戦国の交渉人 (歴史新書y)

著者 :
  • 洋泉社
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本棚登録 : 60
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862487841

作品紹介・あらすじ

関ヶ原合戦後、石田三成、小西行長とともに京都で公開処刑された恵瓊は、世の中の趨勢も読めず、西軍の敗北を招いた無能な「愚僧」=外交僧として刑場の露と消えたとされる。が、西国の大大名毛利氏や豊臣政権の外交交渉の屋台骨を支えた恵瓊は、政策立案能力と交渉力を兼ね備えた外交のプロフェッショナルかつ最高の知識人だった。

感想・レビュー・書評

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  • 『安国寺恵瓊』という人物に抱くイメージは、(ことに関ヶ原合戦に関わる)綺羅星の如き華やかエピソード満載の武将たちに比べて、それほど明確ではないのではないでしょうか…。

    かく申します私めも、「あ~、信長サマのこと『高ころびにあおのけに転ばれ…』とかって本能寺の変・予言みたいなことツイートして(違)おきながら、自分の、関ヶ原での末路は読めなかった、毛利の外交僧サンね☆」といった認識でおりました…。

    がッ!!

    渡邊大門先生・最新刊「戦国の交渉人~外交僧・安国寺恵瓊の知られざる生涯~」を拝読して、上記・己が浅薄なイメージ、恵瓊さんに申し訳ない…と痛切に思いましたです。

    「恵瓊にはあまり興味が無いな」とお思いの方や、「けっこう嫌いな人物カテゴリに入るな」と仰せの方にも、ぜひお手に取っていただきたい気持ちであります。

    読了される頃には、従来のイメージや『好き嫌い』を越えた感慨を抱かれると思います♪

  • 僧侶でありながら政略に長けた安国寺恵瓊の姿がわかった。
    毛利・秀吉に信頼されるのだからよほど有能だったことが分かる。
    資料には後期に編纂され、信頼できないものもあるというのは意外だった。司馬遼太郎の著作を歴史資料扱いするようなものか。

  • 戦国というと、武将。だけど実際の政治は武将たちだけで行われたいたわけではなかった。

  • 結局一番知りたかった何故恵瓊は関ヶ原当日戦いに加わらなかったのかという点についてはさらりとしていて詳しく書いておらず残念。毛利軍の指揮権は広家が握っていたでいいのか?なんだかしっくりこない。場所が悪かったならそこに布陣しなければよかったじゃないか。秀元も日和見だったのだろうか。疑問は解けなかった。
    でも色々な説や資料からまとめていってるところは好きでよかった。新説も知れて嬉しかった。
    ただ漢字の使い方が……大好きな武将の漢字が違う時はさすがに叫びかけた。二度目出てきた時は直ってたけど……。
    恵瓊のイメージはよくなったので全体的には面白かった。

  • 本書は、何となく「あいつは悪い!!」ということにされてしまっていて、“愚か者”呼ばわれさえされているかもしれない恵瓊の姿を、可能な限り再現してみようとしている。なかなかに面白い。

  • 毛利氏の外交僧安国寺について。安芸武田氏に生まれ出家。宗教界でも出世し幅広い人脈を築いた。師匠に続いて毛利氏の外交僧になる。政略に優れ、毛利家を案じつつ、織田家、豊臣家、その他大名の間を東奔西走。豊臣政権下では独立した大名になったとされているが著者は否定、吉川広家との確執も後世作られた話だとされる。関ヶ原で毛利氏を西軍に導いたため「悪僧」とされるが、江戸時代の毛利氏や吉川氏を正当化するためのイメージではないか。

  • 備中高松城の和平で、清水宗治の切腹は和平の糸口で、前提条件ではなかった、恵瓊が切腹をすすめたわけではなく、切腹による一時的和平調停後、本能寺の変をはさんで後、本格的な和平が行われた、というのが新しい視点だろうか。毛利家の勢力伸張とともに、対大友、対信長、対秀吉、四国・九州・朝鮮役の各場面において、毛利家の外交・政略の分野で大きな活躍を見せたことは見てとれた。また、関が原後も生き残った毛利家・吉川家が、自分たちの立場を正当化するために残した史料に拠った記述により、不当に恵瓊像が貶められていた側面については、より実像に近づけられたように思えた。ただ、史料にも記されていない、本文中でも詳述されていないことを、〜であったにちがいない、と多用するのは、どうだろう、と思わないでもなかったけど。

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著者プロフィール

(株)歴史と文化の研究所代表取締役。専門は日本中近世史。
『豊臣五奉行と家康 関ケ原合戦をめぐる権力闘争』(柏書房、二〇二二年)、『倭寇・人身売買・奴隷の戦国日本史』(星海社新書、二〇二一年)、『関ケ原合戦全史 1582-1615』(草思社、二〇二一年)、『戦国大名の戦さ事情』(柏書房、二〇二〇年)。

「2022年 『江戸幕府の誕生 関ヶ原合戦後の国家戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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