巣窟の祭典

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861824289

作品紹介・あらすじ

麻薬密売組織の"宮殿"で暮らす少年の一人語りでメキシコ社会の暗部を軽妙に描いた、ガーディアン賞新人賞候補のデビュー作『巣窟の祭典』と、続く最新の第二作『フツーの町で暮らしていたら』を併録。

感想・レビュー・書評

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  • おどろおどろしい、ヒエロニムスボスの表紙。メキシコの麻薬組織で育った少年が主人公。しかし、明るい感じだった。確かに人は沢山殺され、切断されるが、そういう日常であり、少年はむしろすくすく育っている。もうひとつは幻想的だった。テーマは貧困だが、いまいちハッキリわからず、双子の弟が失踪して、食い扶持が増え、あいつらはうちの生活から逃げたんだな、とか思う。退屈なので、旅に出る。戻った後、隣のおじさんの仕事を手伝う。意外と楽しい。退屈は子供にとって重要なことは大人は忘れてる。

  • メキシコの新鋭作家のデビュー作『巣窟の祭典』、第二作『フツーの町で暮らしていたら』の二編が収録されている。
    どちらも、テーマとしてはメキシコのある家族を通して、メキシコ社会をユーモラスに、シュールレアリスティックに描き出している。

    『巣窟の祭典』は、メキシコの麻薬密売組織で育ち、外の社会に出たことがない少年が語り部。欲しいものは何でも手に入るし、その年の少年にしては「ませている」が、一方でやはりその現実認識は大変偏っていて云わば世間知らず。なのにもかかわらず、この少年が世の中に思うことや、彼らの周りで起こることを通して、かえってメキシコ社会の暗部がくっきりするようでもある。

    『フツーの町で暮らしていたら』は、メキシコの片田舎に住む貧乏大家族の次男の目線で語られる。当時の経済社会状況を背景に、それらを様々に切り取って繋ぎ合わせて、ユーモアで包んで仕上げたような、まとまりがあるようなないような話。社会の底部にいる彼らは、たえず社会から失敗や失望を突きつけられるが、その怒りもいつかは諦めに変わり、また次の超常現象を待ち受けてしまう。

    どちらも全編を通して、シュールでユーモラスな語りが一貫していて、楽しく軽快に読める一方で、メキシコがどんな国かを際立たせることにも成功しており、新鋭作家の作品ながら既に古典のような安心感ある仕上がりとなっている。ラテンアメリカ文学の伝統の上に立つ作家だと思う。

  • 日本語で読んでも意味がない…西語だとクスクスして、最後ちょっとしんみりするのに。こういうように、ロシア語とか、ドイツ語とか、とにかく私が読解出来ない小説って、私は全く理解できてないのだろうかと、たまにとても悲しくなる。皮膚感覚で読めていないというか。

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