国家債務危機 ソブリン・クライシスに、いかに対処すべきか?

  • 作品社 (2011年1月8日発売)
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  • 本 ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861823077

感想・レビュー・書評

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  • 2010年にギリシャ国債が暴落。本著の第1刷出版が2011年。必然、注目を浴びるのだが、そもそも我々は国債について、どれほど理解出来ているのだろうか。それが、国家主権や戦争とも密接に関わっている割に、正確に理解出来ていないのではないか。改めて勉強すべきだと手に取った。

    きちんと理解したい疑問。例えば、よく言われる日本の国債は、国民の貯金でカバーてきる範囲だから、まだ安全だという意見。あるいは、なぜ先進国がこぞって借金大国になっているのに、世界経済が成立しているのか。はたまた、債務不履行のような所謂、帳消しは許されるのか。これらに回答のヒントを与えてくれる。突き詰めれば、予測不可能という結論にはなるのだが、本著は、国家の債務の歴史やデフォルトの事例から、教科書的な税金と利息と国債の関係まで、説明してくれる。ちなみに、ソブリンとは主権者の意味で、訳者もこだわる部分である。

    そもそもジャック・アタリは世界的な経済学者である。基本的な教養としても読んだ方が良い。

  • 日本のデフォルトはあるのか?

  • 日本国債はデフォルトするのか?ある経済学者はもはや破綻は不可避だと言い、他の経済学者は全く問題ないと言う。どちらも偏った極論で容易に支持する事はできない。

    そんな中、この本では、国家債務の歴史から過去に破産した覇権国家の実例、「健全な債務」をはかる指標と歴史から学ぶ教訓を示した上で、今後起こりうる最悪のシナリオと世界が取り組むべき課題までが示されていて、国家債務について客観的に学ぶことができる。

  • (2011/3/31)
    フランス大統領の政策委員会をしきるジャック・アタリ氏が、国の債務放棄の歴史を追いながら、現状を分析、さらに未来への処方箋を示す。
    もちろんフランスに焦点は集まるが、日本の出番も多い。不名誉なこと。

    副題「ソブリン・クライシスに、いかに対処するか」
    のソブリンって、「ソブリンリスク」という言葉はよく聴いていたけど、恥ずかしながら意味がわかってなかった。
    主権、主権者、主権国、主権債務、そんな意味なのだそうで。この本ではじめて理解。

    債務放棄の歴史は面白い。
    いやになるくらい、国ってのは債務放棄をしている。
    一番気の毒なのはユダヤ人で、何度も債権をチャラにさせられ、おまけに資産を没収されている。

    日本語版序文 日本は、900兆円の債務を背負ったまま、未来を展望できるのか?
    序文 われわれは債務危機から逃れられるか?
    第1章 公的債務の誕生
    第2章 公的債務が、戦争、革命、そして歴史をつくってきた
    第3章 20世紀、<国民主権>と債務の時代
    第4章 世界史の分岐点となった2008年
    第5章 債務危機の歴史から学ぶ12の教訓
    第6章 想定される「最悪のシナリオ」
    第7章 「健全な債務」とそのレベルとは?
    第8章 フランスの過剰債務を例にとって考えてみると
    第9章 債務危機に脅かされるヨーロッパ
    第10章 いま世界は、何をなすべきか?
    付録 アタリ政策委員会と「第二次報告書」の概要について

    債務がGDPの2倍のわが国で、記憶にとどめておきたいのは、

    過剰な公的債務への解消策だ。

    増税
    歳出削減
    経済成長
    低金利
    インフレ
    戦争
    外貨導入
    デフォルト

    これしかないという。
    そして菅首相、というか後ろにいる官僚どもは増税を打ち出してきた。歳出削減には手をつけず。
    その議論のさなかに起きた大震災。復興に数十兆と早くもアドバルーン。
    国債発行して一儲けしようという輩がうじゃうじゃいる。
    アタリ氏の本を読めば、それは破滅の道であることがすぐわかる。
    大前氏が「国債増発は絶対いかん、救国消費税2%増税」という所以だ。

