新増補版 心の傷を癒すということ: 大災害と心のケア

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  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861827853

作品紹介・あらすじ

NHK土曜ドラマ「心の傷を癒すということ」(主演:柄本佑)
被災者の“心のケア”のパイオニアとして、奮闘しつづけた精神科医のヒューマンドラマ。

阪神・淡路大震災25周年――
自らも被災しながら、被災地の“心の叫び”と取り組んだ精神科医の感動の記録。
サントリー学芸賞受賞作の増補決定版
大震災で、人の心はいかに傷ついているのか?
そして、復興によって癒すことはできるか?

■本文「PTSD――Jさんの場合」より
「耳元で“助けて、助けて”という声がするんです。私も逃げるので精一杯だったんです。助けてあげられなかった。それで自分を責めてしまうんです……。私も死んでしまえばよかった。いつか、この“声”から解放されるんでしょうか……」

■本文「復興にむけて」より
 これまで日本の社会は、人間の「力強さ」や「傷つかない心」を当然としてきた。しかし今後、傷ついた人が心を癒すことのできる社会を選ぶのか、それとも切り捨てていく厳しい社会を選ぶのか?
 やかて被災地は、復興へと向かっていく。しかし、〈心の傷〉を見て見ないふりをして前進することではないだろう。多数派の論理で押しまくり、復興の波に乗れない“被災の当事者”でありつづけている人たちを、忘れ去ることではないはずである。“心の傷を癒すということ”は、精神医学や心理学に任せてすむことではない。それは社会のあり方として、今を生きる全員に問われていることなのである……

■新増補版への寄稿「このドラマは、安さんのご家族への贈り物だと思って作りたい」より
 ――『心の傷を癒すということ』がNHK土曜ドラマになるまで
 主演の柄本佑さんに、このドラマから学んだことはありますかと尋ねた。柄本さんは、しばらく黙って、こう答えてくれた。「誰も独りぼっちにさせへん、てことや」。それは、(安克昌さんがモデルの主人公)安和隆が「心のケアって何か、わかった」から語り始める柄本さん自身のセリフだった。
 脚本家の桑原さんは、セリフに込めた思いをこう語る。「『心のケアって何か、わかった』と書いた直後、手が止まりました。安さんが人生をかけて掴み取った答えを、私が書かなければいけないのです。言葉が浮かぶのをひたすら待ちました。まるで、安さんのそばにじっとたたずんで、口を開かれるのを待っているようでした。やがて『誰も独りぼっちにさせへん、てことや』という言葉が浮かんだ時、これは安さんが書かせて下さったセリフだと思いました………」。

感想・レビュー・書評

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  • NHK土曜日ドラマで注目!
    阪神大震災の被災地から届けられた感動の“心のカルテ”。

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  • 本書は、今BS4Kで再放送中のドラマ「心の傷を癒すということ」の主人公であり、わずか39歳の若さで亡くなった精神科医・安克昌さんが、阪神・淡路大震災当時自らも被災しながら医師として働き続け、被災地内部から”心のケア”の問題を書いた臨床報告に、安医師の死後寄せられた関係者の寄稿を増補したものである。

    震災直後から被災者が抱える心の傷。誰もがそこにあることが分かっていながら誰も触れることが出来なかった心の傷。「他人にはわかりっこないけど、分かって欲しい」と思う気持ち。「復興」という名の祭りへの疲れ・・・・・・。
    「お困りのことはありませんか?」
    「眠れていますか?」
    安医師が避難所に出向き、傷ついた被災者にかける言葉は専門家として上段からではなく、一人の人間としてそっとそばに寄り添う優しさと謙虚さに満ちている。

    心に大きな傷を抱えた人を目の前にした時、私たちに何ができるだろう。
    「傷ついた人が心を癒すことのできる社会を選ぶのか、それとも傷ついた人を切り捨てていく厳しい社会を選ぶのか・・・・・・」という言葉が重く響く。
    心のケア=カウンセリングと誤解されているが、決してそうではない。苦しみがそこにあることに気付くこと、回復に向け懸命に生きる人を、敬意をもって受け入れる社会を作ることも心のケアの意義であると安医師は言う。

    そして、ドラマでも何度か繰り返されていた本書最後の一文は、耳に、目にするたびに私の胸を締め付け、重い課題を突き付ける

    「世界は心的外傷に満ちている。”心の傷を癒すということ”は、精神医学や心理学に任せてすむことではない。それは社会のあり方として、今を生きる私たち全員に問われていることなのである。」

  • 25年前に起きた阪神・淡路大震災。精神科医でもある安先生ご自身も被災。
    「被災地内部からのメッセージとして、その時々の自分の感情を織り込んで書かざるをえなかった」P282より。
    心に傷を持つ人に寄り添い、話に耳を傾ける安先生の姿が目に浮かぶ。
    NHKのドラマを観て本書を手にしたのだけれど、読み返すごとに
    貼る付箋の箇所が違ってくるのかもしれない。


  • 読了。ドラマは1月に見た。ツイッターで白川美也子先生が紹介されていたので、ドラマを見て、本を買った。名越康文先生の後書きもあった。なんとなく、自分に縁のある本ではと思ったりする。また読もう。


  • 20数年ぶりに再読。

  • ドラマを見て本が読みたくなりました。
    39歳という若さで亡くなられたのが本当に残念な方です。
    私は今、ほぼ同じくらいだけど、どうしてこんな風に思慮深く優しい方が生まれたんだろう。
    ドラマは、安先生の素晴らしさを余すところなく伝えていたんだなと本を読んで改めて思いました。

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