自由訳・養生訓 (新書y 164)

  • 洋泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862480873

作品紹介・あらすじ

現代人が忘れかけた、重要なアドバイスの宝庫!日本の古典啓蒙書の中で群を抜いて有名な作品にもかかわらず、何が書かれているか説明できない本に貝原益軒『養生訓』がある。「接して漏らさず」の本だと、言われれば、「ああ」とわかった気になり、あまつさえ房事の本と誤解されているきらいがあるが、本書は益軒が自らの体験をもとにして著した健康と長寿の手引き書である。無理をしない、身の丈で生きていく、汗を流して働く、適当な運動を心がける-品性を高めることで、結果として長寿につながる。ベストセラー『快楽-更年期からの性を生きる』の作者が現代語訳した五十代以上の男女の必読書。

感想・レビュー・書評

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  • 食事 生活習慣 などを中心に色々な健康書を読みました。

    なるほどなっと思う事
    実際に取り入れてみて 効果があったこと
    たくさんありました

    原書は読みにくい部分もあり
    訳者の解釈に現代の知が入っていたのかも知れませんが

    そんな色々が
    今から350年前に すでに 書かれていたということに驚きです

    理論理屈 仕組みは現代になって分かってきましたが
    経験則としての 部分は 既に出ているのかなと思うのでありました。

    ~ヽ~ヽ~ヽ~ヽ~ヽ~ヽ~ヽ~ヽ~ヽ~ヽ~ヽ~ヽ~ヽ~
    227 自由訳・養生訓 貝原益軒  訳:工藤美代子 2006 1120/2010 0824 245P

    朝寝坊は万病の元 血流が悪くなります
     食後にお腹を軽く何度も撫で下ろすと 一層消化の助けになります

     朝夕の食事の後は 長い時間座ったままでいるのはいけません
     横になって眠るのは 禁物です
      食後はできるだけ散歩をする習慣を身につけましょう
      散歩は最低でも300メートルから500メートルくらいは歩きましょう

     要するに 家にいたら何でも自分で動き 人に頼らずに働くのがいいのです

     「流水腐らず」 人も同じです
      少しでも動いていれば 腐らないのです

    人間は 欲に任せて楽しんでいると
     初めのうちは快楽であっても 後から必ず体を悪くして 長い間苦しみます

     はじめに努力してこらえれば あとの人生はきっと楽しみが増えるでしょう
      酒と食事の量 色欲は 控えめにするのが 長生きのコツです。

     病気がたとえ重くても 胃に気がある人は大丈夫です
      胃に気がない人は 危険だと思って注意してください。
     
    唾液
     唾液というのは 体に潤いをあたえてくれる貴重なものです
     血液と同格と考えてもいいくらいなのです
     したがって 唾液を吐いてはいけないのです

     痰
      痰は飲み込まずに吐いた方がいいのです なるべく紙にとって捨てましょう
      痰というのは 体内に滞ったものと思ってください 

    元気の小出し
     元気だからといって 元気を出しすぎるのは慎むべきです
     元気とは 気の元ですから 元気を出しすぎると 年をとってから気が消耗してしまいます

     若いときから 元気を蓄えておき 年をとってから使えば長持ちします

    完璧を求めない
     期待しすぎず 気にしすぎない
     自分の思うがままになると考えると過剰なものを期待するハメになって心が疲れます

    人が間違って 不幸な老後を送るもとは
     すべて無知からくるのです 

    心は楽に
     楽しみというのは 人間の生来のもの 天性です
     
    酒はほろ酔い
     
    七情の戒め
     喜 怒 哀 楽 愛 悪(お) 欲
      出来る限り 怒りを抑えて 欲を我慢するのが長生きのコツです
      
    万事に少な目
     耳 目 口 体がむさぼるように欲する欲望を少なくする

    摂生の七養
     1言葉を少なくして内気を養う お喋りも度が過ぎるときを減らします
     2色欲を戒め精気を養う 過剰な性欲で精気を失うと早死にします
     3塩分など味の濃いものを控える 味が濃すぎる食べ物は 毛気を減らします
     4唾液を飲み込んで内臓を養う 唾液を体内に戻してやると 臓器の気が養われます
     5怒りすぎを抑え肝気を養う 怒気というものは自制しないと肝気を損ないます
     6飲食を節制して胃気を養う 食べ過ぎ 飲み過ぎは胃力を落とします
     7心配ごとを減らして心気を養う 心配のしすぎは 気を減らし病のもとです

