直江兼続

制作 : 矢田 俊文 
  • 高志書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862150530

作品紹介・あらすじ

上杉謙信の養子上杉景勝とその近臣直江兼続が生きた時代を、時間の流れに従って記述。織田信長と戦い、豊臣政権下で五大老として政権中枢となり、最後は徳川家康と対立した上杉景勝と直江兼続の全生涯を時間とともに理解できるようになっている。また景勝と兼続は、越後・会津・米沢へと本拠地を移したので、時間の流れとともにそれぞれの地域の歴史像を追うこともできる。さらに、時間の流れに従いつつも、直江兼続を理解するためにははずせない重要なことがらについては、別に項目を立てて検討している。

感想・レビュー・書評

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  • 大河ドラマでは描けない歴史の真相。
    主君上杉景勝、直江家出身の妻おせん。上杉氏の歴史像を
    ぬり変える、初の書。
    ・上杉謙信・景勝と直江家
    ・直江兼続と一族・家中
    ・直江兼続と関ヶ原合戦
    ・兼続と「直江状」
    ・江戸幕府と直江兼続
    ・米沢城と城下町
    ・「文鑑」と「軍法」
    ・直江後室おせんと米沢藩

    複数の論者による著書である。
    改めて、直江兼続の出頭ぶりがわかる。家中第一の禄高といい執政として辣腕を振るったことといい、景勝の信任無しには考えられない。直江兼続というとイメージで語られることが多いと思われるが、本書は着実な研究の成果により実像が窺える。
    編書ということもありまとまりには欠けるが上杉家を知るうえ
    で欠かせない1冊と言えよう。

  • 専門の歴史研究家が、資料を紐解き、纏めた論文集の体裁で学術書に属するものです。昨年出版されているものの、あまたある粗製乱造の大河ドラマ便乗本とは一線を画し、歴史の真実を真摯に追究しています。そのため、歯応えというか、読み応えがあり、読了まで時間が掛かりました。それに、難解な言葉もあり。読み返さないと理解できていないところも結構あります。
    研究家が時間と体力をかけ、調査を積み重ねても、未だ明らかになっていない歴史の真実が残されていることが、新鮮に感じました。あの有名な直江状にしても、写しが複数存在しているのみで、原本が残っておらず、存在そのものを否定する説まであります(筆者がその説を採っている訳ではありませんが)。もし、直江状が存在していなかったら、今まで信じてきた歴史認識が大きく変わってしまいます。この件、この時代にに限らず、歴史が覆るような新たな事実が今後の研究によって見つかるかもしれないと思うと歴史の奥深さを感じます。
    本書を読み、クリアになり、納得したこともあります。
    1.兼続が武将としてのみならず、為政者や文人としても優れた人物であったこと。戦国武将は戦の勝敗で評価されがちですが、為政者としての領国経営が後世に残されるものかもしれません。
    2.上杉家の降伏は、上杉家にとって重大事ですが、徳川幕府の基盤を固める意味での方が大きかったこと。
    3.兼続の死後、直江家が断絶するわけですが、それは後室おせんは上杉家の一族として遇されており、直江家を存続させる必要がなかったこと。

    上杉家が滅びようとも戦い続ける義、家康に屈服しても家や国を守る義、どちらも義には違いありません。国を治めるものとしての兼続、そして景勝の決断の重さは計りしることができません。その決断に至る心象に思い巡らせることが、後世に生きるわれわれの特権なのかもしれません。

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