不安型ナショナリズムの時代―日韓中のネット世代が憎みあう本当の理由 (新書y)

著者 :
  • 洋泉社
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本棚登録 : 72
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862480194

作品紹介・あらすじ

ネット世代の日韓中の対立関係は、いまや千年一日の紋切り型のナショナリズム論では捉えきれない事態に直面している。「反日感情の増幅」や「若者の右傾化」を憂えたり、批判したりすることよりもいま問題にすべきは、各国における「社会流動化」の進行が「不安」を増幅させ、ナショナリズムがその逃げ場となっている事態だ。旧来の「左右対立」とはまったく異なる形で進行するベクトルを掴むには、雇用不安や階層分化といった国内問題と結びつけて分析されるべきだ。若年層問題がその最大の争点になるだろう。若き社会学者がグローバル資本主義下の三国に共通する課題を浮かび上がらせる。

感想・レビュー・書評

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  • 日本・韓国・中国のナショナリズムを社会の流動性の観点から論じている。日本では韓国のナショナリズムは「反日感情」と括られて報道されているが、実際は韓国国内には民族主義と韓国ナショナリズムの2つの潮流があり、もともとは韓国ナショナリズムに対する民族主義からの批判という形で出てきたもので、それを外からは日本へ向けられたものとして認識されてしまうことなど、それぞれの国の社会・政治・経済・歴史的な文脈を見ていくことの重要性を痛感する。

  • 読みにくい。もっとすっきり書けるのかもしれないと思った。
    論点としては、社会の流動化がもたらした不安によるナショナリズムの登場というところだろうか。特に若年層における。

  • 日本のナショナリズムの隆盛を単に国内だけの問題として捉えずに、東アジア一帯の問題として捉えている。その大きな要因は社会の流動化であると筆者は述べている。

    日本人には元々経済開発の成功に起因するナショナリズムを持っているという主張だ。対外的な嫌悪感は経済事情から生じているとの筆者の主張は今までのナショナリズムの説明とは大きく異なっている。

  •  日本、中国、韓国のネット上に見られるナショナリズムの背景にある事象を分析した本。

     日本の過激な排外的ナショナリズムを帯びた一部ネットユーザーの背景にあるのは、過剰なアジアへの贖罪意識を持った進歩的文化人(朝日新聞、岩波書店系知識人)や高度経済成長の分け前を与った層(団塊世代)に対する強烈な敵対意識。保守系雑誌メディアの言説が漠然と粗雑化して受け入れられたという主張がなされる

     このような憎悪が渦を巻くようになったのは、雇用などの分野で社会が流動化したことや、ナショナリズムが趣味化していったことに原因が求められる。

     ネット世代の若者の「何をしたらいいかわからない」という目標の喪失感の間に、高度消費社会化(経済活動における人並み志向から差異化志向へのシフト)、保守派の高度経済成長期の賛美、革新派の文化性善説が入り込んだことで不安感の捌け口を海外に求めるようになった。

     日本の事例と同じような現象は中国や韓国でも見られる。中国で「憤青」、韓国で「ネチズン」と呼ばれる人々が現れるのはその典型例だろう。

     三カ国間で「政冷経熱」という言葉が話題になることがあるが、互いに「政治的主張は気に入らないが、経済的には協力せざるを得ない」という思惑があるようで、経熱が政冷を引き起こすという側面があるというのも眼から鱗だった。

     それなりに参考になる本だったと思う。左右対立がすでに不毛であるというのにも納得。なぜ20年前に集結したはずの冷戦時代の対立構図が残っているんだよ、と。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4862480195
    ── 高原 基彰《不安型ナショナリズムの時代 ~ 日韓中のネット世代が憎みあう本当の理由 200604‥ 洋泉社新書》
     高原 基彰 評論 19760114 神奈川 /東京大学院人文社会系研究科博士課程単位所得退学
     
     パブロフの犬たち ~ 脳内ナショナリズム ~
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20110610
     おらが世 ~ 日の丸に心はためく人々 ~
     

  • [ 内容 ]
    ネット世代の日韓中の対立関係は、いまや千年一日の紋切り型のナショナリズム論では捉えきれない事態に直面している。
    「反日感情の増幅」や「若者の右傾化」を憂えたり、批判したりすることよりもいま問題にすべきは、各国における「社会流動化」の進行が「不安」を増幅させ、ナショナリズムがその逃げ場となっている事態だ。
    旧来の「左右対立」とはまったく異なる形で進行するベクトルを掴むには、雇用不安や階層分化といった国内問題と結びつけて分析されるべきだ。
    若年層問題がその最大の争点になるだろう。
    若き社会学者がグローバル資本主義下の三国に共通する課題を浮かび上がらせる。

    [ 目次 ]
    序章 高度成長の再検討とナショナリズムの結びつき
    第1章 日本的脱工業化と世代間対立の浮上―日本1
    第2章 趣味化したナショナリズムと目標の喪失感―日本2
    第3章 ポスト民主化の若者たちのゆくえ―韓国
    第4章 社会主義から過剰流動社会へ―中国
    結び 社会流動化の中の東アジア・ナショナリズム

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  • 概説の教科書。
    つまらないし、理解しにくい。
    やはり学者向けの本なのか?

  •  対象を広げすぎてしまったので、消化不良を起こしていますが、見る価値はあります。

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