耳で読む読書の世界: 音訳者とともに歩む

著者 :
  • 東方出版
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862491244

作品紹介・あらすじ

本を黙読している限りは気づかない、声に出して読み、耳だけで読んで初めて気づく数々の問題。
視力を失い、耳で読み続けて25年の著者が出合った、読み手と聞き手の難所あれこれ。全57編。
◉社会福祉法人 日本ライトハウス・全国音訳ボランティアネットワーク推薦図書。◉2刷◉

感想・レビュー・書評

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  • ニュースを見ていると時々アナウンサーが「試案、こころみのあん」のように言い直すことがあるが、あれも視覚障害者のためだったのか。略語が横行し、苦労されている方々も多いだろう。AIの読み上げ機能が向上すればとも思うが、対面朗読はその場でのやりとりや調査も含め、健常者側にも学習の機会を提供してくれるものだ。

  • 2011/9/15 予約 9/23 読み始める。面白いけど半分ほどで中止。

    先日、図書館主催の「音訳者養成講座」の講演会に行きました。
    目が見えなくなる! それはこれからの人生で誰にでも起こりうることです。
    「読書バリアフリー」、知る権利としての読書。
    当たり前のような権利も、健康を損なったり、視力が低下すれば困難になります。

    本書には、ボランティアの音訳者(読み手)への、利用者(著者、視覚障害者)からのアドバイス、要望やエピソードがつづられています。

     ⇒ URLはこちら http://sea.ap.teacup.com/pasobo/1164.html 『音訳の講演会に行く』 : 〜 Myブログ「パそぼとベルルのあれこれフリーク」

    内容と著者は

    内容 :
    黙読だけでは気づかない数々の問題。
    視力を失い、耳で読み続けて25年の著者が出合った、読み手と聞き手の難所あれこれを紹介する。
    『対面リーディング通信』連載を加筆・整理し書籍化。

    著者 :
    昭和7年名古屋市生まれ。九州大学卒業。
    電通大阪支社営業統轄局長、秘書役等を歴任し定年退社。
    眼疾が悪化し治療するも全盲に。
    日本福祉放送顧問を経て、日本ライトハウス評議員。

  • 筆者は53歳の時に網膜色素変性症という病で著しく視力を落としてしまい、67歳の時には全盲となられた方である。
    この本は、『対面朗読通信』という音訳者のための機関誌に掲載された、対面朗読の一利用者として筆者の意見をまとめたものである。
    筆者が以前電通で働いていたことに加え、戦前の教育を受けているということもあり、旧仮名使いや旧漢字の読み方についても触れられている。読んでいて大変な知識人、読書好きな方なのだという事がとてもよく伝わってくる。
    「大阪弁のアクセントから抜け出すには二上がりのアクセントに注意すること」
    「うっかりミスによるおかしな読みに注意(ビールを注ぐ、グラスにウイスキーを注ぐ)」
    「難しい地名に強くなるには関心をもつこと」
    「息継ぎのタイミングに注意(しゃばく-げきじょう?/射爆撃場)」
    「ポルノ描写ははっきり断ってもらって構わない。ただ、物語の根幹に関わる場合は読んでほしいこともある(シドニィ・シェルダン『明日があるなら』、ジョン・グリシャム『評決のとき』など)」
    「数字の読みに注意(2、300円に低迷を2,300円に低迷と勘違い)」
    「内容のポイントを押さえて強調したい所でイントネーションを変える」
    「筆者の意図や気持ちを忖度しないために起きる忖度不在の読みこぼれがある」
    など、普段あまり気に止めていなかった点が指摘されている。

    対面朗読の際に、「文章を抑揚や感情を加えずに淡々と読むべき」という方と、「小説や詩歌では感情がこもって当然。地の文が無くて会話だけが交わされるときは声色を変えないと分からない」という、二つのスタンスがあることも知ることが出来た。
    筆者は「作者が書いていない文字や文章を音訳者が勝手に創作して挿入してはいけない。入れたい場合は『音訳者注』と言葉を加えるべき」という考えの方を認めた上で、四つの同音異義語が並んでいる文章を、さりげなく注釈して違和感なく聞こえるように考慮してくださった方々に感謝の念を示している。
    自分が朗読をする機会が訪れるか分からないが、もし来たときには上記の点に注意して臨もうと思いました。

  • 音読ボランティアに興味を持ったのが社会人になって数年たった頃。NHKの通信教育を受けたりはしていたけれど、結局実際の活動に参加するまでにはいかなかった。この本を読むと音訳者に求められるスキルは結構高いことがわかる。これから先でも何とかなるだろうか。

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著者プロフィール

昭和7年(1932年)名古屋市生まれ。終戦後、本籍地の北九州小倉に帰る。旧制小倉中学、旧制福岡高校を経て、
昭和28年九州大学卒業。同年電通入社。小倉支局勤務から大阪支社に転じ連絡部長・営業総務次長・営業統轄
局長を歴任し、昭和62年秘書役に就任。眼疾が悪化、中国で治療を受けたが視力は戻らぬまま帰国。平成4年
1月定年退社。以後、明暗も判らぬ全盲に。日本福祉放送顧問を経て、日本ライトハウス評議員。

「2010年 『耳で読む読書の世界 音訳者とともに歩む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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