千夜曵獏 千種創一歌集

  • 青磁社 (2020年5月10日発売)
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本 ・本 (246ページ) / ISBN・EAN: 9784861984648

作品紹介・あらすじ

4刷と版を重ね、大きな反響を巻き起こした『砂丘律』から4年、30代に差し掛かった千種創一が次なるストーリーを拓く。あくまで短歌定型にこだわりながらも、その範を自在に超え、闊達に韻文律を操る。言われなければ、屹立した詩が短歌だと気付く人は少ないかも知れない。しばらくの沈黙を破った千種創一の、二篇の詩を含む新たな一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな歌人、下手すればキザな感じがしてしまう比喩や言葉も、結局一本の歌や連作で見た時のカッコ良さ、切なさに圧倒された

    .

    黒に染めたあなたの揺れる髪の毛の、鯨はかつて陸を歩いて

    .

    〜"の"とやわらかい印象で上の句を終える歌が多い、揺れる髪の毛の、"今、この瞬間"が、スローモーションで切り取られる。すると下の句でイメージは一気に太古の時代へ。黒に染まったあなたの髪の毛はかつて明るい色だったのかも、それに僕は慣れていたけど、でも今目の前の髪は(鯨のように?)黒く(かつての陸を歩いていた鯨はどんなかんじだったんだろう?茶色い感じ?)かつての髪色だったあなたとの日々はもう大昔のように感じられる?そんな"今"と"過去"との対比

  • 4刷と版を重ね、大きな反響を巻き起こした『砂丘律』から4年、30代に差し掛かった千種創一が次なるストーリーを拓く。あくまで短歌定型にこだわりながらも、その範を自在に超え、闊達に韻文律を操る。言われなければ、屹立した詩が短歌だと気付く人は少ないかも知れない。しばらくの沈黙を破った千種創一の、二篇の詩を含む新たな一冊。
    『砂丘律』を読んで衝撃を受けたんですけど、やっぱりこの人の紡ぐ言葉がめちゃくちゃ好きだ。鮮やかに目の奥に情景が浮かぶというか、心地のよさがすごい。中東に住んでいるという著者の謎に包まれた感じもなんかいい(笑)表紙もこだわりが見えて素敵だけど、筆者が願っているようにこれからボロボロになるまで読み込みたい。

  • 千種さんとは「砂丘律」で出会った。「砂丘律」の感想書いてないや。千種さんの歌は日常の忘れてしまいそうな一瞬を切り取って遠いメタファーと結びつけて、その距離で永遠を感じてしまうような歌が多い気がする。その切なさが好き。

    連歌という手法をこの歌集で初めて知った。小早川秀秋の関ケ原での心境を歌った「金吾中納言」と、ユダの心境を歌った「ユダのための福音書」。小説とはまた違った切実さがある。書いていて気付いたけど、この2人どちらも後戻りできなかった人たちだな。そういう一瞬一瞬への感度が高い状況と短歌の相性がいいんだろう。

    宝石の国の一節が引用されているページがあるんだけど、その一節は私にとっても大事な一節だったのでここに印字されていることに感動した。

  • 雨へんの難読漢字が多い。

  • 武蔵野大学図書館OPACへ⇒https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000273268

  • 2022-08-17 再読。
    イスラム圏に住みながら輪廻転生の話をする違和感じが好きだ。その土地の神に馴染みきれていない寂しさや、どこか突き放した、あるいは突き放された、土地と薄皮一枚の距離のある感じを勝手に受けている

  • 表紙も中身も紙からして良い

  • お勧めされた本
    砂丘律を読みたかったけど、本屋さんになかったので第二歌集を
    たぶん砂丘律の方が千種さんをもっと理解できるだろうと思うので、砂丘律読みたい
    ちょっと短歌にムラがあるように感じた
    ただ単に好きだなと思う短歌にムラがあるだけなのかもしれないけど
    31文字なのに繰り返す言葉とか、字足らず、字余りに短歌の枠に挑戦しているようだった
    情感の捉え方とか比喩はすごく勉強になる
    私が作る短歌はあまりにも直線的だから
    もっとしなやかさ、柔さで表現できるようになりたい

  • はじめて個人の短歌集を読んだ
    言葉が短いから、現代文の読解みたいに「どうしてこの形容詞を使うんだろう」「どうしてこんな風に表現するんだろう」の答えが後ろになくて、
    ずるいな。っておもった。

  • 人を想うときの表現が独特。たとえば下に引用する2首。

    あなたがたまに借りて返しに来るための白い図書館になりたい

    僕らより長生きをする亀を飼おう。僕らのいない庭を歩くよ

    具体的なプレゼントや、二人の関係に直接的に影響をもたらすような何か ではない、白い図書館、僕らより長生きをする亀。そのリアリティのなさが非常にロマンチックで読み味がいいです。

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著者プロフィール

1988年名古屋生まれ。2015年、『砂丘律』。2016年、日本歌人クラブ新人賞、日本一行詩大賞新人賞。2020年、『千夜曳獏』。2021年、現代詩「ユリイカの新人」に選出。2022年、『イギ』、ちくま文庫版『砂丘律』。

「2023年 『現代短歌パスポート1 シュガーしらしら号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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