邪悪なものの鎮め方 (木星叢書)

著者 :
  • バジリコ
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本棚登録 : 861
感想 : 107
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862381606

感想・レビュー・書評

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  • 「自分が所有したいのだけれど所有できていないもの」を数え上げるのを止めて、「自分がすでに豊かに所有しているので、他者に分かち与えることのできるもの」をチェックする仕事に切り替えるということの方が、心身の健康にはずっとよいことであり、すぐれた「危機対応」である。

    非現実の幻想を現実だと思いなす、かなり身勝手な人間の場合しか「妥協」ということは起こらない。可動域の制約は「織り込み済み」の与件として、それを「勘定に入れた」上で、自分に何ができるかを考えていく。

    まさに、「どうふるまってよいのかわからない場面で適切にふるまうことができる」ための発想の転換を促す要素が散りばめられています。

  • タイトルが大げさ!
    でも、読み終わった後、物事を肯定的に捉えられるようになってるから、確かに鎮められたのかもw
    決してオカルト的な本ではありません。
    考え方が非常に身になります。
    内田樹さんのブログを編集した本です。

  • 内田先生の基本的なスタンスがたいへんによくわかる一冊。

  • あれよあれよと読み進んだ。非常におもしろい。このタイトル、必ずしも書かれている内容と合致しているわけではないけれども、内田ワールド独特の内容の曖昧さがにじみ出ていて、逆によかった。読み終わった後に、全体として何を言いたかったのだろう?と一瞬考えるが、恐らく各章で読者それぞれが"思うところ”があれば、しめたもの!なーんて著者は考えてそうである。どの問題提起に関しても、さらりとその知見を述べている。しかし他人へ強制している感もなく、そのマイペースさが心地よい。

  • これまで読んだ中で一番好きな作品。
    私もかくありたいと・・と静かに、気持ちを鎮めながら、素早く読みました。

  • ディセンシー、身体感度の高さ、オープンマインド

  • 2014/2/19

  • お正月、お祓いも兼ねて読了。感想はあり過ぎて言えないけれど、他の作品も是非読みたい。とにかく考えのお祓いになったってことです。

  • 霊感はないけれど、スピリチュアルなものは好きです。
    畏れ、惹かれます。

  • 最初に読んだ内田先生の本。

  • とりあえず、「すべてのことを同じ論理(論法)で説明できない。だからガチガチに考えを固めない」っていうことだけが読みとれればいいと思っている。そしてそれは大事なことだと思う。

  • 推薦理由:
    現代社会における呪いについて語り、裁判員制度の問題点を指摘し、常識とは何かを説き、婚活について述べ、草食系男子を論じる。身の回りの様々な出来事について示される独創的な見解が興味深い。

    内容の紹介、感想など:
    「邪悪なもの」とは何か。それは、出会った時に「どうしていいかわからない」けど「何もしないで手をつかねておけば必ず災厄が起こる」というものであり、そういう状況である。本書は、「邪悪なもの」に出会い、どうしていいかわからない時に、正しい選択をして生き延びるための知恵だと著者が考える事についてのエッセイである。
    第2章の「モラルハザードの構造」では、倫理観の欠如により「狡い事をして自分だけ得をしようとする人」は、「自分のような人間が他には居ない事」を望むのであり、それは「彼自身の消滅を求める呪い」となると戒め、第3章の「人を見る目」では、「人を見る目がある」とは、その人が「これまでにしたこと」に基づいて下される評価の精密さのことではなく、その人が「これからするかもしれない仕事」についての評価の蓋然性のことであると説き、第4章の「内向きで何か問題でも?」では、日本人が内向きなのは、「内向きでも飯が食える」からであり、闇雲に世界標準を目指す必要はないだろうと述べている。このエッセイは、科学的に証明できる事や客観的根拠に基づく事より、観念的、感覚的なものに重きを置いて語られているようだ。「日本は、アメリカに呪いをかけられていると思い込んでいる」という観点で日本の対米外交を論じた文章など、思わず「なるほど、そうだったのか」と納得したくなる面白さだ。「こんな考え方もあるのだ」と驚いたり感心したりしながら内田樹ワールドを楽しんで欲しい。

  • ジャムの瓶のラベルに書かれた文字まで舐めるように読んでしまうという活字中毒の内田先生が師事しているレヴィナス老師が文章を書く前に必ず『ルイ・ボナパルトのブリュメール一八日』(マルクス著)を読んでいたという情報をこの本で得た。どうやら、この『ルイ〜』を読むと、レヴィナス老師は論理的な文章が書けるらしいのだ。論理的な文章がなかなか書けない私としては、それは試してみる価値アリだなと思う。よし、今度読んでみよう。

  • この本は自分で求めたわけではなく、ある人からいただいたものなので、まさに向こうからやってきた本です。
    というような感想を抱かせるような本が本文にもあるようにいい本で、わたしはよい読書体験をしたということなのだと思います。

