ストーナー

制作 : 東江 一紀 
  • 作品社 (2014年9月28日発売)
4.50
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  • 本棚登録 :600
  • レビュー :84
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861825002

作品紹介・あらすじ

半世紀前に刊行された小説が、いま、世界中に静かな熱狂を巻き起こしている。名翻訳家が命を賭して最期に訳した、"完璧に美しい小説"。

ストーナーの感想・レビュー・書評

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    ジョン・ウィリアムズ『ストーナー』読了。
    この本に出会えて良かった。
    最初の数頁を読んだだけで、迷わず買った。
    普段、一冊の文庫本を買うのでさえも逡巡する自分が、3000円近くもするハードカバーを買うのは珍しい。
    その判断、というか閃きは間違っていなかった。
    本が好きで良かった。

    明け方に読了し、読後の静かな興奮がさめないままtwitterにこのような文章を上げた。

    ブクログで「ひさしぶりに読書の愉しみ、悦びを味わった」という趣旨の感想を述べている方がいらっしゃったが、僕もしみじみそう思う。
    自分に能力がないことがもっともな理由だが、レビューを書いてしまうと『STONER』という小説に込められた魔法の湯気みたいなものが逃げてしまいそうで、どうしても書けない。

    でも、この本に出会ってほしい。
    書評やいろんな方の感想を目にして「ああ、こういう話なのね」とわかった気にならずに、まず本屋さんで表紙の手触りを感じてほしい。
    本の神様からの霊感を信じて扉を開いてほしい。

    • 円軌道の外さん
      kwosaさん、ホンマにホンマにご無沙汰してすいません!

      新しい仕事が忙しくて、
      (多田便利軒と同じく、便利屋で働いてます)

      携帯を見る時間が年々減っていって、
      その後すぐにプロボクサーを引退して
      今度は教える側に回ったこともあって、
      昼は便利屋、夜はジムの毎日で、
      本を読む時間も取れなくなっちゃったのです。

      そして2017年に入り少し落ちついたと思ったら、
      今度はなぜかレビューがまったく書けない状態に陥ってしまい、
      (いわゆるスランプってやつです笑)

      気がつけば、な、な、な、なんと、
      約2年もの間、ブクログを休んでいたのでありました。
      (これには自分もビックリでした汗)

      で、ちょうど1週間前に
      休んでいる間に少しずつ書きためたレビューをまとめて更新して、
      なんとかかんとか復活した感じです。


      また休んでいる間に
      携帯を二度に渡り、踏んでしまい(笑)
      (つまり、2年で3台買い換えました)

      データが見れなくなったものもあるので、
      ポチやコメントが返せてないのがあるかもです…
      ホンマすいません!

      kwosaさんはどんな感じですか?
      本を読む時間はとれてますか?


      えーと、3時間ほどかけて久びさに
      kwosaさんのレビューすべて読ませてもらいました。

      『叫びと祈り』、『春待ちの姫君たち』『セシューズ・ハイ』、『島はぼくらと』
      、『夜よ鼠たちのために』、『鍵泥棒のメソッド』、三池監督の『逆転裁判』、
      『続・荒野の用心棒』、『外天楼』、
      今敏監督の『パプリカ』、『式の前日』、
      『イングロリアス・バスターズ』、『ファール・プレイ』、『夏への扉』、
      映画『まほろ駅前多田便利軒』、『私を知らないで』、『ビブリア古書堂の事件手帖3』、
      『ビブリア古書堂の事件手帖』、『星を撃ち落とす』、『銃とチョコレート』、『倒立する塔の殺人』などなど、
      今挙げた作品のすべてに僕のコメントがあって、
      kwosaさんとのやりとりを読んでたら、
      なんな懐かしくて、
      またこっ恥ずかしくて、
      なんか自然と目頭が熱くなってしまったし…(汗)
      (古いレビューだと今から5、6年前になるんですよね~汗)

      好きな本のこと、音楽のこと、
      テレビドラマや映画のこと、
      アイドルのことや好きな食べ物のこと、
      80~90年代のCMや漫画の話、
      無人島に持っていくなら何の本や映画がいいとか(笑)

      よくもまぁ、こんなに書くことあったなと
      どうせならコレ書籍化して欲しいなって
      大人の悪い癖で、
      頭ん中でとらぬ狸の皮算用しましたよ(笑)