    長すぎるは禁物
     長時間歩く 長時間座り続ける など なんでも長すぎるのは 気が減るのでよくありません

    呼吸
     たまった気は 鼻から少しずつ静かに吐き出します

    飲食は生命の養分

    病は口から
     飲食は生命の養分であると同時に 過ぎたるは病のもとになります

     ご飯はよく熱して中まで柔らかになったものを食べてください
      

     控えめに淡白に
      飲食は飢えを防ぐのが第一の要件です

     五味偏勝(ごみへんしょう)
      五味偏勝とは 同じ味のものを食べすぎる癖を言います
       甘いものをたべすぎると お腹が張って苦しみます
       辛いものをたべすぎれば 気がのぼせ ときに湿疹 眼にも悪い影響がでます
       塩辛いものの食べすぎは 血が乾き 喉が乾き 結果水分を多くとり 胃を痛めます
       酸っぱいものを多くとりすぎると 気が減ります
       苦いもののとりすぎは 胃腸の生気を損ねます
     
      偏らず バランスよく適当に味をまぜて食べることが大切です

      味に限らず 肉でも野菜でも 同じものばかりを食べ続けると滞りがおき 害になります

     ご飯の食べ過ぎ
      ご飯の食べ過ぎは 胃の気をふさぎ 消化しにくくなるので 注意です

     夜食
      夜更けの食事は禁物です
      日が暮れてから間もなくのころに食べるのがいいとされています

     考えながら食べる
      五思
       1この食事は誰から与えられたのかを考える
       2いま食べている米は農民の苦労によって作られた事実を忘れてはいけません
       3自分には特別の才能も徳もない 社会に奉仕してもいない
         それでもこうして食べられるのは大変幸せな境遇だという気持を忘れないようにしたい
       4世間には自分よりさらに貧しくて 苦しんでいる人も多い
         自分がこうして飢餓の心配もなく食べられている生活に感謝しなければならない
       5いまこうしてご飯をたべ おかずがあること の文明を知る

     大根 人参 かぼちゃ 白菜 などは 
      大きく厚く切ったものは 消化が遅いので 薄く切って煮るようにします

     胃腸にいいもの
      温かいもの 柔らかいもの よく熱したもの ねばらないもの 薄味でかるいもの
      煮立てのもの 清潔なもの 新鮮なもの 香りのよいもの 成分のよいもの
      味の片寄らないもの


    大根
     野菜の類で一番上等なのは 大根だと思います

    接して濡らさず
     色欲を慎む
      
      回数
       20歳の人は 4日にひとたび濡らす
       30歳の人は 8日にひとたび濡らす
       40歳の人は 16日にひとたび濡らす
       50歳の人は 20日にひとたび濡らす
       60歳の人は セックスを止めて濡らさず

     セックスのタブー
      日蝕 月蝕 雷鳴 大風 大雨 猛暑 酷寒 虹 地震
      こういうときは セックスをしてはいけません

     小便を我慢して セックスしてはいけません

     腎は五臓のもと
      大事に養って丈夫で長持ちする体を育てるのです

    酒は天からの授かりもの
     酒は適量に
      少し飲むことで 気の巡りがよくなります

     基本的に
      朝夕の食後に飲むのがよいのです
       昼間の空腹時はいけません
       さらに朝食前の空腹は 一番よくありません 

     人に勧める
      適量をすすめましょう
      大概 大勢で飲むと いつもよりも多く飲むものですから 無理にしないことです

     酒と寿命
      大酒飲みに長寿なし
      適量にしましょう

     禁止事項  
      酒を飲むときに 甘いものを一緒に食べるのはよくありません
      日本酒と焼酎を一緒に飲むのもよくありません
      
     焼酎
      焼酎はたくさん飲んではいけません
      強い焼酎は胃の毒です 熱があるのです

     お茶
      お茶はそもそも冷のもの 体を冷やします
       濃いお茶 新しいお茶は 力が強いので 虚弱体質の人は飲まない方がいいでしょう

     お茶とお酒
      お茶は気を冷やし 酒は気を温めます 

    心は体の主君なり
     五官とは
      心は体の主君だと言われています 天君ともいいます
       耳 目 口 鼻 体 の五つが 五官で
       人が思うことを司る器官なのです。
      心は内にあり この五官を動かしているのです
       五官が心をふるのではなく 心が五官を動かすのです

