JAPROCKSAMPLER ジャップ・ロック・サンプラー -戦後、日本人がどのようにして独自の音楽を模索してきたか-

  • 白夜書房
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本棚登録 : 72
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861914331

感想・レビュー・書評

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  • 最高。

    英国人ジュリアン・コープ氏が、自身の魅了された日本のアンダーグラウンドロックシーンについて語っているのだが、学術的偏執的研究っぷりと並行し、すさまじい妄想が入り込んでいるという奇書!
    彼の中では 「井上順は混血のシンガー」 であり 「『男はつらいよ』は永島慎二の漫画『フーテン』の映画化」 なのだ。きわめつけは 「宮下文夫の名は『1941年中国侵攻を率いた将軍の名前からつけられた』」 ――誰のことかさっぱりわからない、なんともトランシーな展開!

    この本がじつに素晴らしいのは、やたらとその仕事っぷりを強調して描かれている――にもかかわらず、その都度、「しつこいようだがそのような事実はない」と注釈をいれまくられている人物――折田育造氏へのインタビューが巻末におさめられているということだ(インタビュアーはサエキけんぞう氏と仲村俊夫氏)

    『日本の評論家が例えばレッド・ツェッペリンについて書いたのを、向こうの人が読んだら同じことを思うんですかね』
    『ただ間違った情報を書かれてもねえ』
    『いや、昔はわれわれも間違った情報をたくさん信じていたのかもしれないですね』

    確かにじつに奇妙な本であるのは間違いないが、ここに収められた熱量はホンモノ。「SATORI」「LOVE WILL MAKE A BETTER YOU」「タージ・マハル旅団」「五つの赤い風船」あたりは聞いてみたいものだ――というか、昔、(たしか)シンコーミュージックから出てた、この辺のアルバムの紹介も含まれてた名盤ディスクガイドを紛失したのが悔やまれる……

    【追記】
    著者曰く「外道のサウンドこそ、わたしが自分なりにイメージしていた村八分のサウンドだった。ああそれが現実だったら!」にはすさまじく同意。それは当時ボクも思った。しかし、後に知ることになるのが、巻末の近田春夫さんの発言「『村八分ライブ』が録音がちょっと良くないので、その当時のスゴさが伝わってないと思うね」――

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