シュルレアリスム落語宣言

著者 :
  • 白夜書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (757ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861913662

感想・レビュー・書評

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  • えーと、あれだよ、あれ。『誤読の系譜』。と思いついて探したら阿木譲(ロックマガジン)を紹介する文章だった。
    複数のテキストから全く別のサブメッセージを読み抜いていく、テキストの絶対を確信して意図してずらす、世界を誤読する癖、これこれ。
    『大落語(上下)』『志ん生的、文楽的』『哲学的落語家!』に続く4冊目の落語評論。どれでもいいので、国芳の金魚づくしを使った装丁(とくにカバーの折ったとこが素敵)を選んだ。初めて読むなら、なにを食べさせられるのか、歯触り舌触りで探るしかない闇鍋みたくスリル満点、順に読んでいけば何度も高座にかけられて洗練されていく語りに騙られて、どっちもオモシロい。広範囲な個人的体験と雑多なテキストで編みあがった世界が読み取られるために存在しているのは、叩けば音がする、背後には思想がある、という相い対からだろう。世界はともかく平岡正明はいつどこを叩いても音がしそーだ。
    血肉になったものしか闇鍋には入れられないのだから、じょうよと聞いて、あの禿頭みたいなつやつやした皮、半分ぱくっといってなかから見える暗い暗い紫の餡のぼんやりとした昏さが浮かばないなら、薯蕷という字面で、ぺろっとめくれそうな皮の裏側の餡に汚れてももけた様子を想像しながら上顎と舌で味わうアレを思わないなら、知らないと書くのは正しい。饅頭ときいてたこ焼きを連想する関西人なんかいないが(しかも回転焼きは円でタコ焼きは玉だけど)、誤読は癖なのだから矯正したらイミがない。連想の飛躍は飛ばしたいだけ飛ばされるのがスジなのだ。かかってもまた良し。

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著者プロフィール

1941年東京市本郷区(現東京都文京区)生まれ。早稲田大学文学部露文科中退。ジャズ評論家、作家。60年安保闘争に関わったのち、政治結社「犯罪者同盟」を結成して社会の攪乱を企てる。64年『韃靼人宣言』で先鋭な政治思想家としてデビュー。67年『ジャズ宣言』で、社会変革における音楽の役割をラジカルに提示する。70年代に入るとアジア現代史の研究に着手し、『日本人は中国で何をしたか』『闇市水滸伝』などを発表。竹中労、太田竜とともに、「三バカトリオ」を結成し、社会下層の制外の民を主人公とした窮民革命を唱える。80年代以降は、歌謡曲、河内音頭、浪曲、新内、落語などを対象に、独自の民衆思想を構想した。『大歌謡論』で大衆文学研究賞、『浪曲的』で斎藤緑雨賞を受賞。主な著書に、『西郷隆盛における永久革命』『水滸伝-窮民革命のための序説』(竹中労と共著)『ジャズより他に神はなし』『石原莞爾試論』『歌の情勢はすばらしい』『河内音頭・ゆれる』『美空ひばりの芸術』『新内的』『マイルス・デヴィスの芸術』『中森明菜-歌謡曲の終幕』『座頭市-勝新太郎全体論』『大革命論』『志ん生的、文楽的』など多数。2009年歿。

「2015年 『完全版 山口百恵は菩薩である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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