危機とサバイバル――21世紀を生き抜くための〈7つの原則〉

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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861823107

作品紹介・あらすじ

世界的ベストセラー『21世紀の歴史』で、世界金融危機、ノマド化、スマホなどを予測した"ヨーロッパ最高の知性"ジャック・アタリが、今後10年、世界で発生する危機を予測し、混乱と激動の21世紀を生き抜くために、個人/企業/国家/人類の"サバイバル戦略"の"7つの原則"を論じる。低迷する経済、1000兆円債務、少子高齢化…、まさに歴史的危機にある日本人/日本が、21世紀を生き残るための必読の書。

感想・レビュー・書評

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    経済

  • ・サバイバル戦略に必要な7つの原則?自己の尊重?緊張感?共感力?レジリエンス「困難な状況にもかかわらず、しなやかに適合して生き延びる力」?独創性?ユビキタス「いつでも、どこでも、だれにでも」に適応できること?革命的な思考力
    ・戦略的要素が急増する産業部門→エネルギー、水資源、インフラ関連、ネットワーク、ソフトウェア、情報サービスや情報セキュリティー、リスク管理、畜産、養殖、農業、エコロジー、再生可能エネルギー、天気予報や気候学、産業廃棄物や生活ゴミの処理・リサイクル、大手流通、公的金融サービス、労務管理、地方自治体、輸送、コンサルタント、医療、医療機器、バイオメディカル、対人サービス、高齢者介護、ナノテクノロジー・ニューロサイエンス・バイオテクノロジーを研究する企業
    ・2008年以降の経済危機に対する措置は、対処療法的な想像を絶する公的債務の膨張であり、世界経済を次なる危機に向けて進ませている
    ・緊張感を保って生きるとは、一瞬ごとを最期の瞬間として、できるかぎり目一杯に生きること
    ・その人物の表情に子供のころの面影が残っている場合には、一般的にその人物は、新鮮さと剛毅を保っており、その人物とは仲良くなれる
    ・週一回は瞑想に耽る
    ・競合するライバル企業の立場に立ってみること→詳細に研究し、本性や実力を見抜く
    ・サーカスのように企業が持っている唯一の役割にのみ固執、限定しない→変化する準備を整えておく
    ・経営陣はビジョンを掲げてこれを周知させ、さらに進化させるなければならない。経営陣の仕事は指揮を執ること

  • 相手の性格を見抜き、その行動を予測するための最も効率のよいテクニックの1つに、その人物の表情のなかに、子どもの頃の面影を探ること。その人物の表情に子どもの頃の面影が残っている場合には、一般的にその人物は、新鮮さと剛毅を保っており、その人物とは仲良くなれる。そうでない場合、その人物は、子どもの頃の夢の否定の上に自らを築いたのであり、その人物は常に争いや対立のなかで暮らし、自己に対する尊厳を失っている。そのような人物は、気難しく、辛辣で、手段を選ばない不誠実な人物である。

  • 1 自尊心 respect de Souza-meme
    2 緊張感 20年先を見据える inten
    3 共感力
    4 レジリエンス
    5 独創力
    6 ユビキタス
    7 革命的な思考力

  • 読んでよかった。読み物としても面白いし生き方やこれからの世界について考えさせられる。たまに再読したい。

  • アタリ「危機とサバイバル」読んだ http://www.sakuhinsha.com/politics/23107.html … ハウツー本?時事や他国情勢解説のコラムと、音楽/食/若年人口から見る国分析は面白い。エマニュエルトッドみたいなのhttp://fujiwara-shoten.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=977 … かと思ったのに(あれはおもしろかった!)

  • 日本が直面している危機について、日本人より危機感を持って考察していると思う。


    序文にある日本向けメッセージ。①膨張しつづける国家債務ため、日本は予算を国債購入に回さざるをえず、産業へ投資できない状況。②人口減少と高齢化により、経済成長を支えられない状況。③経済面だけでなく、社会やアイデンティティの喪失。④東アジア地域との不調和は日本の未来を奪う。日本が危機から脱出するには、隣国とのパートナー関係を樹立する必要がある。こんな状況にあるにもかかわらず日本人には危機感かない。慢心している。

  • 「ヨーロッパの知性」などと呼ばれることもあるが、アタリ氏が日本で有名になったのは、ベストセラー「21世紀の歴史」が邦訳されてからだろう。リーマン・ショックを予想したなどと評され、麻生さんや菅直人が本屋で購入したなどとして評判になった。

