ハンナ・アーレント「人間の条件」入門講義

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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861824791

感想・レビュー・書評

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  • 19/12/28。

  • ハンナ・アーレントの「人間の条件」を、熟読形式で全6回分にわたり講義された内容が書かれています。日本語訳を基本にされていますが、訳がよく分かりにくい部分などは、ドイツ語版、英語版を引くことで理解できるように、丁寧に進められています。タイトルの「人間」「条件」の意味をきちんと共通理解することから始まるように、言葉がどのような意味で扱われてきて、それがどのように変化していったのか、「言葉遊び」という言い方ですが、そういったところがドイツの哲学らしいところなのだと感じました。
    私たちが普通に仕事として見ているものについて、「労働」「仕事」「活動」と分類されていて、そのうち重視されるものが過去から現代に至る過程で変化していったこと。それが現代を豊かにし、また人間として貧しくさせてしまったこと。それを取り戻すことに対する諦めに近い認識と、かすかな希望。アーレントのそんな気持ちを理解することができたのではないかと思います。

  • 哲学

  • ハンナ・アーレント人間の条件入門講義 仲正昌樹 作品社

    アーレントの主張は素晴らしい内容だと思うが
    翻訳の難しさもあり
    下地があったとしても読み砕くのが難儀だ
    落としがないように本として表現するためには
    残念だけれども法律のようにクドクドと周りを固めて
    お客である見えない相手を攻めなければならない

    ついでと思い仲正さんの知識バカを読んで
    当人こそが知識バカの見本のようだと思い
    図書館にこのアーレントを注文したことを悔やんだほどだったが
    言語的な解釈による説明は結構読みやすかった

    要所毎にまとめた黒板ページだけ読んでも
    大方理解できるほどに咀嚼されている

    74ページの
    (精神)活動だけが人間の排他的な特権であり
    野獣も神も活動の能力を持たない
    そして活動だけが
    他者の絶えざる存在に依存しているのである

    このあたりから面白くなる
    ちなみにハンナによる人間の条件とは
    活動と行動の両方を備えていることであり
    動植物は行動のみで
    神は行動を伴えないと言うことらしい

    確かに古代ギリシャのポリスと言う都市国家の民主制は高かったし
    その政治は精神性を大事にしていたのだろうけれども
    その陰に奴隷制を必要としていたことが肝心な点だと思う
    これを現代社会に持ち込むにはAIとロボットが
    無ければ始まらない筈だ

    ついでながら仲正さんの文は句読点だらけで
    テニヲハも適切でないことが多いように思えた

  • 原典の解説書として、虎の巻感覚で読み始めたが、これほど解らない本であったとは。内容がそれ程難しいのであろう。こんなのを読み切ったのは生まれて初めて。部分部分に共感出来ること・重要と思われることが多いことも痛感。初めて真面目に哲学の世界を覗き込んだ感覚である。原典と共に再度読み込み。ワクワク。

  • 【内容】
    仲正昌樹
    本体 2,000円
    ISBN 978-4-86182-479-1
    発行 2014.5

     今、もっとも必読の思想書を、より深く理解するためのコツとツボ!
     本邦初〈Vita Activa〉『活動的生活』とそもそもタイトルが違う「ドイツ語版」を紹介しつつ、主要概念を、文脈に即して解説。その思想の核心を浮かび上がらせる。
    http://www.sakuhinsha.com/philosophy/24791.html



    【目次】
    目次 [001-004]
    凡例 [006]

    [講義]第一回  007
    ハンナ・アーレント/タイトル『人間の条件』〈The Human Condition〉と「人間」〈The Human〉について/ドイツ語版のメインタイトル〈Vita Activa〉/地球からの脱出/「条件condition」という概念/生命操作と「地球」の引力からの離脱/「言論speech」と科学/「活動力activity」――「労働」「仕事」「活動」という三つの条件/労働〈Arbeit〉(独)‐〈labor〉(英)と仕事〈Herstellen〉(独)‐〈work〉(英)/活動〈activity〉(英)‐〈Tätigkeit〉(独)と「多様性plurality」/「出生natality」と「可死性mortality」、そして「始まりbeginning」/アーレントとアリストテレス――「目的論teleology」をめぐって/人間の「条件」と「本質」/〈活動的生活〉vita activa/「観照的生活」と「活動的生活」/「永遠」と「不死」
    ■質疑応答 065

    [講義]第二回  071
    「社会的social」と「政治的political」/活動〔プラクシス〕と言論〔レクシス〕/家と社会と「国民国家nation-state」/「公/私」の区別の核心/自由と至福、必然〈necessity〉と暴力、そして「市民社会」/「共通善common good」/「社会的」とは?/「公的〔パブリック〕」I ――「現われappearance」/「公的〔パブリック〕」II ――共通世界/「私有財産private property」の変容と社会的領域の勃興/「公的なもの」と「善」の違い、そして、マキャベリ
    ■質疑応答 142