      僕は基本、あまり人に影響受けないほうなのだけれど、
      kwosaさんのレビューには
      お世辞抜きで本当に憧れたし、
      だからこそ、こんな文章が書きたいと思って
      自分もレビューを書き続けてこれたのかなって
      今あらためて思います。


      kwosaさんのレビューはスゴいんです。
      ちゃんと伝えるべき言葉を持っていて、
      伝えたい意志が読む側に響くレビューに
      僕はここに来るたびに耽溺しました。
      (それでいて誰が読んでも分かりやすい)

      どんなに上手い文章で立派なことを綴っても、
      その人の意志や生き様や思想や
      なにより文章から
      本や映画への「好き」が見えてこないレビューには
      自分にはひとつも響かないんだけど、 

      その点でもkwosaさんのレビューは
      作品への『好き』の気持ちが溢れていて
      読んでていつも
      自然にニヤケてしまうのです(笑) 



      とまぁ、
      ここまで書いたの読み返したら
      まるでラブレターですね(笑)

      でもラブレター上等です!

      僕がこんな長い長い前置きを書いたワケは
      ただひとつです。

      自分のことは棚に上げて言います(笑)
      (2年も休んでたアホですが)


      kwosaさんのレビューが読みたいです。


      上手いか下手か、
      長文だって短文だって、
      他人の評価だって、
      そんなの関係ないし、どうでもいい。

      レビューなんてホンマは
      僕はこの本が好きです、で充分やもん(笑)


      どんな言葉だって内容だって、
      僕にとっては
      kwosaさんが書くことに意味があるんです。

      ヒーローはいつだって
      挫折を越えて
      不死鳥のように立ち上がるのです。

      何度だって、何度だって。


      みんなもそう思ってますよ。




      P.S. 研いだお米をぷつぷつと言っていた娘さんは
      いくつになったのかな?(笑)

      またアホな話しましょう♪
      (そしてストーナー!絶体読みたいです!)



      2018/01/21
    • kwosaさん
      円軌道の外さん

      本当にありがとうございます。
      なんか涙がでてきました。
      2018/01/22
    • 円軌道の外さん
      kwosaさん、ポチとコメントありがとうございます!
      再会できて僕も嬉しく思います!(^^)

      僕の本棚の『いつも彼らはどこかに / 小川洋子』のレビューに
      バカ長い返事書きました(笑)
      またヒマつぶしにでも、覗いてみてください。
      てかてか、絶対見てください!(笑)

      P.S. 東京は久しぶりの大雪で
      仕事も休みになり、家に閉じ込められてます!
      2018/01/22
  • 根気強くコツコツと、時々つまりながら3か月近くかけて、やっと読み終えました。残り100ページあたりは一気読み。途中で投げ出さなくってよかった。「訳者あとがきに代えて」で、感情がゆすぶられ感極まって涙がにじみました。


    派手さもなく華やかな盛り上がりもなく、ただ淡々と過ぎてゆく日々。良くも悪くも東北人のような気質のストーナー(宮澤賢治が浮かんだ)。哲学書よりも哲学的な人生。先日読んだアドラーの本を思い出しました。


    イーディスとの結婚、ローマックスとの確執、フィンチとの友情。(結局ウォーカーやローマックスとの関係は分からずじまい。この関係がどうだったということは人生において重要ではなく、何の意味も持たない…ことをストーナーから教えてもらったような気がする)。わたしの心を何よりも惹きつけたのは、アーチャ―・スローンの「恋だよ、ストーナー君」の場面でした。

    私はこの場面を読んだ瞬間、この本に恋をしました。



    あと、295ページのワンシーン

    “それは精神的な情熱でも肉体的な情熱でもなく、両方を包括する力なのだ。この力こそが愛の本質、まさに愛の神髄だ。”


    が、とても深く心に残った。哲学的な人生の中で自分だけの答えにたどり着くことが出来たストーナーの生き様は最高に渋くカッコいいと思う。苦難もあっただろうけど、悔いを残さず静かに幕を下ろし、しあわせだったのではないかな…と感じた。



    私もストーナーやイーディスと同じような年齢。ストーナーのように根気強く、イーディースのように思うがままに生きることは難しいけど、自分が求めていることにたどり着きたいと思いつつ本を閉じました。



    ちょっと笑ってしまったのは、私も妻の立場なのでイーディースのような振る舞いはしたくない。と思いつつ、ヒステリーになったりハイテンションに仕切ったりするあたりで、気持ちがわかり苦笑いになってしまった。あとはローマックとの諍いはハラハラした。私の胃がキリキリと痛み出しそうになりました。