     寝室
      東枕が生気を受けやすくよいです

     導引の法
      朝
       両足を伸ばし 濁った気を吐きだし
       起きて座り 頭を仰向かせて 両手をくんで のびをします
       歯を何度もかちかちいわせ 左右の手でうなじを交互に押します

       顔を両手で何度も撫で下ろし
       目頭から目尻にかけて何度かなでます
       鼻を両手の中指で6 7度なでてから 耳を両手の両指ではさんで撫で下ろす数回
       両手の中指を両耳にいれて 探るように 耳を何度かふさぎます
      
       腕を組み 肩 首をまわす

       手の背で 左右の腰の上を 脇腹から斜め下に10回ほど撫で下ろし
       手の平で 腰の上下を何度も撫で下ろす
      
       手でお尻の上を何度も軽く打つようにします
       さらに 股 膝を撫で下ろし 
       ふくらはぎの表裏を 数度撫で下ろします
      
       片足の五指を片手で握り 土踏まずの中心部のくぼみ(湧泉)を左手で右を
       右手で左を それぞれ数十度撫でる

      髪を梳く
       髪を櫛で梳くのは 多い方がいいのです
       気を循環させ 上気を下ろす役割があります
        櫛は歯の数が細かいと 髪が抜けやすくなるので あまりお薦めしません

      歯磨き 目洗い
       少し熱い湯で目を洗い 鼻の中もきれいにしてからぬるい湯で口をすすぎます
     
       乾燥した塩で上下の歯と歯茎をよくこすりながら磨き ぬるま湯で含み 口をすすぎます

       
      40歳を越したら
       用のないときは 目をつぶっているのがよいといわれます

      食後は
       食べ終わったら必ず手で顔をこすり
       腹を撫でて 唾液の流通をよくして下さい
       そのあと少しして 数百歩ほど 歩くことをお薦めします

    一日二便の心がけ
     一日二便 が便通の心がけです

     小便を我慢することは危険です

     大便を我慢しすぎると痔になります

     入浴
      入浴はあまり何度もするものではありません
      温度が過ぎて肌の毛穴が開き 汗が出て 結果として気が滅入ります

      空腹時の入浴はだめです
      満腹時に髪を洗ってはいけません

    予防の心得
     小欲を慎み 大病を抑えます

     くよくよしない
      病人の仕事は くよくよしないことです
      養生の道を堅く守ることです

      重い病気でも 気長に養生すれば 思ったよりも早くよくなるものです
       心配しすぎて得をすることはありません

     中風対策
      体内に生じた風気にあたることです

      日頃から お酒をたくさん飲んで 体内が乾いて熟し 風が生じます
       7 8月は 注意してください

     夏は気が盛んです
      汗がでて皮膚が開きますから 外邪が侵入しやすくなります
      涼風に長いことあたってはいけません

     秋
      秋になっても すぐには皮膚の隙間は閉じません  
      用心してください

     冬は
      天地の陽気が閉じ隠れ 人の血気が収まるときです
      気持を落ち着けて 外に気を出さないようにしまっておくのがいいでしょう

    親を養う道
     子どもと同じ
      老人は体の気が衰え 胃腸なども弱っています
       飲食の好き嫌いをたずね 冷たいすぎず熱すぎないように
       居間を清潔にして 邪気をよく防いでください

     老後の時間
      老後というのは 若いときの10倍の早さで時間が過ぎていきます
      1日を10日として 10日を100日として 無駄な時間をおしみ 過ごしましょう
      
     晩節
      若いときより怒りっぽくなったり 欲も深くなって子どもを責めたり
      世間のせいにする人がいます
      晩節の節操を知らず 心を乱すのは見苦しいものです

