チューブな形而上学

制作 : 横田るみ子 
  • 作品社
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本棚登録 : 37
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861823374

作品紹介・あらすじ

ヨーロッパの人気No1の女性作家が、日本で生まれ育った記憶を、抱腹絶倒、奇想天外に描いた傑作小説。

感想・レビュー・書評

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  • 3歳のお誕生日に像のぬいぐるみを心待ちにしている子が、口をパクつかせて餌を待っている鯉を見て「結局、あなたも私たちと同じように醜く食べ物を摂取、消化、排せつするチューブなのよ」と言われているような気がして目がくらんで池ポチャて。。。

    仙人のように達観した考え方を持ちながらも、時に子供らしい好奇心や我儘っぷりを発揮する主人公・アメリー。
    その矛盾の共生が、この小説の醍醐味なのかな、と思いました。

    でも、この子がわが子だったら末恐ろしい。。。^^;

  • ベルギー人から見た日本人という見方もあるだろうが、日本で育った作者の感性が小説にしっかり反映されている。フランスで人気の作家ということで、他の作品もぜひ読んでみたい作家。
    小さな子どもがここまで客観的に自分の身の回りを表現できるかどうかは別として、醒めた目で表現しているところが皮肉っぽくて実にいい。

  • 著者の幼少期における自伝風小説。人間は単なるチューブなんだ、という見方に基づき、どんな生き方をしても最後に死が訪れるのだから冷静に気高く生きよ、との厭世観にも近い著者の気持ちを感じた。
    三歳までの、有るハズもない記憶と気持ちによって綴られているが、フィクションと感じさせない面白さがあった。鯉の餌の食べ方に、強い不快感を覚えるシーンや、チョコレートの甘さによって、祖母に懐柔されるシーンなど、印象的な場面を瑞々しく描いている。

  •  駐日ベルギー領事の娘として日本に生まれ、3歳まで過ごした著者の自伝的小説。フランス語より先に日本語を話し、家政婦のニシオさんと日本語で会話をしていたという日本での子ども時代。
     チョコレートの味に喜び、鳥取の海で溺れそうになり、子ども部屋の窓から落ち窓枠にひかっかって助かり、鯉に餌をあげているうちに池に落ち再び溺れそうになったり。出来事の一つ一つは、やんちゃな子どもなのだが、それをまさに形而上学的に書くことで、ウィットにとんだ魅力的な文章になっている。家政婦のニシオさんも素敵。一緒に働いているカシマさんは、白人を毛嫌いしていてちょっと怖い。
     ベルギーらしく、子どもたちの好きな読み物の代表として「タンタン」が幾度となく登場。

     庭の池で鯉を飼う発端ともなる「こいのぼり」を見て、5月は男の子の月だと教えてくれたニシオさんにアメリーが「女の子の月は?」と聞くとニシオさんは「ない」と答え、アメリーは理不尽を感じる。このくだりは、日本人だっておかしいと思うはず。なぜニシオさんは雛祭りを教えてあげなかったのだろう。アメリーの興味をかきたてるような3月なのに。


     

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