魂の脱植民地化とは何か (叢書 魂の脱植民地化 1)

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  • 青灯社
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感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862280602

作品紹介・あらすじ

●叢書の第1弾。「魂の植民地化」とは、自由なはずの魂の活動が、人間社会によって呪縛され、本来の自分を発揮できない状態のこと。
国家による植民地化だけでなく、親や学校、共同体、社会の空気・思想などが個人の魂を呪縛し植民地化する。
●その働きをを解明し、偽装した自分によって、本来の情動や感情がいかにおさえられているか、明らかにする。
著者のゼミの学生たちが、この理論を応用して、性的マイノリティや「よい子」の呪縛から解放されていくプロセスも紹介。
●原発のフクシマでは、子供を連れた県外脱出者を追いつめている共同体の呪縛を考える。
●宮崎駿監督の『ハウルの動く城』を脱植民地化論で鮮やかに読み解く。
●従来の客観主義ではなく、自らの魂の生きる社会、それを見据える新しい学問を提案する。

感想・レビュー・書評

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  • 以下引用

    情動と感情の奔流を無理矢理に堰き止めて学者にフリをしようとしてきた

    社会に暴力性蔓延させるための本質的な契機は自己嫌悪

    ハラスメントとは、自らは学習のプロセスを停止させた状態で、他者の学習機能を利用して、相手の反応経路を撹乱し、それによって他人を支配するプロセス


    異文化社会に解放求める試みは一時的なもの、今一度母社会に生きる

    他者理解とはまさに、研究対象への探求を通じて、呪縛を明らかにする行為


    うつはm偽りの人格を演じ、それによって魂を封殺していることによるエネルギーの低下


    その環境によって偽りの人格を生き、本来の自分を見失ってしまっていることを自覚し

    ✳︎★外界の矛盾と葛藤というのは、実は自己の中に形成された厚い蓋による魂の分断によるもの
    →今の自分も何か抑圧がある。個性化を阻むもの。

    魂まっすぐにしてつきあえる関係以外は苦痛となり、自然と人間関係の総入れ替えが起こった

    われわれの正常な適応のよい状態があまりにもしばしば恍惚の放棄、われわれの真の可能性へ裏切りでありすぎる

    自分自身を捕らえていた息苦しさから逃れるようにして研究の世界にのめるこんでいった

    学問という知的営為を行う中で、自らの囚われに気づき、そこから脱するプロセスをも言語化し、それによって新たな知を獲得する

    共同体にしたがえば、身を守ってもらえるというのは、実は自らの決定を放棄して他者に委ねるもの

    共同体を離脱したり、共同体共通認識に反することは社会性を失うことを意味し、多大な犠牲と勇気を要するため、たとえいにはんして従わなくてはならないという呪縛


    人間が生きるための本来の作動に蓋をして、自らの本性や欲求を抑え込むことによって全体の秩序を維持する

  • 私の場合、魂の植民地状態から抜け出すのに、
    それを、なんとなく自覚してから、20年ほどの時間を要しました。今は、精神の充足と言いましょうか、自分に自信を持って生きられています。

    この本を購入したきっかけは、
    少し変わっていて、「どうして、魂の植民地から抜け出せたか」という問いにヒントを与えてくれる
    モノを探している時に、この本に出会いました。

    出合ったと言っても、必然的だと思います。
    かれこれ20年ほど読書を続けていますが
    突然この著作が見つかったわけではなく、
    私の場合、森嶋通夫→安冨歩氏→深尾葉子氏の著作に出合いました。また森嶋通夫氏の著作に辿りついた理由も、自分のその時の問題意識と、
    氏のそれが、共鳴したからだと思います。  
    読書の意義は、どこまでいっても、著者との、
    問題意識の共鳴です。 

    この著作は、もちろん、魂の植民地状態がどういうものかを理解する上では、非常に良いと思います。こんな学問をよく考え着いたものだと思うと同時に、これこそが今日本で求められている「実学」なのだと思います。しかし、この著作では、どうやったら、植民地状態を抜け出せるかについては、あまり例が示されていません。

    それは、当たり前だと思います。この著作で述べられている脱出例は、私が感じる所では、一時的なものです。あくまでも対処療法です。根本治療の記述には、成功してません。その理由は、魂の植民地状態を抜け出す行動は、その人しかわからないからです。

    お医者さんに、自分を健康にしてほしいと言っているようなものです。それは野暮な要求です。健康なんて、明確に定義はできないからです。あくまでもお医者さんは、あなたを分析し、異常が認められることに関して、処方するだけです。健康を求めたいのなら、自分が自分達で健康とは、どういう状態なのかを考えなければいけません。そにて問題意識を自分自身にしなければいけません。

