- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862398505
作品紹介・あらすじ
“出版は「完全に死んでいる」”
ボイジャーから出版した『マニフェスト 本の未来』で、返本の問題に焦点をあて、根本的な改善を見送り続けるアメリカ出版界の旧弊をこのように表したジョン・オークス。彼は2009年、ニューヨークで友人と「返本ゼロ」「読者への直接販売」を目指す出版社ORブックスを創業、10年足らずで年商1億円をこえる出版社へと成長させた。ORブックスにはオノヨーコ、ジュリアン・アサンジといった著者が集まる。本書はJ・オークスのORブックスの実態、アメリカの新聞や出版の歴史を例に、出版社が生き残るための鍵を解き明かす。
感想・レビュー・書評
-
返本0の出版社。
ベストセラーは、いらない。
気になる要素満載…。
読んでみたら、想像してたのとちょっと違う。
〝それまで〟が長々と語られ、やっと来たと思って読んでも、これ?…と言う感じ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ベストセラーはもういらない」https://store.voyager.co.jp/special/you-dont-need-bestseller-anymore … 読んだ、おもしろかった。アメリカも返品制度で出版社も書店も共倒れ寸前なんだな。日本は取次がなー。ただ新システムによる出版販売については最後ちょっとだけであとは延々と米国出版業界史とジョンオークスの出版家系の話だった(つづく
「ベストセラーはもういらない」内容もおもしろかったんだけどそれより今この本の出版社を確認したらボイジャー https://www.voyager.co.jp/home.html という初めて聞く会社で、それこそオンライン本&直販、書籍電子化の会社だった。なんか本の内容と会社の成り立ちがそのままシンクしてるのがおもしろい(おわり -
ベストセラー目指して本書いたけど売れなくて書店から買取を迫られて、二度と世にその本を出せなくなる切なさは世界問わずあるんだなと思いました。
インターネットができてPOD出版や電子書籍もバンバン出て、返本リスクを減らせる出版方法も出来てきた中で、それでもなお、返本ゼロの出版社になるためにはどうしたら良いのかを考えた人の本でした。
出版社はどんどん倒産しまくっている世の中ですが、こういう編集者や会社がたくさんあったら魅力的だなぁ、応援したいなぁ!と思いました。 -
題名と中身がリンクしていないけれど、ニューヨークタイムズ社とアメリカの出版の歴史を追った興味深い内容。
奇しくもAmazonが出版社からの買い切りを発表し、またポイントカードの個人情報流出で、ポイント制度の矛盾や限界を感じている昨今、出会うべくして会った本のような気がしている。
本の価値はどう形づくられるのか、アメリカの出版文化を変えた編集者は何を試みていたのか。
作品としての完成度は高くないけれど、断片的に見え隠れするフロンティアの奮闘に、勇気づけられるような思いもあった。
それにしても、自分がいかにカタカナ言葉に慣れてないかを思い知るような読書だった。アメリカ文学界の知識もないし。人生における読書量がまだまだ足りないんだな。 -
「ベストセラーはもういらない ニューヨーク生まれ 返本ゼロの出版社」
新たな挑戦。
1978年、シド・ビシャスの恋人ナンシー・スパンゲンの死体がチェルシー・ホテルのバスルームで発見された。というミステリの様な出だしから始まる。シド・ビシャスは、イングランド出身のパンクロッカー。 同国のパンク・ロックバンド「セックス・ピストルズ」のメンバーとして知られる。何故この出だしとしたのか?(もちろん、本筋には関係ない)と思いながらも、なんか外国作品ぽくはある(あるある)癖がある文章から始まるのは、ORブックス創始者のジョン・オークスの物語だ。
アメリカの出版業界が陥った負の遺産や古い慣行を捨て、返本ゼロを目指したデジタル技術を活かす伝統的出版社スタイルを如何にして創造したのか、どこからアイデアが生まれたのかを掘り下げた本となっている。
まず、驚きなのがジョンの家系だ。出版業界に縁の強い方々が身近にいたことがジョンの将来に影響を与えたのは間違いない。また、ジョン自身の人柄も魅力的だ。私のことを凄い人物の様には書かない様に何度も作者の秦隆司にお願いしたエピソードは、自分を嘘偽りなく伝えたいと言う誠実さが伝わってきた。
また、ORブックス、もちろんこれは外せないトピックだ。扱われるのは終盤であり、もう少しサービスラインやジョンの信念を掘り下げて貰いたかった所ではある。しかし、“ORブックスの創設には、「とにかくたくさん出版する。そうすれば売れるはずだ」と言うアメリカの出版業界の慣行に対する新たな解を提示すると言う意味もあった訳だが、何よりたくさんの本が出版されたはずなのに、たくさんの本が返品されてきている、と言う哀しい現実を変えたいと言う思いの強さが詰まっている”と自分なりに解釈出来たので、本書のポイントとして挙げたい。
そして、最後にアメリカの出版業界の慣行については、もう少し掘り下げがあれば、より読み応えが増したと感じた。ジョン個人の歴史からORブックス、アメリカの出版業界に触れていく形も、ジョン個人に対する思い入れが出来る分、それはそれで良い。
しかし、根本の問題は、アメリカの出版に関する慣行であり、売り方の志向だと思う。この点は、日本とは違いが多い。また、とにかく売上げを出すには、いくらでもコストを掛ける、又は製品を作ると言う志向は、アメリカであれば、出版以外の業界でも割とスタンダードに思える。そんな一般的な志向は、何故そのように育ったのかを紐解きながら、ジョンの新しい出版の在り方を語ることが出来れば、ジョンの実行力ややり遂げた事の凄さがより強くなる。でも、それは、ジョンの求める読者への伝え方では無さそうであるから、無しになるだろうけど。
ORブックスと言う会社が、アメリカでどこまで根付くのか、興味が湧く。 -
タイトルにある会社が、どんな会社かっていうのが出てくるのは、一番さいごだから!気をつけて!!
アメリカの出版業界をのぞけて、なんだか面白かった。最後は、なんとなく、いい話聞いたなぁ、と思う。翻訳家のでてくる小説(ロゴスの市)を読んだばっかりのところに、続けざまにこんな本にめぐりあえて面白い。文章を世に送り出すっていう仕事に、親しみが湧きました。