    =帯より=第1回日本翻訳大賞「読者賞」受賞。「完璧に美しい小説」



    ストーナーの人生にも重なるような、訳者の東江一紀氏の生涯に「ありがとうございました」と、感謝の気持ちを伝えたいです。静かに打ち寄せるさざ波のような素敵な作品です。

    • kwosaさん
      まっき~♪さん

      おひさしぶりです。

      環境の変化とともに身の回りが慌ただしくなり、なかなか本が読めない日々が続いていました。
      レビューも書けなくなり、親しくしていただいた方々もブクログを離れ、次第に私自身もブクログに触れる機会が少なくなってきました。
      いま、また読書を再開しすこしずつですが本に触れています。

      まっき~♪さんと『ストーナー』の感動を共有できて嬉しく思います。
      翻訳者東江一紀氏の人生とも重なる部分もあり、あとがきでより心に沁みいる物がありましたね。
      まっき~♪さんは、本のカバーをめくってみましたか? 読了後めくってみて思わず嗚呼と声が漏れました。
      2016/05/06
    • まっき~♪さん
      kwosaさんへ

      こんばんは。お久しぶりです。お元気ですか。

      kwosaさんにコメントしようと、ずっと思っていました。
      私が『ストーナー』を手にしたのは、何を隠そう…kwosaさんのレビューを見て、興味を持ったからなのですよ。

      >本の神様からの霊感を信じて扉を開いてほしい。

      この一文にとても惹かれたのです。

      図書館で借りて一回延長して、さらにまた借り直して2~3か月かかって、やっと読破しました。

      本当に素敵な本を紹介していただいて、ありがとうございました。

      読み終えてから普通の本の感動とは違う、不思議な感じを得ました。
      哲学書よりも哲学していて、人の人生って傍から見るとわからないけど、求めているものの答えのようなものにたどり着けるように、自然となっているんだなぁ…と、しみじみ思いました。翻訳者の東江一紀さんのことといい、そう感じることが多かったです。

      本のカバーをめくれませんでした。残念!です。図書館の本なので、保護カバーで接着されていました。

      カバーめくってみたいので本屋に行ってみようと思っています。

      これからも素敵な本を紹介してくださいね。楽しみにしています♪いつも、ありがとうございます。
      2016/05/06
  • いい小説だ。読み終わって本を置いた後、じんわりと感動が胸のうちに高まってくる。一人の男が自分というものを理解し、折り合いをつけて死んでゆくまでの、身内をふくめる他者、そして世間との葛藤を、おしつけがましさのない抑制された筆致で、淡々と、しかし熱く語っている。「文章に気品があり、燃え立つ情感が知性の冷ややかさと明晰さという外皮をまとっていた」というのは、作中で主人公がかつて愛した女性の著書を評した言葉だが、そのまま本書を評したものともいえる。

    読む人によって、それぞれ異なる主題が見つかるだろう。主人公は大学で主に英文学を教える助教授である。そこからは、大学というアカデミックな場において繰り広げられる身も蓋もない学内政治の暴露が、また、師が弟子の資質を発見し、己があとを託すという主題が見える。さらには、シェイクスピアの十四行詩と『リア王』が全篇にわたって朗々とした音吐を響かせていることも発見するだろう。

    男と女が夫と妻となったが故にはじまる家庭内での葛藤を主題とした小説でもある。自分を見失った中年男が理想を共にする歳若い女性との秘められた情事のなかで再び自分を回復していくという、些細ではあるが忘れることのできない挿話もある。自分以上に自分を知る友との出会いと別れ。また、その反対に、故知れぬ悪意を抱く競争相手との熾烈な闘争、とよくもまあこれだけの主題を逸脱することなく、一筋の流れの中にはめ込むことができたものだと、その構成力に驚く。

    忘れてならないのは、戦争という主題である。主人公が大学で教鞭をとるのは二つの大戦期である。戦争に行くことに価値があり、忌避は認められていても誉められる態度ではなかった。優れた素質を持ちながら、主人公が終生助教授の地位にとどまるのは、戦争との関連を抜きにしては語れない。主人公の中にあって、自らは知らない教師としての素質を見抜いた師が迷う弟子に言い聞かす言葉がある。「きみは、自分が何者であるか、何になる道を選んだかを、そして自分のしていることの重要性を、思い出さなくてはならん。人類の営みの中には、武力によるものではない戦争もあり、敗北も勝利もあって、それは歴史書には記録されない」というものだ。教育に携わる人なら肝に銘じたい言葉である。

