醤(ひしお)の料理 -麹の天才調味料をつくる、つかう-

著者 :
  • アールズ出版
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レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (143ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862042378

作品紹介・あらすじ

醤は、醤麹(または大豆麹と麦麹)としょうゆ、水、昆布を混ぜて発酵させた調味料です。醤麹は、蒸した大豆と炒った麦を混ぜ合わせ、麹菌を振りかけて繁殖させたもの。麹菌は発酵の過程でプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)やアミラーゼ(でんぷん分解酵素)などの酵素を作り出しますが、醤麹に含まれる大豆のタンパク質がアミノ酸に、麦と大豆のでんぷんはブドウ糖に分解されている醤には、うまみと甘みがたっぷりなのです。
しかも、グルタミン酸の量が世界でもトップクラスといわれるしょうゆに、大豆と昆布が加わるため、グルタミン酸の量は半端ではありません! 人工的なアミノ酸が豊富なうまみ(化学)調味料と違い、自然なおいしさが味わえます。つまり、醤=天然のうまみ調味料なのです。
醤麹を作る麹菌は、100以上の酵素を含んでいます。加熱せずに生のまま食べれば、体の中に酵素をたっぷりとり入れることができます。ということは、体内の潜在酵素を節約することも可能です。
醤に使う醤麹はたんぱく質豊富な大豆に麹菌を繁殖させているため、飲む点滴ともいわれる米麹から作られる甘酒よりも、醤に含まれるアミノ酸の量がはるかに多い! また、醤を熟成させるときに起こるメイラード反応(タンパク質やアミノ酸による化学反応)によって生まれる成分・メラノイジンには抗酸化作用もあります。さらには、美白効果のあるコウジ酸、「代謝ビタミン」といわれるビタミンB群も豊富(なんと吸収率は90%以上!)。
毎日、醤をティースプーン1杯なめるだけでも、体の中からきれいになれるというわけです。
醤の使い方や食べ方、料理例は、p.24~で詳しく紹介していますが、一言で簡単に説明するなら、「しょうゆと同様に」と言い換えることができます。いつもしょうゆを使うところを醤に変えてみる。まずは、そこから始めてみましょう。
醤のいいところは、何といってもグルタミン酸の量がしょうゆよりも多いこと! しょうゆよりも塩分が少ないので、気になる方にはおすすめです。さらに、とろみがあるのでディップのようにも使え、みそよりもゆるいので調味料としても使い勝手がいいのが特長。しょっぱさが気になる場合は、甘酒をプラスすると味のバランスがよくなります。
 醤を作ったら、まず試してほしいのが漬け床として使う方法。大豆と大麦に麹菌を繁殖させて作る醤は、分解力も強力だからです。何度もいいますがグルタミン酸の量がとてつもなく多いので、どんな食品を漬けてもおいしい。たとえば、甘酒には甘みはあるけれどうまみはないので、イノシン酸を多く含むまぐろや牛肉を漬けるとその味に負けてしまうのです(昆布などを加えておいしくする方法はありますが)。でも、醤は圧倒的なグルタミン酸量なので、どんなイノシン酸にも勝つ! だから、漬けておいしくない食品がないのです。しかも、塩よりも浸透圧が高いしょうゆを原料に使っているので、塩麹や甘酒よりも漬かりが速い。これは、いろいろな食品を何度も漬けた僕の実感です。
 醤のもうひとつの魅力は、簡単に作れること。醤は醤麹という麹(または大豆麹と麦麹)さえ手に入れれば、そこに、しょうゆと水、昆布を混ぜるだけ。常温におき、1日に1~3回混ぜれば1週間ほどで調味料&漬け床として使えます。みそのように、雑菌の繁殖が少ない、寒い時期に作る寒仕込みのほうがおいしい、などの制約もありません。ただし、毎日混ぜないと腐敗しやすいので、こまめに面倒をみてあげましょう。
醤を半分くらい使用したら、最初に作ったときの材料を同じ割合で混ぜればOK。そうして継ぎ足していけば、ずっと使うことができます。いわば、うなぎ屋の“ツメ”のようなもの。うまみ成分のグルタミン酸が蓄積されていくわけですから、継ぎ足しするほどにおいしさもアップ。年々、おいしくなった醤を将来、子どもに“嫁入り道具”としてもたせる、これほど素晴らしい贈り物はないでしょう!

感想・レビュー・書評

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  • うちの醤の使い道の幅がこれで広がる。

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プロフィール

醸造料理人であり、日本の発酵食文化伝承人。現在の『発酵食』『麹』人気の立役者の一人で、その日本伝統食の魅力を説くため、東京の学芸大学で主催する〔醸kamose〕を拠点に、日本各地で発酵教室を開催。その他、ラジオ、テレビなど、活動の場を広げている。著書に『麹で甘酒料理帖』(アールズ出版)など。

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