    一番いいのは経済成長で、規制をはずせばいくらでも、とこれも大前氏は言うが、今の枠組みを変えようとしない官僚がいる限りどうにもならない。
    低金利はやりすぎるほどやってる。その結果国民が取るべき利子が銀行に行ってしまった。
    インフレも若者にはいいと思うのだが、日銀が許してくれない。
    戦争、、、はない。今回の震災はこれに近い部分があるが、決して戦勝国になるわけはなく、どこからも賠償金は取れない。
    外貨導入?これがよくわからん。
    デフォルト!
    恐ろしいのはこれ。国内で95%をまかなっているという意味がわかってない人が多い。国債買ってないから関係ないと思ってる人が多い。とんでもない。あれは我々の預金。企業が借りてくれず、運用ができない余った金で、銀行、郵貯、生保が買ってる。デフォルトになれば、預金が消える。
    そしてハイパーインフレになる。。。

    今のままの日本ではデフォルトが一番現実的。
    個々の人間は頭がよくても、全体としてろくなことができないというのが、今回の原発事故ではっきりした。
    官僚喪推して知るべし、と思う。

    ああ

  • 国家財政からみた各国の歴史を、遠くくメソポタミア文明やギリシャ時代まで遡り、過剰な公的債務がもたらす危機を説く。

    著者によれば、過剰な公的債務を解決する方法は、歴史的にみて以下の8つしかないという。

     増税
     歳出削減
     経済成長
     低金利
     インフレ
     戦争
     外資導入
     デフォルト

    このままいけば、主要先進国の財政破綻は免れないとして、ただちに経済成長を中心とした財政再建策をとるように説く。
     
    日本については、この20年、何もしてこなかったという認識のようで、消費税率(2011年の出版当時は5%)のアップは絶対に必要だと主張している。

    ただ、それだけで危機を回避できるレベルは、とっくに過ぎているようだ。

  • ソブリンについて基礎的な理解を得るにはおすすめの内容だった。
    ある程度知識のある人は中盤以降からの章で十分だと思う。

  • ジャック!それはいけない!ジャック!当たりだよ!

  • ジャックアタリ 「 国家債務危機 」国の借金(公的債務)の健全と危険の分かれ目の判断、危険な公的債務の解決策、政治決断の重要性を整理した本

    健全な公的債務であれば 悲観する必要ない
    *借金=自分が生きている価値の証明
    *借金は長期的に収益性の高い投資をファイナンス
    *借金が国家の資産価値を下回る

    公共投資の原則
    *インフラ整備、公共ネットワーク
    *教育、テクノロジー研究、学業失敗者のさチャレンジ
    *労働環境整備、住宅政策
    *外国人受け入れ
    *エコロジー、再生可能エネルギー
    *利他主義の支援(社会と調和した企業)

    膨張する公的債務への解決策
    増税、歳出削減、経済成長、低金利、インフレ、外資導入





  • ソブリンってそもそもなんだ?という不勉強な私でも、
    その解説からちゃんと入ってくれている。
    さらさらーとしか読めてないですが、
    見た目よりも読みやすい言葉で書かれているように感じた。
    第5章「債務危機の歴史から学ぶ12の教訓」は勉強になる。

  • 140308 中央図書館
    何かのレポートを読んでいるような気分。ヘゲモニーやソブリンは、本態上、債務超過とセットだと主張しているのか?

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著者プロフィール

ジャック・アタリ(Jaques Attali)
1943年アルジェリア生まれ。パリ理工科学校を卒業、1981年大統領特別顧問、1991年欧州復興開発銀行初代総裁。1998年に発展途上国支援のNPOを創設。邦訳著書に『アンチ・エコノミクス』『ノイズ』『カニバリスムの秩序』『21世紀の歴史』『1492 西欧文明の世界支配』など多数。

「2022年 『時間の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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