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- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861825576
作品紹介・あらすじ
韓国南部の小島、過去の幻影に縛られる初老の男と少女の交流。
ガーナからパリへ、アイデンティティーを剥奪された娘の流転。
ル・クレジオ文学の本源に直結した、ふたつの精妙な中篇小説。
ノーベル文学賞作家の最新刊!
感想・レビュー・書評
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ル・クレジオの最新作を発売日に書店に駆けつけ手にすることの喜び。初期の難解さは影を潜め、平易な文章に多少の物足りなさを感じつつも、じんわりと五感を刺激し、清澄な気配を充たし漲る感覚はどこまでもル・クレジオだった。すぐそこに風のいななきが、海のざわめきが、雨の滴りが聞こえてくるようだ。表題作と併録の「わたしは誰?」共に自らのルーツを求める不遇の少女を主人公に据え、失意を克服させ新たな出発へと導きゆく。老いて熟成した小説家の眼差しはまろやかで優しい。そこがまたステキだと、私のクレジオ熱はまだまだ冷めやらぬ。
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意地で前半の表題作「嵐」だけを読み終えた。残念ながら、70年代の初め、あの激動の時代に熱狂して読んだ「調書」、「発熱」、「大洪水」のル・クレジオは、もうどこにもいなかった。ただもう惰性で書いている作家にすぎない。気の毒だが、もう終わった作家になってしまった。
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