- Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861823152
作品紹介・あらすじ
ギリシャ以降の抽象に淫した西欧哲学を「病的な悟性」と見立て、世界・人間・神を機軸とする「健康な悟性=常識」と「対話」による哲学の回復を目指す『救済の星』の闡明。
感想・レビュー・書評
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ローゼンツヴァイクの主著『救済の星』を解説する一種の「プロレゴメナ」として、出版社の求めに応じて書かれながら、彼の生前には出版されることのなかった小著の日本語訳。この訳者のこれまでの訳業同様、読みやすい翻訳に仕上がっている。生から乖離した本質を求める哲学病とも言うべき病を治すべく、サナトリウムで数週間を過ごすという、訳者解題にもあるとおり、トーマス・マンの『魔の山』にも似た舞台設定の下、『救済の星』の根本思想がコンパクトに紹介されるし、その「イオニアからイエナ」までの西洋哲学の批判が意図するものが明瞭に浮かび上がっているように見える。なかでも重要と思われたのは、言語を「名づける」ことから捉え、さらに発話を翻訳と考える思想が展開されていること。ベンヤミンの言語哲学と重なる議論であるが、ここではそうした言語論が、世界と人間と神の存在をこれらの関係において現実化する「と」の働きとも結びつけられている。原書と照らし合わせて再読したい。単行本は入手しにくいようだけれども。
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著者プロフィール
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