    日本や中国に対するアタリ氏の分析には?と思う所もないわけではないし、この人のすごいところの本質はまだ良くわからないが、歴史を「中心都市」の遷移で捉えたり、「個人の権利」の獲得の推移として捉えたりする見方はなるほどと思わせるし、「ノマド」に対する高い評価も興味深い。

    この本は、「21世紀の歴史」「金融危機後の世界」に続く作品で、国家から企業、個人、はては人類の危機管理マニュアルといったところ。

    アタリ氏によれば、21世紀を生き抜くために必要な7つの原則があり、

    1.自己の尊重
    2.緊張感
    3.共感力
    4.レジリエンス
    5.独創性
    6.ユビキタス
    7.革命的な思考力

    にまとめられるという。読めば、まあなるほどと思わせる説明がある。

    特に共感したのは、やはりなんだかんだいって1が一番大事だなということ。
    自分とはなにかを突き詰め、それを大事にするところから始まる。
    僕の言い方では発想は逆で、最後に何を守りたいか。
    個人であれ、企業であれ、国家であれ、人類であれ。
    自らのアイデンティティを守るためには、時として戦術的に迎合したりすることはあっても、コアの部分は見失ってはいけない。最後は自分のアイデンティティを掛けた戦いを挑む覚悟が必要ってことですな。

    そして、日々の情報収集(自らを知ることと相手を知ること、世の中を知ること)、自己研鑚(体と心のメンテナンス、消費を絶えず見直す)、柔軟性の確保(多様性を受け入れる、身軽である、イザという時の為の貯蓄や保険)、も大事。