  • 邪悪なものを鎮めるって仰々しいタイトルだなぁ、まさかお化けでも封印しちゃったりするのかしらん、と思いながらも手に取ったのです。

    でも中身はアレッ、違うぞ、と。
    構造的な問題の指摘だったのねーと楽しませてもらいました。

    特に大変共感を得たのは、「家族に必要なただひとつの条件」でした。
    そうなのよ。永遠の愛ってどこにも存在しないし、そもそも「愛」という見えない形は結局見えないまま。要は信頼関係の上で成り立つものであって、それがなきゃ、愛とは言えない……いや、愛そのもの自体に疑わしいものですが。

    他に「内向き」に関して、納得出来ました。
    日本が何故国内だけでビジネスが通用出来るのか。逆にフィンランドのような国が世界に向けて商売しているのか。
    いやーそういうことだったのね! と目から鱗。

    お薦めします。

  • 生きてると感じてしまう『邪悪なもの」。それらを鎮めるためには「身体感度」なんだってよ

  • 実際に「邪悪なもの」に対処する方法が書いてあるわけではない。
    日常にあふれる負の出来事・負の感情に言葉を以て応えてくれる。
    考え方を変えられるほど示唆に富んだ言葉が詰まっています。

    装丁は文平銀座。

  • 何かの書評でお薦めしてた1冊。
    タイトルに惹かれたので最初はちょっと違和感…ん?エッセイ?
    読み進めるうちにあまりの面白さにびっくり!
    ちょっと頭良くなった気分になるもんね
    でも内容を人に伝えようとすると全然説明できないんだけど(笑)
    こんな人いたんだ~今まで知らなかった!大学の先生なのね!
    大学生に戻れるなら頑張って受験勉強するから
    是非ゼミに参加させて欲しいなぁ~
    せっかく同じ時代に生きてるんだからどこかで会ってみたい!
    他の本も読むつもりです!

  • 今回読んだ本はビジネスとは全然関係ない哲学書です。
    著者は内田樹氏という方で、私は全然知らなかったのですが、新聞や雑誌などに評論記事を出している有名な方のようです。

    書体自体も非常に読みやすかったのですが、それ以上に良かったのが内容です。
    日常生活では当たり前に思っている常識を見直すべき内容がたくさん書いてあり、それを読むことによって、なんか肩が軽くなるような気がするのです。

    その内容をいくつか紹介させて頂きます。
    「病とはある状態に居着くこと。健全な精神は揺らぎを持っているが、統合失調はある定型に固執する。」
    「プライドはある状態への固執、居着くことで、選択を狭め、自由な状態を遠ざける。」

    以前読んだ森博嗣氏の本でも、「自由は自分がやりたい事をできる状態」だと言っていました。
    従来、プライドをもつことが大切や、毎回言っていることが違うのはおかしいということは常識とされていました。
    ただ一方で、私はプライドは重しでしかなくて、過剰なプライドは不要だと思っていました。その理由を小さいころは説明できなかったけど、この本を読めば納得できます。

    また他の話題としては、「グローバル社会における価値基準」というものがあります。
    以前の科学では、数値化されないものは存在しないと判断されるのではなく、分からないと判断されていました。
    しかし、グローバル社会というのは明確な分かりやすい基準がなくては、大きな社会を運用することはできないため、数値化されないものは存在しないと判断されています。

    しかし、その価値基準では直感は存在せず、ロジカルに説明できないものも存在しないということになります。
    つまり、ロジカル原理主義的な考え方です。

    私はコンサルタントという仕事をしていて、普段はロジカルではないものは存在しないという社会に生きていますが、実際のビジネスはロジカルだけでは運用できないことも理解しており、いまいち納得できない気持ちを持っていました。
    この本を読めば、グローバル社会を運用するために、ロジカルでないものは存在しないというルールで回っているだけに過ぎないことが認識でき、納得できました。

    ここに挙げた2つは本書で取り上げられているほんの一部で、全てを読めば人生を過ごす上での重荷を下ろすことができると思います。
    お薦めです。

  • タイトルには惹かれなかったが、本文を読んで購入。内田さんのような考え方に惹かれる。構造主義の著書に興味が湧いた。

  • それが私のために何をしてくれるかではなく、それのために私は何ができるか、と思って生きていきたいものです。
    家族についてのところでは、涙が出ます。

  •  新刊買ってきた。
     …けどいつものコンピ本なので急がず置いときます。先に借りてる源氏読まなきゃ。

     ぱらぱらっと見たけど本文のレイアウト(装丁?)が変わってて面白い。


    読んだー!!
    残らず読んでるはずのブログも結構忘れてたりしたなあ。楽しくて楽しくて、いつまででも読んでいたい気持ちでした。
     ひとつの問題を論じる時に「えっ?それって別に問題じゃないじゃん」と前提自体をひっくり返してしまうの。次数をひとつ繰り上げる…ってそれ自体この先生の言葉使いだからね。はずかしー(///ω///)

  • おもしろかった!
    トラウマについて書かれた文章は
    わたしが求めていたものだった!

  • 10/01/26購入。02/10読了。
    どこかで読んだか聞いたかの内容ばかりだけれど、そこがいいのだ。ブログで発信されたものだから、当たり前。
    はらはらドキドキを望む心性と、変わりたくない気持ちの間でバランスを取りながら、わたし(たち)は生きている。
    だから、「お前が以前言っていたことと違うではないか」という非難批判は、成立する根拠そのものがないのだ。

著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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