    裏表紙に、イアン・マキューアンとジュリアン・バーンズの推薦文がある。この二人が薦めるなら、何をおいても読まねばならない、と思って手にとったが、はじめはいかにも古風な出だしにとまどった。ところが、学生時代、スローン教授によるシェイクスピアのソネットの朗読を聴いたストーナーが顕現(エピファニー)を実感する場面がある。周りのすべてがそれまでとちがって見える瞬間を描いた部分だ。ここが何とも美しい。主人公が文学に開眼すると同時に、小説は一気呵成に面白くなってくる。

    注目すべきは人物。たとえば同僚のマスターズ。大学は自分たち、世間に出たらやっていけない半端者のために作られた避難所で、ストーナーは世間に現実とは違う姿を、ありうべからざる姿を期待している夢想家にしてドン・キホーテだ。「世間に抗うべくもない。きみは噛みしだかれ、唾とともに吐き出されて、何がいけなかったのかと自問しながら、地べたに横たわることになるだろう」という予言めいた言葉を残し、戦死してしまう。

    そのマスターズの陰画が他校から赴任してきたローマックス。頭脳明晰で弁が立ち、傲岸不遜。二枚目役者の顔を持ちながら背中に瘤を負い、脚を引き摺る小男というディケンズの小説にでも出てきそうな人物。この男がストーナーを目の敵にして生涯立ち塞がる。その嫌がらせの度合いが半端でない。ところが、世間ではこうした男に人気が集まり、出世も早い。弁証法的な役割を果たし、小説をヒートアップさせる名敵役だ。

    シェイクスピアを蔵する英文学という世界はまことにもって恵まれている。主人公のストーナーは大学内では世間知らずで善良であるがゆえに貧乏籤を引かされるエドガー役を勤め、家庭においては、現実とは違う姿を、ありうべからざる姿を期待し、書斎からも放り出され、居場所を探して放浪するリア王の役を演じさせられる。マスターズが囁く「トムは寒いぞ」の科白ひとつで嵐の中を流離う老人の姿が眼前によみがえる。さらに、主人公が文学に目覚める、十四行詩の七十三番は、老教授の思いを伝えて哀切極まりない。

    かの時節、わたしの中にきみが見るのは
    黄色い葉が幾ひら、あるかなきかのさまで
    寒さに震える枝先に散り残り、
    先日まで鳥たちが歌っていた廃墟の聖歌隊席で揺れるその時。
    わたしの中にきみが見るのは、たそがれの
    薄明かりが西の空に消え入ったあと
    刻一刻と光が暗黒の夜に奪い去られ、
    死の同胞(はらから)である眠りがすべてに休息の封をするその時。
    わたしの中にきみが見るのは、余燼の輝きが、
    灰と化した若き日の上に横たわり、
    死の床でその残り火は燃え尽きるほかなく、
    慈しみ育ててくれたものともに消えゆくその時。
     それを見定めたきみの愛はいっそう強いものとなり、
     永の別れを告げゆく者を深く愛するだろう

    しかし、翻訳という文化のおかげで、われわれもこの世界を共有することができる。文学という喩えようもない広く深い森の中に足を踏み入れ、枝葉のそよぎや鳥の鳴き声に耳をすませる悦びを知る者には、五十年という歳月を経て、再びこの小説が陽の目を見ることができたことが何よりうれしい。

  • 人生は悲しみの連続であり悲しみとは人生そのものだ、そういう気持ちになる本でした。
    主人公ストーナーは貧しい農家の息子として生まれたものの、持ち前の努力と勤労勤勉で大学講師としての地位を得て、十分な収入を得て、妻子を得て、広い住まいを得ました。そんなストーナーの、傍から見ると理想的で素晴らしいと思える人生が、どうしてこうも悲しいんだろう。
    妻との不仲、子どもの教育方針についての意見の相違、大学での無益な派閥争い、ゼミで受け持つ学生の若さゆえの大胆で反逆的な主張とその若さへの羨望、国同士の戦争、禁じられた恋、老いによる身体の衰え、両親の死、友人の死、そして自分の死。彼の人生の悲しみそのものであるこの本は読者に「これは自分の人生にも起こり得る(もしくは既に起こっている)悲しみだ」との共感を呼び起こします。
    読んでいると、悲しみがゆっくりと、本当にゆっくりと、しかし着実に心の底に沈みこんでいくような気分になりますが、翻訳された文章、言葉一つ一つがとても美しく、読者を悲しみの中に掴んで離さない、そんな本でした。
    翻訳家ご自身がこの本の翻訳中に癌で闘病をされており、最後の1ページの翻訳作業を残して旅立たれたそうです。何としてもこの本の翻訳は仕上げる、と病に冒されながらも丁寧な翻訳作業を続けられていたそうで、この方のお気持ちが文章を通して伝わってきた気がしました。おすすめの本です。

