ザベリオ

著者 :
  • 青磁社
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  • Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861984341

作品紹介・あらすじ

角川短歌賞を始め、現代歌人協会賞、若山牧水賞など数々の賞を受賞してきた作者の第六歌集。常に時代を見つめて詠いつづけてきた大口が、今回も様々な時代状況を旺盛に歌う。
第12回小野市詩歌文学賞。

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  • 神の正義、人の正義のそれぞれのむらさき深く紫陽花咲けり
     大口玲子

     2017年7月。宮崎に住む作者は、安保法制違憲宮崎訴訟の原告の1人として、意見陳述を行った。宮崎で子育てをしている母親の代表として、声を上げたのだ。
    短歌連作「201号法廷」は、掲出歌から始まる。紫陽花【あじさい】のむらさき色が、穏やかだが、切実な母親の声を届けようとしていたのだ。

     1969年、東京生まれ。結婚後は仙台市に住んでいたが、東日本大震災を機に宮崎市へ移住。当時幼かった息子も、宮崎で小学生となった。

     意見陳述書の全文は、「安保法制違憲訴訟みやざきの会」ホームページで公開されているが、「誰の子どもも殺させない」という母親たちの思いが率直に語られている。

      陳述書緻密に修正してくれしこの人もまた母親である

    傍聴席はほぼ満席。原告代理人の女性弁護士が、そっと緊張をほぐしてくれたようだ。

      戦争孤児の話をしんと聞くときの息子するどく耳を立てつつ

     どの国の辞書からも「戦争孤児」という言葉がなくなること。シンプルな願いだが、シンプルゆえに、何と難しいことか―

     近刊の第6歌集は、これらの歌はじめ、禁教時代の潜伏キリシタンに関する連作など、読み応えがある。そして、今どきの子どもらしい発言を扱う歌にも和まされる。

      You Tuberになりたいと言ふわが息子「だから結婚しない」とも言ふ

    (2019年7月7日掲載)

  • 第六歌集「ザベリオ」は「フランシスコ・ザビエル」のイタリア語。信綱の鰐の歌はわかるのに...キリスト教まで加わるとますますわからない。

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著者プロフィール

1969年東京都大田区生まれ。歌誌「心の花」所属。早稲田大学第一文学部日本文学科卒業。中国長春市、東京や仙台市や福島市で日本語教師をつとめる。1998年、「ナショナリズムの夕立」で第44回角川短歌賞受賞。宮城県仙台市、石巻市を経て、現在は宮崎県宮崎市在住。歌集に『海量』(雁書館 1998)、『東北』(雁書館 2002)、『ひたかみ』(雁書館 2005)、『トリサンナイタ』(角川書店 2012)、『桜の木にのぼる人』(短歌研究社 2015)、『ザベリオ』(青磁社 2019)、歌文集に『セレクション歌人5 大口玲子集』(邑書林 2008)、『神のパズル』(すいれん舎 2016)がある。

「2020年 『自由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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