- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861822810
感想・レビュー・書評
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悲しい現実
いくら取り締まったって
いくら非難したって…
根本にあるモノを変えて行かなきゃ仕方がない
私は無力すぎる… -
ネパールの山奥で育った少女。
インドの売春宿に売られ、そこでの酷い仕打ちを受けながら暮らす日々。
実態を調査して書かれているので、生々しい文章だけれど、書かれている言葉は優しく、小学校高学年くらいの子でも読める。 -
毎年1万2千人近いネパールの少女が、家族によってインドの売春宿に売られているという実態。作者後書きでそれを知って驚愕してしまった。
この本の主人公ラクシュミーは13歳。山の貧しい暮らしを何とか助けたいと思い、町で女中として仕事を紹介するという女性に義父に売られてしまうのだ。しかしお金持ちの家の住み込み女中ではなく、故郷を遠く離れたコルカタの売春宿に売られてしまう。そこでは少女たちは劣悪な環境で、有無をいわさずお客を取らされる。初潮を迎えたばかりの少女には、それが何を意味するのかわからないまま。拒否すれば鞭で叩かれ、抵抗すればもっと酷い仕打ちをうけてしまうのだ。
そんな中ラクシュミーは、言葉を覚え、必死で自分の尊厳を失わないよう努め、保護してくれる人に出会うのだった。こういう現実があることを、まずは受け止め、私は何ができるのだろうと自問することになりそうだ。 -
貧しい生活にも楽しみを見出し、けなげに生きるネパールの少女ラクシュミー。ある日継父に売り飛ばされるが、最初は自分の身になにが起こったのか、わからない。自分が13歳の少女だったとしたら、当然だろう。金持ちの家で下働きをすることになると思っていたラクシュミーが、売春宿に売られたことを知るシーンは衝撃的だ。抵抗するラクシュミーは薬を飲まされ、無理矢理働かされる。
貧困と人身売買、女性蔑視などの厳しい現実が、胸に迫る。
希望がないように思えるなかでも、小さな楽しみを見つけ出し、勇気をふるい起こすラクシュミー。最後のシーンはぐっときた。 -
ネパールの小さな山村から、インドの売春街に売られてしまった13歳の少女の話。重いテーマだけど、ページを繰り始めたら止まらず最後まで一気に読んでしまった。
フィクションとはいえ、実在の人物の体験に基づいて書かれている。この本を読まなければこんなに恐ろしいことが現在の世界で日常的に起こっているとは思えなかった。
訳者の代田亜香子さんは訳者あとがきでこう語っている。「正直、これほどの胸の痛みと、ある種のあせりを感じながら原書を読んだのは、初めてです。読み終わったとき、ぜったいに日本で出版されるべき作品だと確信しました」
たくさんの人に読んでもらいたい本。
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ほんとうに、ほんとうに、重いテーマ。
作中に「ベッカムくん」が出てこなければ、
何十年も前の話だろうと、思ってしまったと思うけれど、
この舞台は、現代。
けれど、おなじ重い現実を正面から描いた物語として、
先日読んだ、戦争の物語より、わたしは、こちらのほうが、よかった。
作者の、どうにかしたいという、強い意志を
しっかり、感じました。 -
売られていく経緯が実話である「吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)」に酷似していて、小説とは思えません。
幸いにして「吉原花魁日記」のようなことは日本では亡くなったけれど、こちらは現在のこと。売られるのが12・3歳の子どもだというのも痛ましい。
主人公のラクシュミーは、幸運にもわずかながら読み書きを覚えることができ、ノートに記録をとりながら、暗黒の暮らしを生き延びます。「学ぶこと」がラクシュミーを支え、その心が壊れるのを防いだのです。
だけど、ラクシュミーの本当の望みは、こんな物語の主人公にならないことだったと思います。