  • なにも起こらない、でも、静かに生きるひとりの人間が、丁寧に静かに描かれていて、一気に読んだ。農場を持つ両親の元に帰らないと決めるとき、授業での閃き、親友との語らい、どれもが平凡なのに、どうしてこんなに感動するのか。日本的なものも含んでいるからかもしれない。

  • 「この本については特に誰とも語り合いたくない」と中野善夫さんがつぶやいていらした。

     この作品はおそらく、翻訳で命を削ってきた翻訳者に、翻訳の神様がねぎらいの意を込めて贈呈して宝だろう。でなければ、どうして最後の一ページを残して天に召されるだろう。

     自分は書評というものを大変頼みにしていて、書評によって、より輝き、深みを増す作品があると信じている。しかし、この作品にかぎって書評は不要だと思い、好きな部分の抜き書きにとどめる。

    「六十の峠が近づいた今、自分にはもはやあのような情熱の力、愛の力は残っていないのではないかと思った。いや、ちがう。これからも決して失うことはない。無感覚と無関心と退避の日常の中でも、その力は強く内在していた。昔からずっとあった。青年時代には、やみくもに、考えもなく、それを行使した……人生の一瞬一瞬すべてにそれを行使し、そう意識しないときにこそ最大限に行使してきたのかもしれない」
    「ふいに、自分が何者たるか覚り、その力を感じた。わたしはわたしだ。自分がどういう人間であったかがわかった」

    • nanaestさん
      kwosaさん、コメントをありがとうございました。わたくしもkwosaさんの感想を拝見しました。「書評やいろんな方の感想を目にして『ああ、こういう話なのね』とわかった気にならず」と書かれているのを見て、ああ、同じ思いの方がいるのだとうれしくなりました。じつは、このような場で自分の思いを表出するのは初めてなのですが、同じ作品を読まれた方とこんなふうに気軽にふれあえる場は貴重だなとあらためて思いました。
      2016/01/26
    • kwosaさん
      nanaestさん、こちらこそコメントをありがとうございます。
      僕自身も、読んだ方だけにわかる思いを共有できていることをうれしく思っています。
      本当にこういう場は貴重ですね。
      2016/01/26
    • natsu33emikoさん
      私も同じ個所をノートに抜書きしました。それをお伝えしたくて、今、ブクログに登録しました(^^)
      2016/05/05
  • 静かに、ゆったりと、しかし引き込まれずにはいられない文章の一文字一文字を噛みしめるかのように読んだ。
    一人の男が望まれて送り込まれた大学で、人生を過ごす事になるだけの地味な物語なのだけど、最後の数ページは涙で文字が霞んだ。
    主人公と同じ病を得て、なおこのような静謐な訳文を書かれた東江さんの死を改めて悼む。
    日本語って美しい。

  • きみは自分が何物であるか、何になる道を選んだかを、そして自分のしていることの重要性を思い出さなくてはならん。人類の営みの中には、武力によるものではない戦争もあり、敗北も勝利もあって、それは歴史書には記録されない。どうするかを決める際に、そのことも念頭に置いてくれ。 (本文より)

    小説を読んでてよかったと思えるほどに、悲しくも美しい。決して劇的とはいえないが、読んだ後はきっと世界が輝いて見えるはずだ。

  • 最初の数ページを読んだだけで、これは大切に読み進める価値があると確信した。そんな本にはそうそう出会えない。読み進めるうち惹き込まれることはあるが。

    1人の平凡と言っていいだろう男の半生が描かれているだけなのに、静かに静かに心の奥に浸み込んでくる。読書以外では味わえない素晴らしい時間になった。

  • 「訳者あとがきにかえて」まで含めて1冊の本として素晴らしい。
    人生はままならないものだ(ままならなくしているのはストーナー自身であるとしても)ということを淡々と語っていく。
    それでも、必要以上にあらがわず、多少もがきながらも受け入れ、あきらめ、生きて死んでいく。人間の人生はもしかしたらみんなこんなものかもしれない。

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