「うたかたの恋」の真実―ハプスブルク皇太子心中事件

著者 :
  • 青灯社
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862280039

感想・レビュー・書評

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  • 有名過ぎる話で、今更だけど改めて読んだ。
    当時のオーストリア王室の状況もわからなくもないが、ルドルフ皇太子がかわいそう過ぎる。亡くなった時の王室の対応も酷過ぎる。
    フランツ・ヨーゼフとの確執もこれほどだったのか?とも思う。
    栄華を誇ったハプスブルクの最期。

  • 1888年4月、マリーとルドルフは劇場で偶然に出会い、激しい恋に落ちた。ラリッシュ夫人の協力もあって、二人は逢瀬を重ねる。しかし、周囲の圧力から二人は別れざるを得ず、さらにルドルフは陸軍大臣フリードリヒ公爵の陰謀に巻き込まれて追いつめられていた。1889年1月26日、ドイツ大使館でのパーティで、死を決意したルドルフはマリーに「来週の月曜日、旅に出よう」と告げる。そして1月29日に雪の降るマイヤーリングの別荘で二人は死を遂げた。
    (Wikipedia/「うたかたの恋」より)

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    本当は参照した「うたかたの恋」が読みたかった...
    でも現在は邦訳で読めるものがほとんどないそうですね(´・ω・`)

    「最後の皇女エリザベート」の父親であり、「シシー」の愛称で有名なエリーザベト皇后の長男、ルドルフ。

    この方はなんと、17歳くらいの少女と、青年期の終わりに心中し、ハプスブルグ帝国の終わりをあからさまに見せつけた人...

    ただ、「うたかたの恋」ではそれが悲恋として描かれていたのが、必ずしもそうじゃないよ!政治的な意味合いが多く含まれているよ!と指摘したのがこの本。みたい(ノ´∀`*)

    心中、と言う形を取ることで世間の同情を買い、
    また自らを殺して見せることで相性の悪かった
    父皇帝への反逆性を露わにしてみせる...

    そしてハプスブルグ帝国、君主制の終わりさえも
    その死は告げているようだ...

    当時の風俗や、複雑に絡み合い世界大戦へともつれこんでいく、
    そんな歴史までも網羅できる、歴史好き、王室好きにはたまらない一冊ではないでしょうか!

    にしてもね~、やっぱり普通に考えて残された妻子がかわいそうだよね。
    ここから母親のシシーもさらにおかしくなってしまったみたいだし、
    心中相手のマリーさんの家族も相当ひどい目に遭ったみたいだしヽ(´Д`ヽ)

    それにしても、この時代はまだ「心中」と言うものが幅を利かせていたのね。

    死ななくても王冠を返還したエドワード8世のように、
    恋を貫き通す生き方だってあるにはあるんだから
    (それだって茨の道以上の苦痛だろうけど)
    やっぱり何も死ななくても...ってちょっと思っちゃうなぁ...

    同じ心中事件として有名な、愛新覚羅慧生の天城山心中事件にしても、同じように、女性が男性の強い自殺願望に引きずられているような気がしてならない。

    優しく同情心の強い女性だからこそ、
    男性の破滅願望に共感してしまい、
    恋ではなく共に死を選んでしまったような...

    だからこそ、このマイヤーリングの事件も
    悲劇的と言うよりは多分に政治的、恣意的な
    イメージがどうしても拭えない。

    とは言え、ルドルフは先見の明もあったんだろう。
    君主制の終わりを見ていたのかも知れない。

    マリー・アントワネットやマリア・テレジアを生んだ
    強大なハプスブルグ帝国は、このあと歴史上では
    もう、崩れ落ちるようにあとかたもなくなっていくし...

    ま、でも、悲恋としておいた方がいろいろウケがいいの...かな?
    ヘプバーンの映画もあるようだし、そう言うことにしておこうヽ(´▽`)ノ

  • ハプスブルク家のルドルフとマリー・ヴェツェラの愛を描いた舞台「ルドルフ・ザ・ラスト・キス」の観劇がきっかけで読みました。脚本と真実は程遠く、「読まなきゃよかった」と後悔した時もありましたが、脚本は脚本、真実は真実。読んで(真実を知って)よかったです。

著者プロフィール

桜美林大学名誉教授、元共同通信社ジュネーブ支局長
著書:『黙殺』『ケネディはなぜ暗殺されたか』(NHKブックス)訳書『マクナマラ回顧録』(共同通信社)『ゲバラ日記』(みすず書房)

「2006年 『「うたかたの恋」の真実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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