    特に自分としては、体のメンテナンスと、消費の見直しができていない。その重要性を再認識した。

    あと、所属するグループに対するリスペクトって大事。

  • 若干38歳でミッテラン大統領の特別補佐官を務め、「ヨーロッパ最高の知性」と称されるジャックアタリの最新刊。





    危機から脱出する為の条件

    1、「危機」という事態をつらぬく論理とその流れ、つまり歴史の論理をつかむ事。

    2、様々な分野に蓄積されてきた新たな知識を大胆に利用する事。

    3、自己のみを信じる事。そして何より自信を持つ事。

    4、自分の運命を自らがコントロールする事。

    5、自らに適した最善で大胆なサバイバル戦略を採る事。



    市場とは利益だけに反応するものであり、希少な資源をより効率よく配分することができる個人、企業、国家の効率性にだけ関心があるのである。





    21世紀を生き抜く7つの原則

    第一原則「自己の尊重」

    自らが自らの人生の主人公たれ。そして生きる欲望を持ち、自己を尊重せよ。

    •自分とは何者かを定義する際に、頼りになるのは自己のみであるのを肝に命じる事。

    •いかなる危機であれ、パニックに陥ってはならない。冷静たれ。

    •たとえ認めるのが不快だったとしても、起きた出来事は事実として冷静に受け止めよ。

    •自らが自らの人生の主人公たれ。その際に楽観的であっても悲観的であってもならない。

    •肉体をできる限りよい状態に保つ事が前提。エネルギーの流れの管理、運動、バランスの取れた食事。

    •自分の弱点を把握し、自らの失敗を分析、理解する事。



    第二原則「緊張感」

    20年先のビジョンを描き、常に限りある時間に対して緊張感を持て。

    •長期的な視野から有益だと判断したのであれば、即座に犠牲を払う判断力を養う事。

    •同様に、唯一希少なものは時間であり、人生は一回限りである事を忘れてはならない。

    •常日頃から今を人生最後の瞬間として生きる心構えを持つ事。

    •会話、驚き、笑い、愛情、友情、芸術など非商業的なものに時間を費やすことに最大の価値を認めること。



    第三原則「共感力」

    味方を最大化させる「合理的利他主義」を持つ為に共感力を養え。

    •敵味方の文化、論証形式、存在意義を理解する事。

    •起こりうる全ての脅威の招待を突き止め、味方と潜在的敵対者を区別する為に、彼らの行動様式を予め把握する事。

    •他社に対して常に好意的に振る舞い、継続的な同盟関係を結ぶ為に彼らを迎え入れる事。

    •「合理的利他主義」を実践する事。その為には極めて謙虚にふるまい、他者の精神的自由を尊重する必要がある。

    •恥辱や怒りの感情を示すことなく、敵にも理がある事を認める事。

    •最高の専門家の意見に耳を傾けるとしても、その意見に満足してはならない。自分に関する分析であれば、多数派の見解だからと言って賛同する必要はない。

    •その人物の表情に子どもの頃の面影が残ってる場合には、一般的にその人物は新鮮さと剛毅を保っており、その人物とは仲良くなれる。

    •共感力を得るためには、好奇心、他の文化の価値や慣行を理解する能力、彼らの思考に入り込む事。



    第四原則「レジリエンス」

    柔軟性に対応した者だけが常に歴史を生き残る。

    •備蓄、保険、避難先の確保による柔軟な準備を行う事。

    •職種、専門教育、能力、生活の場、収入源や借入先などを一つだけに依存しない。



    第五原則「独創性」

    弱点と欠乏こそが自らの力となる。危機をチャンスに変えるための独創性を持て。

    •自分が持っている資源が不足しているなら何が欠けているかを理解し、不足を自分の進歩に変える事。

    •敵の力を自己の利益に呼び込む事。その為にはポジティブな思考力、運命の甘受の拒否、勇気、独創的な実践が必要になる。こうした美徳は筋力トレーニングと同様に日々の鍛錬が必要。

    •自分に不安であってはならず、他人に不安をもたらす存在であってもならない。



    第六原則「ユビキタス」

    あらゆる状況に適応できる「ユビキタス」な能力を持て。



    第七原則「革命的な思考力」

    危機的状況に対応できない自分自身に反旗を翻す革命的な思考力を持て。

    極端な状況に対する心構え。ゲームのルールを踏みにじってでも世界に対して反旗を翻す。







    今後の人口移動

    ディアスポラ(出生国以外で暮らす人)人口が現在の2億から4億人に増加する。

    農村部の10億人が都市部に移住する結果、人類の3分の2が都市部で暮らす。

    アメリカへの移民はメキシコ、中国、フィリピン、インド、ベトナムが大半となり、2020年には北アメリカ人の3人に1人はラテンアメリカ出身者となる。



    人類の平均年齢は28歳。日本人は44.9歳。

    都市部への人口流入により、家族の絆は弱まる。



    危機によって誕生するNBIC技術

    (ナノテク、バイオテク、インフォテク、コグニティブサイエンスの頭文字をとったもの。)



    情報工学、ゲノム研究、ナノテク、神経工学の結集により、

    人類が別の種類の超人類「ハイパー人類」を創造する日は近い。



    認知科学(コグニティブ)と神経科学(ニューロ)

    行動分析、脳科学、学習プロセスに大変動をもたらす。これからは知識と健康への出費が増加し、高齢化によって脳の疾患に対する懸念を余儀なくされる時代が訪れる。また、知識が集積するスピードがさらにアップする為、学習プロセスは根源的な変化を遂げる。長期的にはこれまでの自意識、自己評価、自由や幸福などの概念を変化させる。



    戦略的要素が急増する産業部門

    エネルギー、水資源、インフラ関連、ネットワーク、ソフトウェア、情報サービス、情報セキュリティ、リスク管理、畜産、養殖、農業、エコロジー、再生可能エネルギー、天気予報や気候学、産業廃棄物や生活ゴミの処理•リサイクル、大手流通、公的金融サービス、労務管理、地方自治体、輸送、コンサルタント、医療、医療機器、バイオメディカル、対人サービス、高齢者介護、ナノテク、ニュロサイエンス、バイオテク



    文化や娯楽、アルコール、麻薬に対する需要が急増する。



    今後の世界

    アメリカと新興国の関係

    2018年には22兆ドル(GDPは16兆ドル)まで公的債務が膨れ上がるほど財政破綻しているが、多くの国とってアメリカ軍が最強であり続けるのは利益である為、アメリカの債権国はしばらくの間は追い貸ししてでもアメリカを助け続けるだろう。



    欧州

    今後10年は人口、経済両面で停滞する。



    アジア

    インド、中国、ベトナム、フィリピン、インドネシアは将来大国となるが、中印は公害、ガバナンス、社会的格差、汚職、官僚主義問題で深みにはまる。



    アフリカ

    統治機構、ガバナンス、人口、テクノロジー面で大きな変化が訪れ、台頭は加速される。新たな金融市場が開かれ、外国からの投資が増える。経済成長も3%程度で増加を続けるだろう。



