- Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861826672
感想・レビュー・書評
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令和元年の11月頃から読み始めた本ですが、何しろ分厚い本で持ち歩くのも大変で後回しになっていましたが、今回は久しぶりに帰郷したこともあり、新幹線での移動時間を利用して読破しました。
資本主義と以前争っていた共産主義が敗れたのは、冷戦によるものであったので、資本主義の終焉も戦争によるものだと思っていましたが、そうでないことがこの本を通して私なりに理解できました。つまり、資本主義の大前提である、成長が止まるのが資本主義の終焉ということだということです。
少なくとも日本では低成長が続き、私の理解では、平成時代は殆どそんな時代であったと思います。令和が何年続くかはわかりませんが、その間に資本主義の次の考え方が芽生えているのだと思います。それをキャッチできる感覚を今後も磨いていきたいと思います。
以下は気になったポイントです。
・中央銀行の役割は、銀行家を保護することであり、人々の福利に配慮することではなかった(p12)
・住宅ローンで資金を調達して住宅を購入することは極めて奇妙は取引である。10万ドルの住宅ローンを年率5%で30年かけて完済すると、その額は約19.5万ドルである。だからそのローンは10万ドルの価値の資産を獲得するのに9.5万ドル余分に割増金を支払っている。完全な所有権を得るまで、30年に渡って9.5万ドル地代を払うのと同じである(p41)
・女性売買、麻薬取引、武器の密売は、現代資本主義で最も稼げる事業である、貨幣が資本でない場合でも、あたかも資本のように使うことで貨幣を増やすことができる(p56)
・交換価値が貨幣と不可分であるのと同じくらい、貨幣は価値と不可分である。この3つの結びつきは強固である(p60)
・社会的労働の発展と価値増大に関係する諸条件を簡単に調べてみると、永遠の複利的成長が不可能であることがわかる(p62)
・オートーション化された仕事を補う速さで新技術が雇用を創出すると考えるのは幻想、排除されるのは高賃金の技術職でないと考えるのも見当違いである(p147)
・科学的管理法(テイラー)のいう「科学」とは、時間動作研究と、専門化技術を結び付けることで、何らかの部門や個別企業において、あらゆる作業を単純化し、その効率を極大化させ、生産費を極小化させようとするものであった(p163)
・モンドラゴンはヨーロッパにおいて最も長期間存続してきた労働者協同組合で、その集団経営の自慢の種は、組織内の所得格差が最近でも3倍にしかならない、アメリカでは350倍である(p236)
・ゼロ成長で定常状態の資本主義経済に達することはあり得るだろうかに対する答えは「絶対ありえない」である。理由は、資本の目的が利潤の追求にあるからである(p306)
・この200年間に起きたほとんどすべての飢饉は社会的に生み出させたものであり、自然によって運命づけられらたものではなかった。(p332)
2020年1月11日作成詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アメリカでマルクスを研究して反資本主義の主張をする人がいたことにビックリ!
本書は難解ではあるが、主張には耳を傾ける価値がある。 -
途中,何と何が矛盾しているのかわからなくなるところがあった。自分の力不足。。。
個人的には,資本蓄積を進めると有効需要の不足から剰余価値の実現が難しくなる一方で,有効需要を維持していこうとすると剰余価値の創出が難しくなること(7章)が印象に残った。 -
資本の増殖が搾取にあることはマルクスが喝破していた事であるが、この増殖が経済だけでなく環境にも棹差す状態になる中で我々はどこを目指すべきなのか?についての処方箋を示してくれている。人口減少が世界で最も進む中、この国の目指す方向はどこなのだろうか?移民を忌避し、労働人口が減少するばかりの中、成長を好むという二律背反には明確な答えはないと思う。グローバリゼーションとは一線を画すローカリゼーションに英知を注ぐことが解決策につながる気がする。
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借りてきた、、