    [講義]第三回  145
    所有と労働、自然状態/〈労働する動物〉animal laborans/「生産的労働productive labor/非生産的労働unproductive labor」の区別/「生産性」とは何か?/「物thing」とはそもそも何であるのか?/物化と間主観性/永劫回帰、「ビオスbios」と「ゾーエーzoe」/貨幣と「物の客観的世界の創造」(Erzeugung einer gegenstänlichen Welt)/財産/世界専有活動力〔ワールド・アプロプリエーティング・アクティビティ〕/苦痛と快感の私秘性の問題/労働を通しての生命の無限増殖と、それと連動する富の無限の増大という二重の運動/「道具tools」、分業と専門化(specialization)/消費――自然のサイクルに吸収されること
    ■質疑応答 209

    [講義]第四回  215
    耐久性、主観と客観/自然から、世界の「樹立」へ/「仕事」‐「使用」と「労働」‐「消費」/「労働する動物」と「工作人」の立ち位置の違い/イデアとエイドス/「機械machines」と「道具tools」、オートメーションとテクノロジー/「功利主義utilitarianism」/工作人の手段と「最高目的supreme end」とは?/古代ギリシアの哲学者は、「全てを手段化しようとするため、全てが無意味化してしまう」難問にどう答えるのか?/アゴラとバザール/価値とは?/世界にとって、かけがえのないものとは?
    ■質疑応答 292

    [講義]第五回  298
    〈distinctness〉と〈otherness〉/「ユニーク」な「複数性」?/「始まり」―〈the beginning〉と〈initiative〉/「活動」と「言論」の違いとは?――「暴露discloser」/人格的アイデンティティと、「関係の網の目web of relationships」、「演じられる物語enacted stories」/〈interest〉と人と人の間/「網の目web」/「物語story」と「歴史history」/アーレントの歴史哲学/役者と合唱隊〔コロス〕/「歴史」を作るのは誰だ?/「幸福eudaimonia」に、「よく生きる」とは?/黒板/「出現の空間space of appearance」における「権力power」とは?/アーレントの政治観/〈energeia(エネルゲイア)〉と〈enyelecheia(エンテレケイア)〉/「人間の作品ergon tou anthrôpou」/社会主義・労働運動・評議会/イデアの政治/「過程process」/「許しforgiveness」と「復讐vengeance」
    ■質疑応答 381

    [講義]第六回  385
    「世界疎外」と近代、三つの出来事/疎外と宗教改革、「自我」中心の哲学/自己疎外と世界疎外、初期マルクス『木材盗伐法問題』/「世界に対する気遣い」と世界疎外/「アルキメデスの点Archimedean point」/デカルト=ガリレオの新しい知/「共通感覚common sense」I ――リアルって?」/「共通感覚common sense」II ――内省VS. 世界/第一の転倒――「思考thinking」と「行為doing」/第二の転倒――魂と肉体の関係/「工作人」的な態度と「過程の科学」としての自然科学/「世界疎外」の原因/幸福の原理[快楽の総計-〔マイナス〕苦痛の総計]と「最高善」としての生命/そして、「世界」を獲得できなかった――「〈労働する動物〉の勝利」/孤独――「世界」を経験し、最も充実して〈active〉になること
    ■質疑応答 465

    [後書きに代えて]アーレント・ブームは、はたして“アーレント的”か?(二〇一四年四月二十八日 金沢大学角間キャンパスにて) [469-474]
    もっと『人間の条件』を究めたい人のための読書案内 [475-477]
    著者紹介 [478]

  • アレントの『人間の条件』を、英語版とドイツ語版を参照しながら読み解いた、全6回の講義をまとめた本です。

    作品社から刊行されている著者の講義シリーズは、いずれもじっさいのテクストを引用し、その思想的背景にまで立ち入って解説する紙上演習のような構成になっています。本書が扱っている『人間の条件』というテクストは、哲学史や政治思想史に関するかなりの素養が要求される内容となっているので、こうした詳しい手引きはたいへん参考になります。

    以前『人間の条件』に一度挑戦したものの、挫折して積読状態になっているので、本書を読み終えて、もう一度ひもといてみたいと思いました。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784861824791

  • 活動的生と一緒に買う

  • 此の本だけ読んだりして、、、

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    http://www.sakuhinsha.com/philosophy/24791.html

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著者プロフィール

1963年生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。金沢大学法学類教授。専門は法哲学、政治思想史、ドイツ文学。著書に『集中講義!日本の現代思想』『集中講義!アメリカ現代思想』(NHKブックス)『悪と全体主義』(NHK出版新書)『ヘーゲルを超えるヘーゲル』『今こそアーレントを読みなおす』(講談社現代新書)『マルクス入門講義』(作品社)など多数。

「2020年 『現代哲学の最前線』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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