    中東

    開かれた健全な社会を目指す発展の途上で足踏みする。平均年齢は22歳と低く、貧困率も高止まりする。





    人類史は、個人が権利の主体者として台頭してきた歴史。その権利の中核が「自由」であり、この原動力は今後も継続される。



    1975年に米国でストックオプション精度が開発されて以来、企業の経営陣は株主や資本保有者の意向だけに従うようになった。



    歴史を作ろうと欲しなければ、歴史においていかなる役割も果たす事はできない。未来を作ろうと欲しなければ、未来において全てを失うのを余儀なくされる。



    今から10年後の時点で自分が何を望んでいるのか、自分に何が可能なのかを各人がじっくり考える事。自分が掴むべきチャンス、避けるべき危険、講じるべき予防策、冒すべきリスク、構築すべき絆、遂行すべき戦いを分析する。そしてこの分析を個人だけでなく、あらゆる組織でも行う事。



    地球内部のマントル対流によってプレートが移動する事で巨大地震が引き起こされるように、危機は我々の世界のなんらかの最深層部が変化した結果である。つまり、危機とは表層部分の出来事であり、危機の奥底に隠された動きを正確に見抜く事は困難。



    民主主義体制のメリット(自由の保護、選挙と国民投票の透明性)と能力主義体制のメリット(高位の指導者を選任し、長期的な視野から組織運営の在り方を考え、決定する方法と猶予を与えられる)を融合する施策が必要。

    例えば、民主主義的な手続きで選ばれた行政機構とは別に、民主主義を掲げる全ての政党から選ばれた人々で構成される委員会を創設し、公平性と長期的視野を確保する方法が考えられる。この委員会がより高位の責任者を選出し、この責任者で構成される国家間評議会が長期的な重要課題について民主主義的な政権へ答申する役割を担う。この評議員の任期は10年、再任はナシ。



    ネイティブアメリカンのヨクイ族によると、人間は主に4つの敵に直面する準備が必要。それは恐怖、知識、権力、死である。



    ポジティブエコノミーとは、単なる利益追求のみならず、世界全体の長期的利益も重視しようという経済の在り方。人間の全ての活動を次世代にとって有益なものにする事を目指し、この規範に従って人間の活動の有効性を判断する考え。



    企業が唯一の活動分野だけに特化する事は。たとえ事業収益率が高くなろうとも、危機の際に企業の抵抗力を縮小させる。利益を瞬時に得る事に固執すると、将来の脅威に対する準備力はつちかえない。



