邪悪なものの鎮め方 (木星叢書)

著者 :
  • バジリコ
3.86
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本棚登録 : 792
レビュー : 100
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862381606

作品紹介・あらすじ

「邪悪なもの」と遭遇したとき、人間はどうふるまうべきか?「どうしていいかわからないけれど、何かしないとたいへんなことになる」極限的な状況で、適切に対処できる知見とはどのようなものか?この喫緊の課題に、ウチダ先生がきっぱりお答えいたします。村上春樹『1Q84』の物語構造、コピーキャット型犯罪が内包する恐るべき罠、ミラーニューロンと幽体離脱、被害者の呪いがもたらす災厄、霊的体験とのつきあい方から、草食系男子の問題にいたるまで、「本当ですか!?」と叫びたくなる驚愕の読書体験の連続。不透明な時代を生き延びるための「裏テキスト」。

感想・レビュー・書評

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  • 内田先生の著書を読むと、自分自身のひっかかりが、あぁここにあったんだなと気づく事が多々ある。とても上手に言語化して下さっている。

    こだわる=居着く
    自分の採用した説明に居着いてしまうと自力で現況を改善するのが難しくなる
    被害者意識をもつ=弱モノである自分に居着く
    これは自分自身にかけた呪いである

    被害者意識を持つ事に関して、非常に嫌悪感があった。
    (人がというより、自分自身に対して。)
    それはこういうことだったんだなーとそとんと腑に落ちた。
    責任の矛先を自分に向けることはとても勇気がいるししんどい。
    でも、ヨワモノである自分に居着いてしまった時点で、そこから抜け出せなくなる。
    抜け出すにはヨワモノである自分に居着いた自分を一度否定しなければいけない。ただでさえ勇気がなくてしんどいから逃げてしまった道なのに。
    自分にとって居心地の良い説明につい居着いてしまいたくなる。でも、自分自身に呪いをかけないように自分で自分を奮い立たさなくては。それができるのは自分しかいない。

    記号的殺人の呪いに関して
    あぁだから村上春樹はアンダーグラウンドで被害者の方々をインタビューしていくことで、「喪の儀礼」を行うことが必要だと感じたのかもしれない。

    バジリコ株式会社
    2010年

  • 「自分が所有したいのだけれど所有できていないもの」を数え上げるのを止めて、「自分がすでに豊かに所有しているので、他者に分かち与えることのできるもの」をチェックする仕事に切り替えるということの方が、心身の健康にはずっとよいことであり、すぐれた「危機対応」である。

    非現実の幻想を現実だと思いなす、かなり身勝手な人間の場合しか「妥協」ということは起こらない。可動域の制約は「織り込み済み」の与件として、それを「勘定に入れた」上で、自分に何ができるかを考えていく。

    まさに、「どうふるまってよいのかわからない場面で適切にふるまうことができる」ための発想の転換を促す要素が散りばめられています。

  • ずっと気になってた人の本なので読んでみました。
    だってタイトルからして気になる。

    ひとつひとつが短いエッセイなので読み易いんだけど、
    ひとつひとつ読んだあとに考え込んでしまう。
    今起こる事件やいろいろのムードについて、
    なんかすごく客観的に、雰囲気を掴んでるというか。
    言葉でその雰囲気をちゃんと説明してくれてるのか。
    あ、なんかよくわかんない感想になってるな。

    タイトルにもある「邪悪なもの」の定義がなるほど、って思いました。
    本によると、「どうしていいかわからないけれど、何かしないとたいへんなことになるような状況」ということです。
    これってさ、なんか結構よくあることじゃない?
    それに対する知恵というか、
    考え方を提示してくれるように思いました。

    あと印象的だったのは、「父」と「子ども」に対する考察。
    優れた物語は「私にだけわかるように書かれている」と、
    読者ひとりひとりに思わせるという話。
    あと犯罪の「歌枕」な構造。日本的な呪いの話。
    「内向き」でいいじゃない!ていう話。
    あと草食男子についてとか家族の儀礼についてとか。

    と、どんどん挙げられるので、
    ちょっと読み返してみようと思います。
    そしたらまた気になるところは変わっている気がする。

    去年出た本ですけど、今読むととても面白いと思う。
    多分去年読んでても面白かったと思う。
    とにかく、「今」読む本なんだろうなぁ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「なんか結構よくあることじゃない?」
      そう思います。こう言う捉え方が上手いですよね!