    私の場合は、20年以上前に、今の言葉でいう生きづらさを感じ、もがき苦しんできました。魂の植民地状態から抜け出す根本的な行動は、実は、私自身もよくわかっていません。この本を読んでも、たぶんそうなのかなという程度でした。〇〇すれば、〇〇になる。こういう論理で、問題解決は、できないことは、確かだと思います。

    魂の植民地状態から抜け出す50の方法という本があったら、参考程度にしたほうが良いかもしれません。ただ、20年の過程で、自分を知ることの重要性、自分を労り愛する習慣というのは、植民地状態から抜け出す上で非常に大事な考えなのではないかと思っています。

    私は長い間外国にいた経験があり、
    東京には年に一回ぐらい帰ってくる生活をしていたので、日本の変化というのを、一年ごとに見ています。その変化を一言で言えば、「ヤバい」に尽きます。歩く人は、いつもイライラし、朝の電車の中は、お通夜みたいな感じで、ゾンビが沢山いる感じです。人の優しさや温かさを感じることはできず、多くの日本人は、発狂寸前のような状態に見えます。私の日本にいる外国の友人は、みな言います、日本人は、どうしてこれほど不幸に見えるかと。

    20年前と比べて、日本は衰退しているというか、日本人自身が狂ってきています。それを知るには、街を歩けばすぐにわかりますし、テレビを見れば、
    おぞましいニュースに溢れています。日本は治安もよく、住みやすいと言われていた昔からすると、
    もちろん今も治安はいいですが、日本人の今の心の状況は、戦場にいるかのような感じなのでしょう、
    すでにボロボロだと思います。そのしわ寄せは、弱者、特に子供に及んでいます。

    日本の青少年と先進諸国の青少年を比べる調査結果を見ると愕然とします。自信がない、希望がない、不安だけがあるという青少年は、世界平均を遥かに超えています。

    子供達は、わかっているんだと思います、
    自分達の周囲にいる大人がいかに不幸かを。
    毎日、イライラし、他人を傷つけないと、
    生きていけないと、他人と比較し、ちょっとでも、
    自分が劣っていたら、落胆し、常に上にいたい。
    子供には、良い教育をと、自分は、全く学習をせずに、子供に無意味なことを押し付ける。
    せめて子供には、良い大学、良い会社に入ってもらいたいという、もう崩壊しているレールに子供を、
    無理矢理乗っける。

    日本の教育は、本来の教育とはかけ離れています。
    これが日本人の魂の植民地状態の基本要素であることは間違いありません。ただ、この要素は、あまりに強固に出来上がっているので、外から崩れることはありません。ただ、安心して下さい。内部は、もう崩壊しています。ただ、大人が崩壊していないと言っているだけです。その大人とは、魂の植民地状態にある自分達です。

  • いや~、かなり興味深く面白く読んだ。
    先の「タガメ女」と「カエル男」の新書は、ちょっとセンセーショナルな呼び込みという感じか。
    たしかに、この2冊を読んでいるほうが、こちらの硬めにあまり抵抗がなくなるような気もする。
    そして、同じモヤモヤ(蓋)は私も人生MAXに落ち込んだときに取れ、いろいろ腑に落ちたことがあったが、あぁ…こういうだったんだなと言語化のすっきり感を味わう。
    奥付を見て、同じ世代と知る。(しかも同じ大阪北摂育ち!)
    やはり、同世代が抱える「悶々」は似てくるのか…?と思った。
    しかし「ハウルの動く城」が、私としては著者が感じるほどリンクしているとも感じずに観ていたが、こう論じられると「なるほどなぁ」と思わなくもなく?だが…、何だろうな?、うまく表現できないが…?
    このひっかかりは、どこかで出てくるといいな。

  • 展示期間終了後の配架場所は、開架図書(3階) 請求記号 361.5//F72

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著者プロフィール

大阪大学大学院言語文化研究科准教授。1963年大阪府生まれ。1985年大阪外国語大学卒業。1987年大阪市立大学大学院東洋史専攻修了後、大阪外国語大学助手、講師、准教授。2007年より大阪大学大学院経済学研究科准教授を経て2018年より現職。経営学博士。
専門は中国の社会生態学的分析、中国内陸農村部における環境問題、里山経済のマネジメント等。
単著に『魂の脱植民地化とは何か』青灯社(2012)、共編著に『現代中国の底流』行路社(1990)、『黄土高原の村』古今書院(2000)、『満州の成立』名古屋大学出版会(2009)、『黄土高原・緑を紡ぎだす人々』風響社(2010)、『香港バリケード』明石書店(2015)等がある。

「2018年 『黄砂の越境マネジメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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