    7つの原則の企業への応用

    1、自社への尊敬の念が、便宜上の戯言ではなく現実となるために自社の価値観を確立する事。

    2、同じ価値感を共有する外部のパートナーを選ぶ事。

    3、パートナーに誠実さを求める為には、先ず自らが彼らに対して誠実である事。

    4、剛毅で謙虚である事。自社の価値観をきちんと守っている事。自社の存在意義を心得ている事。

    5、企業の歴史を語る事。

    6、「尊敬の会計監査」を定期的に実行する事。

    7、長期的な企業活動を目指す。

    8、予見できるあらゆる価値感やあらゆる組織的推移を統合した企業計画を推論する。

    9、企業計画の枠組みにおいて、自社の社員に対して、彼らにとって最高の時間の使い方を提案する事。

    10、顧客に対して、時間の最適な利用法を提案する事。

    11、消費者にとって購買行為が、時間の価値を高める働きを持ち、強烈な経験となるようにする事。

    12、株主に対して、彼らの持つマネーが最高の時間的価値を持つとアピールする事。

    13、将来の危機の様々な側面に関する最高の情報源を探し出す事。

    14、企業に影響を及ぼす可能性のある未来の重要なトレンドを常に探求する事。特に、経済学、市場競争、金融、社会、社会学、文化、政治の変化に注目する事。

    15、将来性ある分野からトレンドを引き出す事。

    16、おもな金融リスクを突き止める事。

    17、企業やそれを取り巻く文化、テクノロジー、エコロジー、社会、政治面に直接影響を及ぼす急変リスクや特別な緊張をもたらすリスクを突き止める事。

    18、あらゆるリスクに対して独自の意見を持つ事。

    19、事実を尊重する事。

    20、社員であれそれ以外の人物であれ、パートナー、仕事仲間への理解を深める事。

    21、自社の製品価値について明晰で独自の大まかなイメージをつかむ事。

    22、外部パートナーの立場にたってみる。

    23、自社のパートナーと誠実な関係を構築する事。

    24、共同ネットワークを構築する事。

    25、外部パートナー及び内部パートナーが不誠実になる原因をみつける事。

    26、競合するライバル企業の立場に立ってみる事。

    27、絶えず余剰を分析する事。

    28、あらゆる危機に対応できる資金繰り対策を行う事。

    29、金融機関と株主が同じ価値観を共有しているか確認しておく事。

    30、既に言及したリスクや企業特有のリスクに対し、できる限りの保障を取り付ける事。

    31、主な固定費を変動費に変える事。

    32、緊急行動計画を準備する事。

    33、金融、エコロジー、法律、保障面のリスク監視責任者には彼らが管理するリスクに見合った地位や報酬を与える事。

    34、企業のヒエラルキーのあらゆる段階において緊張感の文化を広める事。

    35、パートナーの拒否を回答として考える事を拒否する事。

    36、ライバル企業との競争に破れるリスクを取るよりは、競争しない事。

    37、世界的な価格低下圧力を改革のきっかけにする事。

    38、世界的価格低下圧力を供給業者との関係を再構築する為のきっかけにする事。

    39、世界的価格低下圧力を新たな生産テクノロジーを発展させるきっかけにする事。

    40、世界的価格低下圧力によって、顧客を補完者に変えるきっかけにする事。

    41、一時産品の希少性を新たな製品の市場に変える事。

    42、環境面の制約を産業イノベーションの源泉にする事。

    43、環境面の制約を商業イノベーションの源泉にする事。

    44、バーチャル領域の拡大によって急激に変化しているマスメディア、音楽、映画などの非物質的な産業において、情報テクノロジーの価格崩壊を新たな市場の源泉にする事。

    45、物価の下落や賢くありたいと願う消費者の要求に応える。

    46、常にアイデンティティを変化させる心構えを持つ。

    47、機動力、ユビキタス能力、全く別のものになる能力を得るために、自社の存在意義がライバル企業よりも世間に勝っているか、また企業の集める人材がきちんと活用されているかを完全に柔軟な姿勢で見つめ直す。

    48、国家やその他の企業のパートナーが課す不公平な条件の犠牲となる場合、自社の価値観や法律を最低限遵守した上で、サバイバルの為に自社の原則に背く準備を進めなければならない。

    49、経営陣の第一の使命は、自らが勤める会社を尊敬する事。

    50、経営陣や企業の長期的ビジョンを明示しなければならない。

    51、経営陣は世の中から集まる情報や、アドバイザーから寄せられた情報を統合できるようにならなければいけない。

    52、企業が、戦略ミス、資金調達の不備、その他の予見可能なリスクにおいてもサバイバルできるかを常に検証する事。

    53、仕事仲間のやる気を引き出し、彼らのやる気に耳を傾ける術を持つ事。

    54、経営陣は、企業が不可逆的な脅威や大変動に直面した際には、その活動領域を根本的に変える必要性を真っ先に考えなければならない。

    55、社内言語、独創性、革命的な思考力を養う事。



    国家のサバイバル

    国家が消滅する前には、国の金融、軍事制度が崩壊する事が多い。崩壊自体も、国民の贅沢な暮らしをファイナンスできなくなる場合や、勢力を増す敵に対抗する為の防衛費が膨張する場合によって引き起こされるケースが多い。



    国家の将来性を見極める3つのポイントは、

    人口統計、料理、音楽である。人口統計は、生命の本質について、料理は身体の糧について、音楽は精神の糧について教えてくれる。



    国家の自国の尊重具合は、自国防衛、出生率、国民生活に対する国家の態度を見ればわかる。これと逆の度合いを知るには、アルコール中毒問題、麻薬問題、自殺率、女性や子どもに対する差別を見れば判る。



    あらゆる脅威や将来の見通しにおいて、他国の考えが理解できない、また、他国の立場に立って考える事ができない共感力に乏しい国は、

    アメリカ、イギリス、日本、イラン

    である。



    最後まで困難と戦える為の資源を自国に保有しているのは、

    アメリカ、ブラジル、ロシア

    であり、エネルギーの4分の3以上を輸入しなければならない国は、

    EU、中国、インド、日本

    である。



    独創性がある国は、

    アメリカ、日本、韓国で、

    ない国は、

    中国、ヨーロッパ

    である。



    ユビキタスな能力を養う為には、他国の文化や考え方に対して開放的であり、他国から学ぶ姿勢を持ち、自国の優位を再検討する事が前提。



    最も未来への備えができている国は、

    アメリカ、EU、インド。



    中心都市の未来

    「自己の尊重」を最も顕示し、歴史的な存在意義を持ち、これからも養う都市を見抜くには、都市のインフラ管理や、都市の住民、観光客、環境に対する対応に注目する事であり代表都市は、

