神、さもなくば残念。――2000年代アニメ思想批評

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  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861824371

感想・レビュー・書評

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  • 主に『涼宮ハルヒの憂鬱』から『魔法少女まどか☆マギカ』まで、「セカイ系」と「空気系」という2つの基軸を持つゼロ年代のアニメについて、哲学や思想の道具立てを借りて考察している本です。

    目次を見たとき、本書の「第壱部」が原理論、「第弐部」以降が作品論という構成になっているのかと思ったのですが、実際には「第壱部」が宙に浮いてしまっているような印象を受けます。

    「第壱部」の議論は、「萌え」を志向性として捉えなおし、フッサール現象学の用語をもじって「モエシス」と「モエマ」といった概念を持ち出すなど、単純におもしろさを狙ったものだと思えるのですが、これらの議論が後に続く作品論のための枠組みといった役割を果たしておらず、「萌えの現象学」もけっきょくのところ単なる印象批評への回帰に終わってしまうのではないかという疑問を感じました。

    個々の作品論については興味深く読めました。ただ個人的には、著者の本領は印象批評よりも『探偵小説の論理学』『探偵小説の様相論理学』(ともに南雲堂)で提示されたような、作品解釈の理論的枠組みを構築するところにあると思っているので、正直に言って、本書は片手間になされた仕事といった印象を受けてしまいました。

  • 推薦者 共通講座 春木有亮 先生

    *図書館の所蔵状況はこちらから確認できます*
    http://opac.lib.kitami-it.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB50100873&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • 暇人の、暇人による、暇人のための評論集。アニメやゲームの、内容や製作者の意図、消費者の欲望を、著名な他評論を交えて推測、解釈していく。ノエシスとかノエマとかトライブ(部族)とか横文字専門用語が多いので難解。アニメをこんなにまじめに評論して、しかもお金がもらえる人が居る事に驚いた。養育費に恵まれたであろう大人達が、アニメを研究して日本の平均年収よりお金が貰えるんだろうなぁなんて思うと、皮肉でなく本気で羨ましい。AIRと原子力発電までの2ページだけ読んだ。これから読むかは未定。

  • アニメ評論集。セカイ系やミステリ論も面白かったが、興味を引かれたのは3点。
    「萌えの現象学」
    俺という自己に於いては萌えという経験がないことが自覚された。他にも、筆者とは嗜好がずいぶん異なる。
    「モナドロギーからみた『図書館戦争』」
    実に同感。大の大人が抱く戦争観ではないと感じていた。でもそれは子供向け(さらに言うと女子向け)だからだろう。
    「ウスペンスキー思想に基づく《魔法少女まどか☆マギカ》の次元論の解明」
    まどかが高次元の存在になった理屈がまだよくわからず、そこが自分にとってこの作品の最も不可解な部分であることが今回新たに認識できた。

  • やけに長かった。表紙が表紙なだけに、電車で読めないし、読むのに日数がかかった。
    書名の『神、さもなくば残念』というのは、『神アニメでなければ残念なアニメ(面白くないアニメ)』という意味だと思ったけど、どうやら涼宮ハルヒのことをあらわしているらしい。ただ、『涼宮ハルヒの憂鬱』についての話はそんなに語られてなかったような(しかも、ハルヒについてはアニメというより原作についての評論という感じる箇所も多かった)。
    哲学用語については全く分からないので、正直ちんぷんかんぷんなところも多かった。アニメ評論本読んでると哲学用語使って評論する本も多いんだけどね。そういうの、半分も分かってないかもしれない。
    自分はこの本に書いてあるアニメの4分の1近くしか見てないと思うのだけれども、見たことあるアニメに関していうと、納得できる部分も納得出来ない部分もあった。
    例えば、バンブーブレイドで川添環が勝負に破れる話を描いたのは失敗と書いてあったのだけれども、いやあれは、破れてよかったと思うのだけれども・・・。
    後、すごいアニメをいろいろ見てるようなのだけれども、いったいいつなのはとはやてはクラスメートになったのかと。後、はやてと<闇の書>が分離しなくても、なのははたいした躊躇もなく、はやてに本気で攻撃していたんじゃないか、と思うのは自分だけだろうか。ただ、A'sについては、ラストのバトルがあまりにも一方的な集団攻撃すぎて、敵側にたいしてかわいそうと思ったのは覚えている。
    まあでも、全体的にはボリュームもあってよかったと思う。最後のまどか☆マギカについてはとくになるほど、と思った(ワルプルギスの夜がどんな魔法少女だったかという想像の話はいらないと思ったけど)。

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著者プロフィール

小森 健太朗(こもり けんたろう)
1965年生まれの作家・評論家、翻訳家。近畿大学文芸学部准教授。1989年東京大学文学部哲学科卒業、1997年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。
1982年、史上最年少の16歳で乱歩賞の最終候補となる。大学卒業後の1994年『コミケ殺人事件』でデビュー。2010年に『英文学の地下水脈』にて日本推理作家協会賞を受賞。
2004年刊行の連作短編ミステリー小説『大相撲殺人事件』は2008年文春文庫となり、その紹介文が2017年Twitterで注目を集めて大反響(バズ)に。絶版状態だった文庫版が再版され、大きな話題となった。

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