サッカースカウティングレポート 超一流の分析

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  • カンゼン
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レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862550378

作品紹介・あらすじ

アトランタ五輪、フランスワールドカップにて、世界の強豪チームを徹底分析した、日本代表スカウティングの第一人者がその理論のすべてを明かす!プロの現場では、どのような情報収集が行なわれているのか。分析する際のポイントはどこなのか。本書を読めば、サッカーの"本質"が見えてくる。

感想・レビュー・書評

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  • 日本代表でも、数々の試合でスカウティングをした小野剛氏のスカウティングのやりかた、実際の経験の本。

    スカウティングは、試合等や相手を分析し、最後に勝利のためには集めた情報をどのように整理するかが鍵である。そのためには、集めた情報を取捨選択することの必要性をまとめている。また、スカウティングのポイント等もまとめている。

    実際に、スカウティングをするような人にはよいが、他の人には若干ものたりないかもしれない。スカウティングではこのようなことをやっていると学には良い本だと思う。

  • 今回のワールドカップをきっかけに、サッカーを勉強したいと思って買った本の中の一冊。
    『サッカーの見方は1日で変えられる』(木崎 伸也)も同時並行して読んでいたが、木崎さんの本がよりサッカーのプラクティカルな戦術面に注目して、見方をわかりやすく説明しているのに比べ、この本はサッカーがいかに深遠なスポーツかを、しっかり味あわせてくれる本だった。

    サッカーが、ただスポーツではなくて、そこには当たり前だけれど生身の人間が深くかかわっていて、サッカーというのはそういう人と人とのつながりの有機的な部分を理解してはじめて、サッカーの本当の面白さに気づくのだ、ということを気づかせてくれた。

    1章から、スカウティングのノウハウを通した戦術、選手の能力の見分け方など、かなりテクニカルで初心者には少し難しいことを含め、たくさんの見方を提示してくれる。
    そしてクライマックスは最終章である5章で、ここでは世界での戦いに勝つために、ということでフランスワールドカップの実録が載っているのだけれど、この章があったことで、今まで読んできたことが一気に収斂された気がした。

    わたしたちはいつも結果だけを観てしまうし、結果だけを見ることで生まれること、わかることももちろんあるけれど、プレーしている選手や監督やチーム全体が抱えているのは、やっぱりわたしたちには抱えきれない、聖域なんだな、ということが分かった。
    それを応援するってことは、勝ってるときだけ盛り上がって、負けると非難して、結果だけを見ることじゃない。


    正しい戦術がいつもいい戦術とは限らないこと、国家代表としてのサッカーとは何なのか、そしてそれが持つ吸引力は何か、今回日本代表が「ひとつになった」「いいチームだった」っていっていたことが、いかに意味深いものだったかを知らされた。

    そしてサッカーが反映しているものは、そのマクロではその選手たちの出身国社会の問題だったり、ミクロでは人と人とのインターアクションをどう構築するか、自分自身をどう表現するか、ってこと。

    そういう意味で、誰かの関係とか、この世の中のまわり方とかを考えるときに、サッカーが共通しているものって意外と多いなと思った。
    サッカーはもちろん答えをくれるわけではないけど、サッカーを見ることで、自分が生きていてぶつかる色んな問題がどこかで何かとつながっていること、を教えてくれる。
    そういう意味で、サッカーを見ることは非常に教育的だ。

  • とても面白かった。試合の見方、試合に向けての分析と選手への対応、そして、アトランタ五輪、フランスW杯での戦いの背景と内容的には十分過ぎる。守備的重視の戦いに見えていた岡田ジャパンの攻撃的戦略部分など見方を改めなければならない部分もあった。また、選手へのアプローチに関して、全体を通じて重要な示唆を提供しているので子供のサッカー指導をしている人にも読んでもらいたい。

  • とても勉強になる。サッカー観戦がより面白くなった。

  • こういう視野を若いうちから手に入れとくべき。凡人は研究、実践、研究。

  • 小野剛さんという、サッカー指導者の方の、まあ思い出話ですね。

    ●1996年のアトランタ五輪男子サッカー
    ●1998フランスワールドカップアジア予選
    ●1998年のフランスワールドカップ

    などで、「スカウティング」という、要は対戦相手を事前に分析して、自軍の対策を考える仕事をしていた方なんですね。

    それでまあ、思い出話。
    サッカーはミーハーに好きだし、丁度上記の頃はそれなりに日本代表は観ていたので。そこそこ面白かったです。
    というか、そういう世代が多いから商品として成立する本なんでしょうけどね。