    シンガポール、パリ、ロンドン、東京、ストックホルム。



    時間の重要性を認識している都市は、都市の未来を考えると同時に、都市の日常生活に「緊張感」をもたらす。これを見抜くには都市の建築に注目する事であり、

    代表都市は、

    ロンドン、パリ、香港、上海。



    「レジリエンス」の高い都市は強力な国民国家の首都であり、

    代表は、ワシントンDC、パリ、北京、東京

    であり、これは金融、メディアに依存するNY、ロンドン、フランクフルト、シンガポール、上海よりも被害を受ける確率が低い。



    「共感力」のある都市は、その都市以外の住民をも理解し、その都市が属する国家の国境を越えて他の都市との同盟関係を組織する能力を持つ。こうした都市の住民は一般的に混血が多い。例えば、

    ロンドン、ブリュッセル、シンガポール。



    「独創性」のある都市は環境都市となる為に環境問題から利益を導きだす。

    例えば、ピッツバーグ、ソンド(韓国)、ドンタン(中国)トットネス(イギリス)



    「ユビキタス」な能力のある都市は、時代の流れに応じて大胆に変化する事を受け入れる。

    上海。



    革命的な思考を持つ都市は近郊都市を含めて完全に変化する。

    ロッテルダム、上海、浦東地区。



    アジア地域発展のカギは日中が良好な関係を築く事。



    これまでに地上で暮らした人間の総数は1,000億人。権力の力関係や技術進歩から考えて、この全人類が発揮した能力は潜在能力の15%未満。また、脳内ニューロンの数も1,000億個。これも能力を発揮するのは全体の15%。

    1個のニューロンは他の1万個ものニューロンと繋がっているので、合計1,000兆個ものシナプスがある。



    1人の人間が接触できる人の数は現在1,000名と言われているが、人類の誕生以来、この人間同士が繋がるパワーは100兆にまで達している。いずれ、同時代に生きる人間同士の結びつきの数は、過去の全ての結びつきの数を上回る日が来る。そうなった時、我々人類はそのパワーをどう活用するのだろう。





    ノウアスフィア(叡智圏)

    人間の思考の圏域。科学の発達により、知識集積、集団的知性が進み、バイオスフィア(生物圏)からノウアスフィアのステージへ進化する。



    地球大議会設立要旨

    「人類の権利及び義務に関する憲章」を練り上げ、これを実行に移す地球規模の機関を設立する。世界的な共通財の保護、単一通貨の発行、資金分配の公的システムの設置、金融市場の制御システムの設立、武器の密売、売春、麻薬の闇取引の摘発など。これの実現には、人類の自滅に向けた現在の歩みに服従しない人々の決起が必要。

  • 私が世界潮流を読む上で参考にしている
    著者”ジャック・アタリ”の最新作。

    21世紀を襲うと想定される様々な危機を
    予測し、その危機からサバイバルする戦略
    に必要な7つの原則を「個人」、「企業」、
    「国家」、「人類」ごとに論じている。

    7つの原則とは、「自己の尊重」、
    「緊張感」、「共感力」、「レジリエンス
    (耐性力)」、「独創性」、「ユビキタス」
    、「革命的な思考力」。

    作家だけでなく、経済学者・政治学者・哲学
    者・歴史家など様々な顔を持つアタリ氏の
    知見は示唆に富む点が多い。

    自分なりに論点をまとめ、考えを自分化したい
    一冊。

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著者プロフィール

ジャック・アタリ(Jaques Attali)
1943年アルジェリア生まれ。パリ理工科学校を卒業、1981年大統領特別顧問、1991年欧州復興開発銀行初代総裁。1998年に発展途上国支援のNPOを創設。邦訳著書に『アンチ・エコノミクス』『ノイズ』『カニバリスムの秩序』『21世紀の歴史』『1492 西欧文明の世界支配』など多数。

「2022年 『時間の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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