      「とにかく、「今」読む本なんだろうなぁ。 」
      内田セ...
      「なんか結構よくあることじゃない?」
      そう思います。こう言う捉え方が上手いですよね!

      「とにかく、「今」読む本なんだろうなぁ。 」
      内田センセの本は、今動いているコトと本質的なコトが、程よくミックスされているからでしょうか、いつ読んでも新鮮に感じます(私の物覚えが悪いのも一因かも知れませんが)
      2013/03/21
  • タイトルが大げさ!
    でも、読み終わった後、物事を肯定的に捉えられるようになってるから、確かに鎮められたのかもw
    決してオカルト的な本ではありません。
    考え方が非常に身になります。
    内田樹さんのブログを編集した本です。

  • 内田樹さんを私が好きな理由は、理性の外側に人間の強さがあると考えているところです。僕の読書と似たような点がある。読書は、本から意味を取り出すなどということではなく、読書は、読書として意味がある。と、かんがえているんだけれど、そのような根本的な考え方の部分を共有できている気がするのだ。

  • 内田先生の基本的なスタンスがたいへんによくわかる一冊。

  • あれよあれよと読み進んだ。非常におもしろい。このタイトル、必ずしも書かれている内容と合致しているわけではないけれども、内田ワールド独特の内容の曖昧さがにじみ出ていて、逆によかった。読み終わった後に、全体として何を言いたかったのだろう?と一瞬考えるが、恐らく各章で読者それぞれが"思うところ”があれば、しめたもの!なーんて著者は考えてそうである。どの問題提起に関しても、さらりとその知見を述べている。しかし他人へ強制している感もなく、そのマイペースさが心地よい。

  • 大学教授のエッセイ
    人を見る目、大事です

  • 主人公はどうして生き延びることができたのでしょう? 私自身のみつけた答えは「ディセンシー」(礼儀正しさ)と、「身体感度の高さ」と、「オープンマインド」ということでした。

  • 【期待したもの】
    ・内田センセーの「呪い」タイトルは読んでみたかった。

    【ノート】
    ・なかなか自分にとって衝撃的な作品。内田センセーに「こういうことだと思うんだけど、君はどう?」と問い詰められているような感じだ。
    「『呪い』というのは『他人がその権威や財力や威信や信望を失うことを、みずからの喜びとすること』である。さしあたり、自分には利益はない。
     でも、『呪う人』は他人が『不当に占有している利益を失う』ことを自分の得点にカウントする。 (P81)」
     よくぞ自分の中でもやもやしていたものに、ここまで光をあててくれた、という感じもある。やはり、まずは名指すことから始まるんだなあ。

    ・スキナーの「略奪大国」にも通じる。ちょっと道徳の時間っぽい表現になってしまうが、他人の成功を妬み、嫉む心が、個人を蝕む、というものだった。

    ・内田センセーは「呪いの時代」という著書で、いかに、この呪詛空間を祓うかという論を展開しているらしいが、それを読む前に、自分で考えてみよう。名指すことができれば、自分なりの解法を考えることは可能なはずだ。

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著者プロフィール

うちだ・たつる 1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)。道場兼能舞台兼私塾「凱風館」館長。神戸女学院大学名誉教授。翻訳家。専門はフランス現代思想史。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ブログ『内田樹の研究室』。



「2019年 『そのうちなんとかなるだろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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