- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784862488220
感想・レビュー・書評
-
筆者の氏家の生き方は気に入らないが、著書は面白い。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(欲しい!)/新書
-
現代社会にも連なる、組織ぐるみの「非常識」はなぜ正当化されたのか?
隠蔽体質、甘えと馴れ合いー元旗本が書き残した役人社会の慣習
明治30年まで生きた大谷醇堂が書き残した記録を中心に、現代では忘れてしまった幕臣たちの驚くべき、「慣例」の数々を教えてくれる。(2011年刊)
・プロローグ・不吉な「鯛の味噌漬」
・第一章
・第二章
・第三章
・第四章
・第五章
・エピローグ・サムライの遺産
本書は元旗本大谷木醇堂が書き残した記録を中心に現代では忘れ去られてしまった幕臣たちの驚くべき慣例の数々に迫った本である。
幕末、軍備の洋式化を図っているさなか、70歳代の砲兵や歩兵がいたというから驚きである。軍備の強化よりも、高齢な幕臣達の処遇が優先されたという内向きの論理は、ジョークとしても笑えない。不良旗本、猟官運動、お家存続のための隠蔽など、現代にも通じるものが感じられる。
本書は、幕臣達の意外な生活ぶりに幅広く触れているが、帯にある「組織ぐるみの非常識はなぜ正当化されたのか」という問いに対しては答えてはいない。ゆえにエッセイとしては楽しめるが、学術的には物足りない気がする。どこかで聞いた話が多いが、それだけ「醇堂叢稿」という史料がネタとして使われているのだろう。本書は、裏付けを抑えているので、安心して読むことが出来る。