道路整備事業の大罪 ~道路は地方を救えない (新書y 220)

著者 :
  • 洋泉社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862484369

作品紹介・あらすじ

道路先進国となった今も止まらない道路整備事業。だが、道路が地方を豊かにする時代はもう終わっている。道路整備を進めたことで人口流出が進んだ過疎村、近隣の大都市に商圏をとられる中小都市、バイパスをつくればつくるほど増える渋滞、財政も家計も圧迫する自動車依存のライフスタイル…。それら負の側面を豊富な実例によって明らかにしつつ、世界で進む脱自動車・脱道路の潮流を紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 1

  • うーん、なんて言えばいいんだろう。
    恐らく道路を整備する側からしても無駄な整備はしたくないのではと思います。
    とは言え、郊外へのスプロール化が進むと望まなくても道路延長を伸ばすほかありません。そのことにより、道路の維持管理費も増えてしまいます。
    その意味では、宅地造成を認める部署の責任は大きいと思います。そこのところ、まちづくりが専門かと思われる著者はどう考えるのだろうかと思いました。
    最後まで読めば書いてあるのかもしれませんが、今回も最後まで読む気にはなれませんでした。

  • 2009年刊。明治学院大学准教授による道路建設の非合理性、非経済性、地方破壊を具体的事例をもとに論じたもの。ストロー現象(新幹線建設にも同様の問題あり)、無意味な高規格道路、災害用の高規格道路は無意味(地震後の復旧目的の用地確保だけでよく、むしろ手早く復旧できる手順が大切。阪神大震災と東日本大震災の教訓)、道路建設は過疎を止めない、不便な方が観光地として適切などなど興味深い実例が挙がる。近畿圏も首都圏との間のリニアは本当に必要なのか、よく考えなくてはならない(ストロー現象の危険はないですか?)。アメリカの実例(例えばロサンジェルス)は今後も要注目。

  • 過去300年の歴史と将来100年の計画があって、初めて道路整備計画を決めることができるはずだ。

    長期計画のない、短期計画は悲惨だろう。
    計画も、線形で、将来も伸び続けるというのは嘘八百なのだろうか。

    本書で、都心の自動車社会からの脱却を計画できないかぎり、
    100年の計画は立てれないだろうか。

  • [ 内容 ]
    道路先進国となった今も止まらない道路整備事業。
    だが、道路が地方を豊かにする時代はもう終わっている。
    道路整備を進めたことで人口流出が進んだ過疎村、近隣の大都市に商圏をとられる中小都市、バイパスをつくればつくるほど増える渋滞、財政も家計も圧迫する自動車依存のライフスタイル…。
    それら負の側面を豊富な実例によって明らかにしつつ、世界で進む脱自動車・脱道路の潮流を紹介する。

    [ 目次 ]
    第1章 日本はすでに道路先進国のトップ・グループ
    第2章 いつまで続くムダな道路整備
    第3章 道路が地方を救えない理由
    第4章 道路がもたらす八つの弊害
    第5章 道路整備にノーを突きつけたからこそにぎわう
    第6章 道路に依存しないことが再生のチャンス

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    [ 参考となる書評 ]

  •  先日開通した第2京阪高速道路を走ってきた。これまで1号線を使って1時間かかっていた距離が20分で通過できた。新聞では、沿線にある部品を中心とした工業地帯の出荷が安定する効果があるとうたわれている。 この本は、道路を整備しても、もう昔のように経済発展には結びつかないですよ、という。地方に道路を通したときのいわゆるストロー効果の説明が分かりやすい。都市部の職場に通え便利になる一方で、近所の店が広域の商業圏に組み込まれ淘汰されてなくなり、結果的に地域から出て行かざるを得なくなる。また、都内の商店街でも、活気があるのは道路で分断されていない、歩行者が歩きやすい街だということを、数字で説明してくれる。 この本では、人が住む場所に道路ができた場合の効果は検証しているが、産業全般に対する道路を含めた輸送手段の影響については触れていない。書名にある「大罪」は編集部がつけたもので、著者自身も道路建設の地方への影響を書いたものだと断っている。ならば次には、地域コミュニティの確保と域間輸送の両立の検討が必要と思われる。

  • 道路作ることにより、過疎化が進む。
    それはすぐ移動できるから。そして、商店が減っている。特に商店は影響を受けやすい
    ストロー効果により大都市が有利になる。
    バイパス等道路整備すると、車の誘導効果を生む。
    ロスアンゼルスでは、車社会のひずみが出ている。
    道路整備が公共交通機関を少なくし、コミュニティーを少なくしている
    道路延長伸びれば、維持費がかかるし、町の効率悪くなる
    あえて道路整備せず、日帰りではなく宿泊客を呼び込む温泉街あり。

  • 2010/01/24

    課長から回ってきた本.

    ・田中角栄
     「道路整備費の財源等に関する臨時処置法」 ガソリン税を道路整備に
     「道路整備特別処置法」 いわゆるプール制を導入
    ・ストロー効果 パックス・ロマーナ
    ・北村隆一 「ダウンズ/トムソンのパラドックス」
    ・カリフォルニア大学バークレイ校 ここに留学してみたい.
    ・東京ディズニーランドを公園代わりに
    ・チョンゲチョン イミョウバク
    ・下北沢 高円寺の商店街 行っていたい.

  • 日本が道路後進国はウソ。 宮崎県東国原知事の主張の誤り。
    データの切り取り方で、どうにでもなる。よくある統計でのウソのつき方の指摘。 道路ができるとストロー効果で地域商圏が大都市に吸い上げられてしまう。
    アメリカでも脱自動車(特に高速道路)を目指す地域があるとはしらなかった。

  • 前半の、理論部分は興味深く読んだ。
    道路を作ることによって、地方が活性化するとは限らない、という理由になっとくさせられるものであった。
    ただ、後半の事例部分は、失敗例の羅列に感じられ読むのがつらくなってきた。

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著者プロフィール

服部圭郎:龍谷大学政策学部教授。三菱総合研究所主任研究員、明治学院大学経済学部教授、ドルトムント工科大学客員教授などを歴任し、2018年4月より現職。専門は都市計画、都市政策、コミュニティ・デザイン、フィールドスタディ。著書に『若者のためのまちづくり』、『サステイナブルな未来をデザインする知恵』など。

「2018年 『BIOCITY ビオシティ 74号 エコロジカル・デモクラシーのデザイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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