証言 日本のアングラ 演劇革命の旗手たち

  • 作品社 (2015年10月30日発売)
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  • / ISBN・EAN: 9784861825347

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  • アングラという言葉がアンダーグランドを示している事は当たり前の話ながら、この「アングラ」という言葉自体が既に一つの体系となっていて、所謂アンダーグラウンドとは違っているようであります。僕は60年代~70年代を通過していないので指を咥えて見ているしかない世代です。
    昔から綿々と続いている芸能の世界は、興った時にはどれもヒップなカルチャーであったはずが、いつの間にやら継承していく文化となり己を投影する事よりもそれを残していく事に力を注いでいく。それはとても大事な事で知識や経験の継承無くして人類の発展はありません。
    最終的には権威になびく大多数の人々に対して、一部のアンダーグラウンドな人々が起こした前衛的な表現。鬼子としての芸術がここに生まれました。
    これを読んで考えた僕なりのアングラの定義はそこに「問い」があるのかという事ではないでしょうか。答えの返って来ない問いを、問い続ける覚悟が必要なのではないかと思いました。結果として商業的に成功していたとしても。
    60年代終盤の世界的な反戦ムードの中で盛り上がった関西フォークのムーブメントは、70年安保の成立によって幕を下しますが、誰もがそこから去っていたわけではなく、まさにアンダーグラウンドでは精神的に我々に引き継がれています。

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著者プロフィール

西堂行人(にしどう・こうじん)
演劇評論家。1954 年10 月、東京生まれ。早稲田大学文学部(演劇専修)卒。同大学院中退。 1978 年から劇評活動を開始。60 年代以降の現代演劇を中心に、アングラ・小劇場ムーブメントを理論化する。80年代末から世界演劇にも視野を広げ、韓国演劇及びドイツの劇作家ハイナー・ミュラーの研究。90 年代以降は近畿大学、明治学院大学などで演劇教育に関わる。「世界演劇講座」を2006年から開講。
主な著書に、『演劇思想の冒険』『ハイナー・ミュラーと世界演劇』『劇的クロニクル』『日本演劇思想史講義』(以上、論創社)、『[証言]日本のアングラ―─演劇革命の旗手たち』『蜷川幸雄×松本雄吉――二人の演出家の死と現代演劇』『ゆっくりの美学 太田省吾の劇宇宙』『新時代を生きる劇作家たち――2010年代以降の新旗手』(以上、作品社)、 『唐十郎 特別講義――演劇・芸術・文学クロストーク』(唐十郎との共著、国書刊行会)、『韓国演劇への旅』『現代演劇の条件』『演劇は可能か』(以上、晩成書房)ほか多数。
国際演劇評論家協会会長、日本演劇学会理事、日韓演劇交流センター副会長、読売演劇大賞の選考委員などを務める。

「2024年 『日本演劇史の分水嶺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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