    仕事が激しく忙しくなってくると、純粋に気分転換で、難しくない娯楽的な活字を読みたくなることがありまして。
    小説のフィクションに入り込む気力も出せないし。
    モノゴトを思考したりする精神力もない。
    そういうときには割と、こういう類のサッカー本とか読んだりします。

    まあ、漫画本でもいいんですけど。
    旅仕事の途中とかだと、とにかく荷物を増やしたくなくて、
    スマホで読める範囲に限定して読書するもので。
    漫画本だと画面が小さくって。。。

  • 戦術の勉強になると思って読み始めたが、タイトルとは裏腹に、筆者である小野剛さんのサッカーやフットボーラーに対する思いが伝わる「熱い」本だった。
    もちろんゲームの見方や分析のポイントがちりばめられていてとても勉強になったが、それ以上に、毎試合ごとに采配にツッコミを入れる僕ら「オレオレ監督」が考えもしないようなことを監督や選手が考えたり感じたりしていることがよく分かったのが何よりの収穫。
    そう、「選手はチェスの駒ではない」のですね。ウイイレやゲーム分析ばっかりやっていると忘れがちな当たり前のこと。もっと早く読んでいればよかったと後悔させられた素晴らしい一冊。全サッカーファン必読と言いたい。

    余談。ちょうど直前に「FOOT x BRAIN」という番組で小野さんの中国クラブチームでの奮闘が紹介されていたのを見ていたが、この本で書かれているサッカーへの情熱は間違いなくホンモノだった。

  • 日本代表コーチやサンフレッチェ広島監督を歴任した著者によるサッカーのスカウティング論。サッカー(観戦)好きとしてはもちろん面白かったし、サッカーにかぎらず凄い普遍的なことが指摘されていると感じた。

    スカウティングの目的は、選手を堂々とピッチに送り出すこと。相手が凄いと強調しすぎて萎縮させても、相手がしょぼいと侮らせてもいけないし、細かく指示を出しすぎて硬くさせてもいけない。

    何百本も動画を見て対戦相手の癖を見抜き、それがわかるシーンを集める。その中から端的に伝えたい事が伝わるように2,3シーンを選ぶ。選手には可能なかぎりシンプルな情報を提供するべきだ。

    「観る目」をどう養うか?
     全体を俯瞰(前線でボールが回っている時のDFラインやGKの位置も見る)し、良い試合をたくさん見る。そうすると「正常」状態がわかる。それがわかってはじめて、なにか違うな?と気がつくようになる。なにか違うな?と思った時間帯をメモしておき、あとから見なおして何が起きていたか考える。多くの場合FWとDFとの駆け引きがなされている。
     結果だけでなく、「プレーの本質」をみきわめる。どうしてもシュートや、その前のアシストに注目が行きがちだが、鍵となるプレーはその2つ3つ前だったり、ボールと直接絡んでいない選手の動きだったりする。(サッカー五輪代表マレーシア戦の清武→東のゴールシーンは、始めの頃清武のアシストばかり注目されていたけど、山本元五輪監督が、その前の扇原の縦パスで一気に局面が変わったと指摘して以降そのシーンが注目されるようになった気がする。)
     岡田監督とかは、試合前日に100通りくらいの試合の流れのパターンを考えてそれぞれどうするか考えている。その中から選手に予め何を伝えるかはまた考えなければいけない(0-2になったら、とかは伝えないでしょ、予めは)

     ノートは数冊で分類していたこともあったが結局1冊のノートに全てを時系列順に書くことに落ち着いている

     「マイアミの奇跡」は相手のミスが絡んだ奇跡だが、日本はそれを狙っていた(そちらがわから蹴り込むと一瞬ボールを見失う選手がいて、かつ、DFとGKの連携がいまいちという分析結果が出ていたから意識的にそこに放り込んでいた)

