「日本」をめぐって: 網野善彦対談集 (Modern Classics新書 29)

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  • 洋泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862482808

作品紹介・あらすじ

「網野史学」が与えたインパクトの大きさを再認識する珠玉の対話集!本書で網野善彦は、日本史学の領域を超えた6人との対話を通して「日本とは何か」というテーマについて発言している。戦後歴史学がとらわれてきた、はじめから日本を一つの国と考える「一国史観」や、「生産重視・農業主義」に基づく「進歩史観」を鋭く批判する。そして、海外交流・交易からみた日本像、21世紀の新しい歴史像とはどのようなものなのかという壮大なテーマで、新しい国家観、歴史観を探っていく。

感想・レビュー・書評

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  • 田中優子, 樺山紘一, 成田龍一, 三浦雅士, 姜尚中, 小熊英二との対談集。

    石母田正は「中世的世界の形成」で、東国の農村から身を起こした領主たちによって腐敗した天皇・公家の朝廷を克服したとして、封建制が発展しなかった朝鮮半島や中国大陸と対比して日本が植民地にならなかったと考えた。東京の歴史家は、在地領主制を中世の形成と考えるが、京都の歴史家は、寺社・貴族の荘園の支配が中世国家の基本と考える。

    網野は、東日本は後進地域でヨーロッパの封建制と比較し、西日本は先進地域で中国などの封建制をモデルにすると位置付ける。

    網野は、西尾幹二、西部進、石原慎太郎の勝とう勝とうとする方向でナショナリズムを鼓吹するのは、明治以降の近代の歴史に対する反省もないアナクロニズムであると批判する。

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著者プロフィール

1928年、山梨県生まれ。1950年、東京大学文学部史学科卒業。日本常民文化研究所研究員、東京都立北園高校教諭、名古屋大学助教授、神奈川大学短期大学部教授を経て、神奈川大学経済学部特任教授。専攻、日本中世史、日本海民史。2004年、死去。主な著書:『中世荘園の様相』(塙書房、1966)、『蒙古襲来』(小学館、1974)、『無縁・公界・楽』(平凡社、1978)、『中世東寺と東寺領荘園』(東京大学出版会、1978)、『日本中世の民衆像』(岩波新書、1980)、『東と西の語る日本の歴史』(そしえて、1982)、『日本中世の非農業民と天皇』(岩波書店、1984)、『中世再考』(日本エディタースクール出版部、1986)、『異形の王権』(平凡社、1986)、『日本論の視座』(小学館、1990)、『日本中世土地制度史の研究』(塙書房、1991)、『日本社会再考』(小学館、1994)、『中世の非人と遊女』(明石書店、1994)。

「2013年 『悪党と海賊 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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