      孔子は「年老いて血気衰えたら ものを得ようとしてはいけない」

     保養
      常に元気を惜しむように心がけ気を減らさないようにしなければなりません
      呼吸は静かにし 乱暴な息づかいにならないようにしてください

      しゃべるのは ゆっくしして急いではいけません

     気を減らさない
      口数が多いのが最もいけません 早くしゃべってはいけません
       高い声で話したり 笑ったり 歌ったりしてはいけません

    子ども
     三分の飢え
      子どもは甘やかすと 将来子どものためになりません
      「小児を育てるには 三分の飢えと寒さを存すべし」
       少し空腹にさせておき 少し寒いくらいのほうがいい
      

  • 300年前の実用的な健康術に関する本。
    書かれてる健康術はなかなか興味深いものがあれば、古臭!と感じるものもある。例えば北枕には気をつけろとか本気でいう人は今の世の中にはなかなかいないと思うんだけど結構それを当たり前のように書いてるからびびる。でも実際北枕で寝ている俺がこんだけ陰鬱な人間になっているのだからあながち間違いではないのかもしれない。なかでも興味深かったのが交接に関する章だ。20代は4日に一度、30代は8日に一度、50代にもなれば漏らさなくても良い。とまで書かれていて、その上、「交接の間はできるだけ静かにして、全身の力を出し切るような動きをせず、気を内側に留めて口から息をそっと吐くようにすれば漏らさないすべが可能なのです」と、女医が教えるナンチャラカンチャラみたいな本に書かれていそうなことが書かれている。それによって欲を満たしつつ、精力を溜めることで、気の充実につながるというわけだ。貝原益軒=「接して漏らさず」みたいなところがあるみたいだけど貝原益軒は引用しただけでそれを言った人ではないらしい。ややこしい。
    中村天風でもそうだったが昔の人(終戦以前の人)は当たり前のように「気」というものの重要性を説く。気という概念が当たり前に日本人の中にあった時代に書かれた気を充実させるための実用書って言う意味でこの本はずっと人気?なのだろう。WHOの健康の定義の中に魂の健康が追加されて10年くらい?たつみたいだけど、300年も前から魂とか気とかに関する健康法が伝承されてるってのは誇ってもいいことだと思う。まあ結局実際に試してみて自分に合ってるかどうか知ることが最重要だから、この本に書かれてることは日本人の身体に合わせて考えられた健康法ってだけに試す価値のあることはやっぱ結構多いと思う。
    いろんな訳書がでてるけどこの本が一番読みやすかった。でも内容がピックアップされてるから、ふーんこんなものか、程度に読みたい人向け用。

  •  先週は、いろいろあって、精神の落ち込みが激しかったので、『養生訓』をとりだして読んでみた。

     この本は、工藤美代子さんが現代訳にして、さらに解説をつけてくれているので、大変読みやすく、ためになった。

     要は、自分が周囲に影響を受けるのは、欲が強いからだとわかった。

    (1)50歳になったら、身についた欲を少しずつ払って生きてみる。

    (2)食であれ、喜怒哀楽であれ万事を少なめに抑えた摂生生活をする。

    (3)貝原益軒で有名(自分は知らなかった)「接して漏らさず」は実は養生訓には記載がない。

     自分も欲を抑えて、腹八分目に人生に心がけようと思います。

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著者プロフィール

貝原益軒

一六三〇年生まれ。江戸前期から中期にかけての儒学者、博物学者、教育家。筑前福岡藩主黒田家に仕えた。藩費で十年間京都に遊学する間に、朱子学者、博物学者と交際し、上方に興りつつあった経験・実証主義思潮に触れたのが、その後の学風に生かされた。膨大な編著は各方面にわたり、儒学では『大疑録』、博物学では『大和本草』『花譜』『菜譜』などが知られる。晩年には『養生訓』『大和俗訓』など多くの教訓書を書いた。一七一四年没。



松田道雄

明治四十一年(一九〇八)、茨城県生まれ。昭和七年、京都帝国大学医学部を卒業、小児科教室に入る。昭和十二年より府立西ノ京健康相談所に勤め、結核患者の診療をおこなう。昭和二十二年に京都で小児科を開業。診療のかたわら、ロシア思想を学び、思想史家としても知られる。著書に『私は赤ちゃん』『育児百科』『洛中洛外』など多数。平成十年(一九九八)没。

「2020年 『養生訓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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