたら、一日で180ルピー分、あたしが家に帰れる日が近くなる。あと百日働けば、ムムターズに借りてる二万ルピーはほとんど返せるはずだ。すると、シャハンナが街の引き算を教えてくれた。男たちが払うお金の半分は、ムムターズのものになる。それから、ムムターズが毎日の食事代として請求する80ルピーを引かなきゃいけない。他にも、ベッドと枕を借りるお金が週に100ルピー、妊娠しないように月に一度あやしげな医者に打ってもらう注射代が500ルピー。
    (引き算の分を考慮したうえで、計算してみると毎晩6人では、借金が増えるばかりになるので、最低8人は必要そうです。)
    ●警官もぐる(112頁)
    「警官ならほんとは、ムムターズみたいな人が女の子を売るのをやめさせるはずでしょ。でも、ムムターズが毎週お金を渡すから、あの警官は見ないふりをしているの」
    ●信じてた(173頁)
    何を信じればいいのかわからない。ふわふわした黄色い服を着たよそのおばさんがあたしを街で女中として働かせてくれるんだって、信じてた。夫のおじさんが街の悪い人たちから守ってくれるって、信じてた。「しあわせの家(売春宿の名前)」で一生懸命働けば借金が返せるって、信じてた。あたしのしてることがみんな、家族のためになるって、信じてた。
    (2011年1月17日・記)

  • 売春街に売られた少女が書いた日記。そういう形をとった小説である。フィクションだが、実在の人物から聞き取った事実をもとに書かれている。

    「著者」の少女はネパールの寒村に生まれた。体が不自由で働けない継父が賭け事で家計を圧迫し、赤ん坊に与える食べ物にも苦労する毎日。
    楽しかった学校にも行けなくなった。
    ある年の洪水で作物がすべて流され、いよいよ生活が立ち行かなくなった矢先、少女は売られた——継父によって。

    汚職が国土を蝕み、「(首都)カトマンズからどの方角にでも十五キロ歩けば、赤裸々な格差社会が見えてくる」[1] というネパール。
    教科書のない学校で来ない教師を延々と待つ児童も多いという。
    本書の少女が通っていた学校は、教師がいるだけ恵まれているといえる。

    少女は売られた先の、地獄のような毎日の中でも学ぶことを止めない。英単語をノートに書き綴り、楽しかった学校を思い出す。


    本書には直接的な残虐描写がほとんどない。その点が類書と違う。
    露骨な描写は好き者を呼ぶだけなので、本書のようなテーマでは避けた方が良い。また、日記の形をとったことで読者の共感も誘う。
    読者に現実を知らしめるためには最良に近い書き方だと思う。

    原著の出版は2006年で、作中にディジタルカメラなどが登場することから、近年の話であることがわかる。
    同様のテーマの本と比べても、マリー=フランス・ボッツ『子どものねだん』の舞台は1990年代初期、ヤコブ・ビリング『児童性愛者―ペドファイル』が1999年頃なので、私が読んだものの中では最も新しい。
    本書は、児童売買が現在もなお頻繁に行われていることを教えてくれた。


    [1] 西水美恵子『国をつくるという仕事』p.176

  • 騙されて、言葉も帰り方もわからないインドの売春宿へ売られるネパールの少女。
    その数、年間およそ12,000人。
    体験談形式で語られる内容は、読むだけでつらくなる。

    売春宿での日々の状況もさることながら、売られる前の生活がつぶさに語られ、貧困が及ぼす影響の大きさについて考えさせられた。

    痩せ細った母親の骨張った背中をヒマラヤの山に例えたり、乾季や雨季のたびに病気の子供が死んだり、スミウルシノキの樹脂でインクを作る方法を子供に教える一方で母親はそれを飲んで堕胎したり。
    男の子は大事にされるが、女の子の扱いはひどい。娘はヤギみたいなものだ、乳が出てバターを作れるうちはいいが、シチューにするときは悲しむ価値もない、と言われる。
    ひどい亭主であっても、男手がいるだけまし、と女は絶対服従を強いられる。
    女児を売春宿に売るのは、ほとんどが家族や親戚だ。そして、年季が明けて奇跡的に帰ってきた女性を、恥として村から追い返す。
    売春宿に売れない場合は、手か足を切り落として物乞いに売る。その方がお金を恵んでもらいやすいから。

    根強くはびこる身分制度や男尊女卑、そしてギリギリの生活を続ける貧しさ。これらを解決しないと、悲劇はいつまでも繰り返される。

    この本では、主人公にとって希望的な終わり方が提示されたが、読み手の心に重い問題提起を残していく良書。

  • 160816 中央 ひこ
    ネパールの少女・クリュシュミナ(女神の名)・14歳 継父に売られインド コルカタの売春宿へ。アメリカのシェルターに救出される。年間12000人のネパール人少女がインドへ売られ、世界中で50万人の子どもが性産業に。

  • 言葉を失いました。

  • 性産業に従事させられる幼い少女たち。
    家族からお金と引き換えに、終わりの無い苦痛に沈められ、
    年季が開けても親から疎まれて家に帰ることもできない。

    非現実的な物語だけど今尚なくなることの無い悲劇だと感じた。
    男尊女卑の厳しさや心の摩擦など、まだまだ後進国では消えることの無い負の因習なのだと思う。

  • 今の世界で、こんなことがあっていいのだろうか・・
    世界は広すぎて、知らない事がおおすぎる。読むと腹立ちと悲しさとが押し寄せてくるけれど、知らないと前に進まない世界なのかもしれない。たくさんの人が知ることで改善されるなら、きちんと事実を受け止め、自分のできることをしていきたい

  • 悲しい現実
    いくら取り締まったって
    いくら非難したって…
    根本にあるモノを変えて行かなきゃ仕方がない
    私は無力すぎる…

  • ネパールの貧困層の少女が、インドの売春宿に売られて、そこを出れるまでのお話。
    少女の語りで書かれてるから、読みやすいけど、内容はエグイ。。

    事実なんだって事が悲しい。

  • ネパールの山奥で育った少女。
    インドの売春宿に売られ、そこでの酷い仕打ちを受けながら暮らす日々。

    実態を調査して書かれているので、生々しい文章だけれど、書かれている言葉は優しく、小学校高学年くらいの子でも読める。

全17件中 1 - 10件を表示

パトリシア・マコーミックの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

私は売られてきた (金原瑞人選オールタイム・ベストYA)はこんな本です

ツイートする