- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862151360
作品紹介・あらすじ
日本史や戦国時代は好きだけど、史料をどう読んでいいのかわからない。そんな悩みをかかえる人たちのために、斯界の切れ者二人が史料読みのテクニックをさらけだす真剣勝負の対談集。東北の戦国大名伊達家を悩ます犯罪やトラブルの数々がリアルタイムに記された戦国法「塵芥集」(じんかいしゅう)を片手に、戦国乱世の現実を実感しながら、史料読みのおもしろさとだいご味も同時に体感できる、臨場感たっぷりの新手の歴史入門書。
感想・レビュー・書評
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伊達稙宗の『塵芥集』はなんか難しそう(実際難しいのだけれど)だったけれど、この本ではすっきり分かりやすく整理されている。(とはいえ一度読んだくらいではさっぱり分からないですが)
売買契約の「年季売り」と「永代売り」「本銭返し」などのしくみは、ずっと混乱していたのでこの本のおかげで整理できて良かった。
あとは下人の「身売り」。対談では佐竹昭広氏の『下克上の文学』(1967,筑摩書房、ちくま学芸文庫で1993年にも出ているらしい)で主人から殺されそうになった下人は「新開」(土地の開墾)をこっそりしていたのが理由という分析ということが紹介されていた。直接見ていないのでそちらも読んでみたいと思う。
他にも末尾には解説された条文の一覧や、系図などもある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
素人には難解だったが、一語一語に拘って資料を解釈していく過程はスリリング。中世史には文学的センスが必須なのだなぁと、実感させてくれる。フィールドワークの必要性について、考え方が色々ある点も興味深かった。
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名当主の肉声に耳をかたむけて
乱世の現実をリアルに実感。史料読みの楽しさを体感!
(2014年刊)
・序 戦国法の魅力
・Ⅰ 犯罪者をつかまえろ
・Ⅱ 売買トラブルはゆるさない
・Ⅲ 立法の情報ソースをさぐる
・Ⅳ 戦国大名の夢のあと
本書は、読者に史料読みの楽しさを伝えるため、二人の研究者が伊達氏の塵芥集を題材に対談した本である。話の内容に結論が無いという意味では中途半端な気もするが、経過をみせるという著者の意図は伝わった。内容が難しく斜め読みだが、中世社会の雰囲気がかいまみえたのが良かった。
塵芥集は分国法の代表的なものとしてあげられるが、その実態はよくわからないらしい。1536年に制定されているが、1542年には天文の乱が発生しており、どの様に運用されたのか実態がわからないのだという。また、長らく忘れられており、仙台藩主 伊達綱村により発見されたものだというのは意外であった。欲を言えば171条すべて条文を載せれば良かったと思う。