上杉謙信の夢と野望 (歴史新書y)

著者 :
  • 洋泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862488565

感想・レビュー・書評

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  • 上杉謙信の生涯について、室町大名を目指したという視点から追っている。

  • 謙信を戦国大名の一人と思っていたのを改めさせられた。室町秩序を回復するために関東へ進出し、信長とも戦った。あともう少し長生きしていたら、どのような世の中になっただろう。江戸時代が生まれていたかどうか。

  • 上杉謙信、「戦国大名」というよりも幕府と協調して平和な世の中を築く「室町大名」を目指していたことがよくわかる一冊。武田との争いや北条家、関東管領のことなども併せて、あまり上杉謙信のことは知らなかったので、勉強になりました。

  • 謙信は戦が強くて、カッコいい。
    一番知りたかった関東遠征については、ちょっとあやふやな感じ(関東管領じゃなくて、一般人から見た方で)
    合わせて謙信の内政に関する話が知りたかったのに残念(武田北条みたいにいい話が聞きたかった)お金相当稼いでたと聞いたので、その金をどこに使ったか知りたかった。やっぱり軍事費に使っちゃったのかな。
    捕虜解放の話もよかったけど、“権力者の為の正義”という複雑な謙信像はむしろ確定してしまった。残念。やっぱり北条家の方が好きだなあ。室町大名の忠臣と見ればいいんだけど。
    でも戦国大名(?)としては異質な一生はとても面白く読めました。感情的になりやすく、そこは信玄と対照的。近衛前久、北条高広もいいキャラ。
    著者独特の説(?)は新鮮だった。義輝が殺されたのは義輝自身が悪いとか、義昭が追い出されたのは信長の野望ではなく、悲劇とか。
    『諸大名は幕府から要請があれば従うか、断るにしても相応の言い訳をした』毛利家、家族みんなで無視してたけど、あれは遊びが忙しいと言い訳したのかな(笑)
    あと一つ、女性説も入れてほしかった・・・絶対ないのかもしれないけど。

  • 戦国で一番気になる上杉謙信の評伝。
    海音寺さんが意外にも史伝にしておらず、興味深く読んだ。自説については概ね資料を明記していていいのだけど、一般に膾炙している説の資料はスルーしている。また全体的に謙信を弁護する姿勢が強いところも気になった。史伝では情を排し冷静さ、中立性を保つことが大事だと思う…個人的にはこれが史実だと嬉しいところだけど(笑)

  • 副題は、幻の「室町幕府再興」計画の全貌。
    「軍神神話」の陰に隠された天下平定のシナリオとは?
    二度の上洛、関東管領職、川中島合戦、そこには何の意味があったのか。

    カバーに書かれた、本書の核心は、父の長尾為景が、朝廷・幕府権力を利用する武略を見て育った謙信は、その政治手法を引き継いだ。信玄、信長も室町幕府再興を目指したが、謙信の死後、形骸化した幕府は、もはや戦国終焉の主役には成りえなかった。謙信の一生は明確な政治目的を持った生涯だったというもの。
    本書は、上杉謙信の従来のイメージを見直した内容となっている。

    ・以下、備忘録として、
    長尾為景は越後の守護代であり、政治の実権を握っていたものの、守護である上杉家は存続しており権威を有していた。(ここら辺は、織田氏や朝倉氏と事情が異なる点であろう。)
    このため、為景が越後を束ねるためには、朝廷や幕府の権力を利用する必要があったという。謙信は兄晴景から家督を移譲されるが、将来的には、兄の嫡子に、家督を返すつもりであったという見方をしている。守護代という立場を脱しきれないところに、家督の複雑さもあり、謙信は他の戦国大名に比べ、著しく不安定な立場にあった。
    こうした事情もあり、武田家、北条家が早くに足場を固めた強者であったのに比べ、長尾家は劣勢からのスタートを強いられた。この劣勢を覆したのが、関東管領への就任であった。謙信が関東管領に就任したことは、武田家や北条家に危機感を募らせた。(信濃守護の武田氏の上位たち、信濃の国人の動向に影響を与え、関東管領を自認する北条氏の権威を否定することとなった)
    両雄は並び立たない、謙信は、決戦を求め川中島に出陣し、信玄と雌雄を決するが、決定的な勝利(信玄の死)を得ることが出来なかったことから、次第に守勢に回ることとなる。
    ・感想
    戦国大名とはいえ好き勝手やっていた訳ではなく、幕府や朝廷の権威や権力は無視できなかったというのがわかる。
    上杉謙信の基盤の弱さを知ることが出来たのは良かった。
    藤木久志氏の「食うための戦争」論に対する反論「ミスリードによるフィクションとは厳しいが」を知ることが出来た。
    著者の主張する室町幕府再興論を史料的に証明す

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著者プロフィール

乃至 政彦(ないし・まさひこ):歴史家。1974年生まれ。高松市出身、相模原市在住。平将門、上杉謙信など人物の言動および思想のほか、武士の軍事史と少年愛を研究。主な著書に、『戦国の陣形』『平将門と天慶の乱』(講談社現代新書)『謙信×信長 手取川合戦の真実』(PHP新書)がある。テレビ出演、監修、講演などでも活躍する。

「2024年 『戦国武将と男色 増補版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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