上杉謙信の夢と野望 (歴史新書y)

著者 :
  • 洋泉社
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本棚登録 : 37
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862488565

感想・レビュー・書評

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  • 上杉謙信、「戦国大名」というよりも幕府と協調して平和な世の中を築く「室町大名」を目指していたことがよくわかる一冊。武田との争いや北条家、関東管領のことなども併せて、あまり上杉謙信のことは知らなかったので、勉強になりました。

  • 謙信は戦が強くて、カッコいい。
    一番知りたかった関東遠征については、ちょっとあやふやな感じ(関東管領じゃなくて、一般人から見た方で)
    合わせて謙信の内政に関する話が知りたかったのに残念(武田北条みたいにいい話が聞きたかった)お金相当稼いでたと聞いたので、その金をどこに使ったか知りたかった。やっぱり軍事費に使っちゃったのかな。
    捕虜解放の話もよかったけど、“権力者の為の正義”という複雑な謙信像はむしろ確定してしまった。残念。やっぱり北条家の方が好きだなあ。室町大名の忠臣と見ればいいんだけど。
    でも戦国大名(?)としては異質な一生はとても面白く読めました。感情的になりやすく、そこは信玄と対照的。近衛前久、北条高広もいいキャラ。
    著者独特の説(?)は新鮮だった。義輝が殺されたのは義輝自身が悪いとか、義昭が追い出されたのは信長の野望ではなく、悲劇とか。
    『諸大名は幕府から要請があれば従うか、断るにしても相応の言い訳をした』毛利家、家族みんなで無視してたけど、あれは遊びが忙しいと言い訳したのかな(笑)
    あと一つ、女性説も入れてほしかった・・・絶対ないのかもしれないけど。

  • 戦国で一番気になる上杉謙信の評伝。
    海音寺さんが意外にも史伝にしておらず、興味深く読んだ。自説については概ね資料を明記していていいのだけど、一般に膾炙している説の資料はスルーしている。また全体的に謙信を弁護する姿勢が強いところも気になった。史伝では情を排し冷静さ、中立性を保つことが大事だと思う…個人的にはこれが史実だと嬉しいところだけど(笑)

  • 副題は、幻の「室町幕府再興」計画の全貌。
    「軍神神話」の陰に隠された天下平定のシナリオとは?
    二度の上洛、関東管領職、川中島合戦、そこには何の意味があったのか。

    カバーに書かれた、本書の核心は、父の長尾為景が、朝廷・幕府権力を利用する武略を見て育った謙信は、その政治手法を引き継いだ。信玄、信長も室町幕府再興を目指したが、謙信の死後、形骸化した幕府は、もはや戦国終焉の主役には成りえなかった。謙信の一生は明確な政治目的を持った生涯だったというもの。
    本書は、上杉謙信の従来のイメージを見直した内容となっている。

    ・以下、備忘録として、
    長尾為景は越後の守護代であり、政治の実権を握っていたものの、守護である上杉家は存続しており権威を有していた。(ここら辺は、織田氏や朝倉氏と事情が異なる点であろう。)
    このため、為景が越後を束ねるためには、朝廷や幕府の権力を利用する必要があったという。謙信は兄晴景から家督を移譲されるが、将来的には、兄の嫡子に、家督を返すつもりであったという見方をしている。守護代という立場を脱しきれないところに、家督の複雑さもあり、謙信は他の戦国大名に比べ、著しく不安定な立場にあった。
    こうした事情もあり、武田家、北条家が早くに足場を固めた強者であったのに比べ、長尾家は劣勢からのスタートを強いられた。この劣勢を覆したのが、関東管領への就任であった。謙信が関東管領に就任したことは、武田家や北条家に危機感を募らせた。(信濃守護の武田氏の上位たち、信濃の国人の動向に影響を与え、関東管領を自認する北条氏の権威を否定することとなった)
    両雄は並び立たない、謙信は、決戦を求め川中島に出陣し、信玄と雌雄を決するが、決定的な勝利(信玄の死)を得ることが出来なかったことから、次第に守勢に回ることとなる。
    ・感想
    戦国大名とはいえ好き勝手やっていた訳ではなく、幕府や朝廷の権威や権力は無視できなかったというのがわかる。
    上杉謙信の基盤の弱さを知ることが出来たのは良かった。
    藤木久志氏の「食うための戦争」論に対する反論「ミスリードによるフィクションとは厳しいが」を知ることが出来た。
    著者の主張する室町幕府再興論を史料的に証明す

  • 上杉謙信の生涯における戦争・活動に対し、その時の状況・背景・心の動きなどを資料から著者独自の視点で解釈し説明した本。私にとっては新しい解釈が多く非常に面白く読めた。
    個人的に懐疑的だった「食うための戦争」論の否定やイマイチ理解できていなかった将軍(義輝)・関白(前久)・謙信の関係性も資料を基に論理的に説明されており非常に面白かった。
    ただし文中で資料の出典が明記されている場合とそうでない場合があり多少恣意的なものを感じたのが残念。
    (想像するに、一般的に上質と思われていない資料を出典とした時にそのことで論自体の信憑性を判断されたくなかったのかと思うのですが…。どこの世界にも"決めつけ"でものを語る権威主義な人はいるものですからね。)

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著者プロフィール

歴史家。1974年生まれ。日本の戦国期を中心に研究。単著に『戦国の陣形』、『戦国武将と男色』、『上杉謙信の夢と野望』など。NHK『歴史秘話ヒストリア』、BS-TBS『諸説あり!』などテレビにも出演。

「2018年 『天下分け目の関ヶ原の合戦はなかった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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