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本 ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784861828393
作品紹介・あらすじ
★白井聡氏、激賞!
「われわれが今まさに知るべき事柄がぎっしり詰め込まれている」
「ハーヴェイはマルクスの最良の点を見事に受け継いでいるのである」
――【共同通信書評】
【コロナ禍で続けられた人気ポッドキャスト「David Harvey’s anti-capitalist chronicles」の書籍版、待望の日本語訳刊行!】
地球沸騰時代、パンデミック、差別と分断、増大する地政学的リスク……。
グローバル経済は、崩壊の危機を乗り越えられるのか? マルクス理論からの分析と大胆な代替案。
著者自身による広範な著述活動全体に対する手頃な入門書、かつベストセラー『新自由主義』の「続編」。
革命とは、一時の出来事ではなく、長期の過程である。
ハーヴェイによれば「資本主義の新自由主義的形態には深刻な問題があり、その是正は必要」である。だが「新自由主義が決定的問題」なのではない。「問題は資本主義なのであり、その特殊な新自由主義的モデルではない」のである。そうであるとすれば、まず「資本主義」そのものの問題とは何か。――【日本語版解説より】
世界的に著名なマルクス主義理論家デヴィッド・ハーヴェイほどの明晰さと先見性とをもっている人はなかなかいない。そのベストセラー『新自由主義』の出版(原著二〇〇五年)以来、ハーヴェイは新自由主義的資本主義の展開だけでなく、それに対して立ち上がった急進的対抗潮流をも追いかけてきた。経済危機と階級闘争とネオ・ファシズム的反動が渦巻く今、ハーヴェイは、資本主義に対する社会主義的代替案(オルタナティブ)がいかにして可能になるかを示し、社会主義への移行が運動によっていかに組織されうるのか、そしていかに組織されなければならないのかを明らかにする。ハーヴェイは危機と可能性について熟考するが、それを示す本書は、旧著『新自由主義』の最新版であり、その二〇〇五年の出版時点から今日までにわたる時代を鋭く批評するものである。――【本書の編者の一人、ジョーダン・T ・キャンプの「はじめに」より】
感想・レビュー・書評
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資本主義的な成長追求は必然であり、脱成長や格差否定は人口減や餓死を意味する。つまり狩りや農耕においては、収穫できないリスクを考えて余剰や貯蔵を必要とし、その保険は出来るだけ欲しいから、自ずと成長追求になる。これを止めろというのは暴論であり、他のイデオロギーに置換しても貯蔵による格差や成長志向はなくならない。搾取対策こそ成長追求である。だがそれは人間同士の競争に留まらず、大自然による人間の搾取も想定しなければならない。日々の安心を求める結果が、成長と格差を齎す。
蓄えろ、鍛えろ、育てろ、養え、増やせ、広げろ、より綺麗、より安全、きもちく、楽に、便利に、効率的に、勝て、更にモアモア。その生存本能やグリードを踏まえた交換こそ資本主義。
理論的には魅力的な「平等」「脱成長」思想も、現実においては「誰がどれだけ犠牲を払うか」という分配の問題に直面し、強制的な平等によって効率が落ちれば、収穫は減り、結果として飢餓や暴力が拡大する。共産主義の過去の実験がその証左であり、理想を実現するどころか、「成長の抑制=死」という結末すら生みうる。
したがって、現実的な選択肢としては、「成長を放棄せずに、格差の弊害をいかに緩和するか」が焦点。これはハーヴェイも一定程度認めており、「生産手段の民主化」「コモンズの管理」「都市空間の再構成」などを通じて、搾取の緩和を図る。その点では、完全な脱成長ではなく、資本主義的成長の矛先を組み替える試みの方が妥当ではないか。
いや、そもそもだが。「資本主義 vs 共産主義」という二項対立的なラベリングそのものが近代的な産物であり、人類の経済行動の歴史を振り返ると、資本主義的な所有、蓄財、交換、利殖、投資的な振る舞いは遥か以前から存在していたはずだ。
資本主義の行動原理は人類の経済活動の奥底に常に存在していた。つまり資本主義は近代になって新たに発明された制度ではなく、既存の人間的行動の法則が制度的に換言された状態と考えられる。人為的に構築されたアンチ資本主義的モデルが共産主義的実験であるのに対し、資本主義の方がより原初的なイデオロギーであった。
だからといって放っておいて良いのか、というとそれは違う。どう困るのか、何をすれば良いか。答えはないが、ヒントはこの本にある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
トランプ元大統領のアメリカを再びグレートに。
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緊縮政策に希望など見出せないが、中国が資本主義経済そのものなのは皮肉な話しだ。旧社会主義国家の中だけでなく、世界的に見ても上位ランクとなると、イデオロギーの根本が問われそう。
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東2法経図・6F開架:KW/2023//K
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デヴィッド・ハーヴェイの作品





