ブラックウォーター――世界最強の傭兵企業

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  • Amazon.co.jp ・本 (530ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861824968

作品紹介・あらすじ

"殺しのライセンス"を持つ米の"影の軍隊"は、世界で何をやっているのか?イラク戦争での民間人の虐殺、アルカイダ幹部など反米分子の暗殺、シリア反体制派への軍事指導などの驚くべき実態、そして米の政財界の暗部との癒着を初めて暴き、世界に衝撃を与えた書!

感想・レビュー・書評

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  • ☆現在は、アカデミと名称が変更したらしい。

  • 【由来】
    ・東洋経済

    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 現代の戦争において、民間の傭兵が如何に大きな存在か思い知らされる内容。


    思うのは、彼らの理論がほぼコストや収益にのみに立脚している点が恐ろしい。戦争が良くないことは当たり前だが、その戦争の中身を金銭面のみで評価してしまうのは、どこか違和感があり、その様な考えが広がりつつある点に背筋の寒いものを感じたりする

  • 古代ギリシャ・ローマの昔から傭兵は存在した。そんな時代にまで
    遡らなくとも、アメリカには南北戦争時代のリンカーンの身辺警護
    を請け負ったピンカートン探偵社がある。

    ピンカートン探偵社は19世紀にスト破りで悪名を馳せたが、現代の
    民間軍事会社はイラクやアフガニスタンなど、アメリカが占領した
    国で悪名を轟かせた。

    そんな民間軍事会社のひとつ「ブラックウォーター」を追ったのが
    本書だ。元ネイビーシールズのエリック・プリンスによって設立され
    た「ブラックウォーター」は子ブッシュ政権で大きく飛躍する。

    それは9.11後、「テロとの戦い」を掲げた大統領の下に行われた
    「戦争の民営化」の結果だろう。陸軍・空軍・海軍・海兵隊の4軍
    に加え、「ブラックウォーター」等の民間企業は戦地での政府高官
    の警護は勿論、施設の警備・防衛、治安維持までを請け負う。

    アメリカ政府中枢と企業の間には「回転ドア」があると言われている。
    政府から利益を得ようとする企業の役員が政府高官になり、その
    地位を退いたらまた企業に戻る。

    民間軍事会社もこの例に漏れない。だから、イラクやアフガニスタン
    などの占領地に振り分けられた予算の多くが「ブラックウォーター」
    を始めとした民間軍事会社に流れる仕組みが出来る。

    戦争の民営化の当初の目的は軍事費の削減だったはずなのだが、
    このアウトソーシングの費用は膨らみ続けているっていうのが実際
    のところらしい。

    そして問題点も多い。2007年、イラクの首都・バグダッドのニスール
    広場で「ブラックウォーター」によって引き起こされた市民への無差別
    発砲事件は罪のないイラク市民多数を殺害する結果になった。

    それでも彼らはアメリカ軍所属の兵士たちと違って軍事法廷に立つ
    こともなく、戦地での行動に対しては免責を与えられている(尚、
    その後に事件を引き起こした元契約要員たちはこの事件により
    有罪宣告を受けている)。

    その業務内容から非公開になっている事項の多い民間軍事会社
    の内実を知るにはいいのだが、本書は「ブラックウォーター」に係わ
    る多くの人たちの背景からの描写が多く饒舌に過ぎる為、「あれ?
    あの話はどうなった?」とつまずくことが多かった。

    翻訳もいまいちだし、校正も甘いのが気になる。しかも原書は2008年
    発行なのに日本で翻訳版が出たのは2014年という遅さ。

    既に設立者であるエリック・プリンスは同社を退いているし、社名も
    変更になり、遂にはモンサント社に買収された後なんだよな。もう
    少し早く日本では行されていたらよかったのに。

    余談ではあるが、単行本を読む時、私は表紙カバーを外している。
    読み終わってカバーを付けた際に改めてカバー写真を見たら、
    写っている人物がプロレスラー・蝶野正洋にしか見えなかった。

  • ブラックウォーターが荒稼ぎ民間軍事会社とは知っていたけど、イラク派遣で米国と契約しているのに、完全に免責で、殺人罪が一切適用されないのに、軍人のように憲法に縛られることもないとは…
    米国が資源、利権で派兵、利権で議員や政府は軍事企業と結びつき…改めて認識

  • 以前「外注される戦争」という本を読んだが、本書は傭兵会社ブラックウォーターの生い立ちからイラク、果ては米国内での活動の詳細を記す。
    戦争という、本来は国家の役割とみられていたものを民間企業に外注し、蝕まれていく。
    安易な民営化の問題、効かない規制・ガバナンスの弱さ、外交におけるアメリカの傲慢さ等、考える事、学ぶことの多い一冊であった。
    誤訳と思われる箇所が散見されたのと、原書が古い(08年出版)ので☆を一つ減らした。

  • まず膨大な参照資料に脱帽。
    そこから見えてくるのは、マスメディアが”対テロ戦争”と単純化した戦争の本当の姿。錯綜した醜い現実だ。
    軍産複合体とそれを支持する政治家たちの行いには恐怖しか感じない。オバマ政権は彼らの悪しき支配から脱出することができているのか?そしてこれからは?
    なにより日本の今の現状は、未来はどうなるのか。

  • 530ページもあって読み応えあり。

    イラク戦争当時、民間警備会社という呼び名を聞くことがあり、日本の警備保障会社みたいなものだと想像していたけれど、全然違っていてびっくり。というか、そんな想像しかできていなかった自分の平和ボケぶりに・・・。

    最初は、軍事的な訓練、といってもブートキャンプ的な、一人ひとりを鍛えるレベルの、から始まり、それから、警備要員を紛争地へ送り込み、さらにそのあとは、小さな軍隊を提供するまでに至る。かつ、その範囲は、紛争地だけでなく、米国内の災害地も対象にする。

    なにより怖いのは、本来、軍隊が負っていた役割を、民間にアウトソーシングしている点。

    「国益のための」軍隊のミッションと民間の「営利目的の」企業のミッションが重なっているということ自体が信じられない。

    近未来を描いた映画の世界が現実に起こっている怖さを感じる。

  • 戦争すら民営化されている。アウトソーシングされている。
    その日本ではあまり知らされていない事実に驚く。

    これまで軍隊で行われていた護衛や警備業務を戦地において民間企業が行うということは、軍隊としての派遣人数を数字上減らせるということ。
    それは、政府にとっては極めて都合のいい数字の操作だ。
    まさに戦争を産業化してきたアメリカの作り出した巧妙な仕組み。

  • イラクでの振る舞いにより世界中にその悪名を轟かせたブラックウォーター。
    本書は同社の解説を通して、イラク戦争以降、急速に成長を遂げつつある民間軍事企業の実態に迫る一冊です。

    本書によれば、既に民間企業なしにはアメリカと言えども軍事・諜報活動に大きな支障をきたすまでに至っており、この事実は"傭兵"が新たな主要産業になっている事を示しています。

    そして、同時に民間企業の利益と国益の相反、企業による政府に対する過剰請求、企業と政府との癒着等、様々な問題も生じている一方で軍隊よりも気軽に使える利便性が重宝されています。


    政府から民間への軍事力のシフトが今後どのような世界を生み出すのか。

    この様な事を考える際、役に立つ一冊ではないでしょうか。

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