     フランスワールドカップ前は、日本も世界で基本では勝負できて、基本でないところが勝負を分けると思っていたが、実際は基本の差が圧倒的な差に結びつくことがわかった。

  • 元日本代表コーチだった小野さんが明かすサッカー分析法についての1冊です。
    実際にアトランタ五輪などの戦略を練っていた方なので、書いてあることが非常に詳細で具体的で、参考になりました。

    サッカーは観るの難しいですよね
    選手個人の身体能力、技能とは別に、チームの戦略を観ないとならない。
    でもゲームの流れは速い。
    速くても大まかな戦略は分かりますが、オフ・ザ・ボールでの動きや、隠された狙い、細かい処まではなかなかとらえきれない。
    より深く理解する為には、そういう処まで観たいと思うわけです。

    たとえば1トップのフォーメーションを組むチームがあったとします。
    1トップ=守備的?と思う反面、攻撃的なチームもあるよなあ、と記憶を手繰る。
    するとこの本では、トッティのローマとF・トーレスにジェラード、カイトがからむリバプールの例を出して説明されます
    FWをターゲットにする場合と、周囲の空いたスペースを生かす場合とがあるわけですが、そもそも何故1トップの戦略をとったのか、という事情から説明されて、本質の違いが良く分かります。

    4バックと3バックも良く話題にのぼりますね。
    結局、現代の戦術は、数的有利をどこで作るか、ということなんです。
    そうなると、3バックか4バックかは、相手チームの特徴と中盤との兼ね合いになります。
    すべては関連しているのですが、その関連の仕方が良く解説されている。

    プレスの掛け方でも、シールオフ(中から外に追い込み縦パスを奪う)かネットディフェンス(縦パスを防ぎ横パスを奪う)か、フォアチェック(高い位置から)かリトリート(ブロックを造る)かでの発想の違い。
    ふらふらしているFWの役割や、アルゼンチン独特の、前線プレスのダイレクト・プレー志向の指摘なんてオモシロかったです。(普通はポセッションするなら前線プレスだし、ダイレクト志向なら引き気味にしますが、アルゼンチンはハイブリッド)

    この本を読んだ後、録画の残っていたWカップ、ウルグアイvsガーナの延長を観たのですが、分かった気になれました(笑

    日本人の書いたサッカー本では、本物と言って良いと思います。
    アートから文学、音楽から他のスポーツに至るまで、全ての鑑賞対象物は見る目を養うと楽しみが増します。
    そして見る目を養うには、良いモノを沢山観ることが大切ですが、基本的な知識を身に付けておくと理解が早く、より深くなります。

  • サッカー指導者

    サッカープレーヤー

    そして何よりサッカー観戦をより深く楽しめるための一冊となります

    ゲーム分析と聞くとどうしても相手の長所を消して勝利を目指す
    そんな勝利至上主義になりがちな話であるが本来のスカウティングとは分析し将来の成長に活かすためのツールでもあるのがわかる

    日本代表というトップカテゴリーの現場から発する指導者向けのノウハウや注意点はそれだけで読む価値がおおいにある
    そこは結果を見て選手に点数をつけて評価を下す雑誌と違い戦況、戦況で対応するライブ感があって面白い

    印象的なのは初めてのW杯を終えたあとの

    「Chapter5 世界での戦いに勝つために」 より
    私を含めて、ワールドカップを経験するまでは多くの人が「基本の部分」では勝負できるけれど、世界との戦いでは「基本ではない部分」が勝敗を分けると思っていました。
    しかし、現実は違っていました。基本というのは低いレベルではボロが出ないで済む。
    だけどレベルが高くなればなるほど、基本の質の違いが否応なく現れてしまうのです。

    成長に近道もマジックもトリックもない
    小手先ではない本物のスカウティングを志す指導者が増えればそれが日本のレベルアップになるのでしょう

    もうちょっと試合量などボリュームがあれば文句なしの5つ星ですが現場でスカウティングをするコーチの生の声は歴史的にも貴重なので5つ星をつけさせて頂きます

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著者プロフィール

8章担当
IBITA基礎講習会インストラクター
1993年3月 群馬大学医療技術短期大学部作業療法科卒業
1993年4月 ボバース記念病院リハビリテーション部入職
2003年3月 人間環境情報学修士取得
2006年4月 森之宮病院リハビリテーション部異動
2010年 国際ボバース成人基礎講習会インストラクター認定

「2013年 『英国ボバース講師会議による ボバース概念』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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