- 本 ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861828430
作品紹介・あらすじ
大ヒット『麻薬と人間 100年の物語』著者の次回作。
エルトン・ジョン、ヒラリー・クリントン、ナオミ・クライン推薦!
「絶望の病」に、抗うつ薬は本当に効くのか!?
9つの本当の原因と、克服するための7つの方法。
病気の認識を改め、苦しむ人に道を拓く、アメリカで大反響を呼んだ話題書。
「うつ病の原因は、脳内の化学物質の不均衡にあり、薬さえ飲めば治すことができる」
――自身も青年期からうつ病に苦しんだジャーナリストは、この説明に納得できず、世界中に蔓延するその病の真の原因と、逃れるための方法を探し求め、様々な分野の第一人者たちに直接取材した。鍵となるのは、現代に生きる全ての人々が陥っている〈絆〉の断絶と、その再建だった。大反響を呼んだ、世界的ベストセラー!
★「気分が落ち込んだり、喪失感を覚えたりしたことが一度でもあるなら、このすごい本は人生を変えてくれる。悪いことは言わないから、今すぐ読んでみるといいよ」――エルトン・ジョン
★「うつ病を始めとした精神疾患について、見事に鋭い分析を提供してくれる」――ヒラリー・クリトン
★「分析は鋭いし、追及は徹底している、(…)この本を読む人が増えれば増えるほど、世界はそれだけ良くなるはずだ」――ナオミ・クライン
「著者はこう主張する。うつ病の原因は、従来説明されてきたように、脳内の化学物質の不均衡にあるのではなく、絆の喪失にある。絆の喪失に対する正常な反応がうつ病なのだ、と。(…)
うつ病は症状に過ぎず、その本体は絆の喪失であるならば、その本体を再建しなければ根本的な解決にはならない。だがそれは叶わない。なぜなら文化・社会がそれを許さないからだ。だからその文化・社会を変えなければならない。これが著者の提唱する解決法だ。つまり本書は、うつ病の本ではありながら実はそれだけではない。文化や社会という大きなものに果敢に挑戦した勇気の書なのである。」――「訳者あとがき」より
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【目次】
プロローグ リンゴ
イントロダクション 一つの謎
第Ⅰ部 古くからの物語の欠陥
第1章 魔法の杖/第2章 不均衡/第3章 悲嘆の除外/第4章 月に初めて立った旗
第Ⅱ部 絆の断絶――うつと不安の九の原因
第5章 旗を拾い上げる(第Ⅱ部の序)/第6章 原因その1――意味ある仕事との絆の断絶/第7章 原因その2――ほかの人との絆の断絶/第8章 原因その3――意味ある価値観との絆の断絶/第9章 原因その4――子ども時代のトラウマ/第10章 原因その5――尊敬される地位との絆の断絶/第11章 原因その6――自然との絆の断絶/第12章 原因その7――希望に満ちた未来、安定した未来との絆の断絶/第13章 原因その8と9――遺…
感想・レビュー・書評
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日経の書評にて紹介されていた。多分だけど、リワークと色々な本やメンターから教えてもらったアプローチ(認知の歪み、視点、瞑想、運動、栄養、身体性、ソマティック、ナドナド)によってうつ病から寛解まで辿り着けた自分の感覚にも合いそう。包括的なアプローチとして、うつ病の人が、何が失われたかが描かれるとのこと。社会や制度、支配的な価値観を基に、失われる人間性が浮き彫りにされる本なのではないかと期待。
そして、この書評で、うつ病になったことも、人間とは何かとか、人間と社会に対する理解を深めるきっかけになったのではないかということにも気がついた。ある意味、良い機会、必然だったのかも知れない。
鬱によって、瞑想や禅、ソマティックに出会うことができて、自分が自然(シゼン)の一部であり、心身を調えて自然(ジネン)にあれるようになってきたこと。こうしたことに気がつき、昔からのテーマである自然と人の共存というテーマの回答として、二項対立ではなく調えて和することで、ジネンを個人、集団、社会という様々なレベルで実現していくことというのが今たどり着けたところ。
そんな風なところにたどり着けたのも、ある意味うつ病になったことからのことかも。辛かったけど、今の形でリフレーミングができたことを、考えると得られたことは、大きかったのかも知れない。
禍福は糾える縄の如し。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一昔前に「鬱は心の風邪」であり、適切に薬を服薬しましょう、と言う製薬会社が流布した言葉が世に舞った。それは、当事者を苦しめ、鬱の認識を大いに歪めてしまった。そんなことをこの本を読みながら思い出した。
この本の最後は、幻覚剤にまでたどり着いたが、丹念に鬱の原因や解決方法を探ってきた帰結であり、説得力があった。 -
この本はまず、「抗うつ剤がうつ病に効く」という命題が、実は製薬会社によるデータ改竄に基づいて立てられたという、それ自体は事実の告発から始まっている。
だが実は、抗うつ剤がうつ病に本当には効かない、というのは、そもそもうつ病の定義と診断作法の浅薄さによる。きちんとした精神科医が診断すれば、抗うつ剤が奏功するばかりでなく、治療に不可欠な患者群はたしかに存在するのである。
それが、憂うつ気分と意欲の減退にいくつかの症状が加われば簡単に「うつ病」と診断するような現代精神医学のあり方(DSMという操作的診断基準というマニュアルに寄りかかった)が、クソもミソもうつ病にしてしまうから、かえって意味のある研究が困難になっているのだ。
とはいえ、現代という時代に「うつ病」と診断される人々がこうも急増している背景の探究とそれに対する処方箋の模索という点では、この本の内容は秀逸である。
端的に言って、あまりにも人が孤立した「個人」として生きざるを得ない現代社会において、人が他者との、社会との、意味ある仕事との、かけがえのない価値との、そして自分自身との「絆」を喪ってしまうことは、必然の結果なのである。
われわれ現代人が何を喪ってしまったのか、何を回復しなければならないのか、そのために何をしなければならないのか、大事な視点を与えてくれる好著。 -
物質主義が鬱をもたらすのは、意外だった。あと、責任ある仕事の方が、鬱にならないという事も。どれにも当てはないし、当てはまらなかった過去のおかげで、自分が鬱にならずに済んだ時思う。
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女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000070518
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https://cool.obirin.ac.jp/opac/volume/939172
ひなたやまにもあります -
うつが脳の機能障害であり、薬で改善すると信じてきた。薬で治るという明確なエビデンスがない事を知り、大変ショックを受けた。
社会的な要因(貧困等)や、トラウマとなるような経験の方が、より根源的な原因であり、それを解決していかないと、薬で一時的に回復しても、すぐに効かなくなる。この事を、繰り返し様々な事例を示して説明しており、非常に説得力がある。
貧困や心的安全性の対策として、ベーシックインカムが実際にカナダの事例で有効であった事も示されており、ますますベーシックインカムの実現を検討すべきでないかとの考えが強くなった。 -
鬱病の原因9つと対策が具体的に書かれた本。
本当にこれだけで治るのかは分かりませんが、実践してみる価値はあるかもしれません。 -
翻訳の「『~』、と。」が気になる。
確かにとは思うが実践は難しい。社会の有り様を変えないと無理なんだろうな。